PTAに参加する父親の姿に思う、共働き時代の「ニューノーマル」

最近、ショッピングモールや公園などで、ベビーカーを押している男性や、抱っこひもで赤ちゃんを前に抱き、楽しそうに歩いている男性をよく見かけます。先日、自治体で行った「プレパパママセミナー」でも、多くがご夫婦で参加しておられる中、ある男性が「妻が急に体調が悪くなったので、僕だけの参加でもいいですか?」と一人で受講されました。以前では考えられない光景です。懸命に赤ちゃん人形で沐浴もくよくの練習をされていました。

イクメンブームが起きたのが2011年ごろ。あれから約10年がたちました。子育てを取り巻く環境が良くなったとは言い難いのですが、父親の育児については様々な変化が起きています。仕事が生活の中心である状況が続いていても、仕事とのバランスを意識して子どもとの関わりを作る父親たちが見られるようになってきたのです。

私がこの4月から校長を務めている大学の付属小学校でも、多くの保護者の方が支援のために来校してくださり、父親の姿もあります。先日も平日の「クリーンday」に来てくれたあるお父さんが、「週明けは結構ゴミが多いので、通勤前に片付けていきます!」と清掃活動をしてくださいました。

また、PTA総会でも母親たちに交じって何人もの父親が参加されています。スーツ姿だった方に声をかけたのですが、「仕事の調整ができる立場になり、学校に関わりながら仕事も頑張っています」とのことでした。とても心強く、また、新しい男性の生き方のモデルであると感じました。

「共に働き・共に育てる」時代へ

男女共同参画白書によると、2021年の15〜64歳の男性の就業率は83.9%です。女性は71.3%で過去最高となっており、その差は12.6%と年々縮まっています。子育て家庭のスタンダードモデルは、父親と母親が「共に働き・共に育てる」というものになりつつあるのでしょう。ただし、女性の賃金が低く、非正規が多い現状があり、夫婦間の経済的、時間的バランスが不均衡なので、家事や子育てのバランスにも影響を及ぼしています。

未来の予想が立てにくい不透明な時代だからこそ、子どもの「今・ここで」の育ちを大切にしてほしい。それは母親だけの責任でも、父親だけの責任でもありません。できるだけ子どもと関わる手を増やし、多様で豊かな環境の中で子どもたちを育てることです。父親の育児はそんな多様性を作り出す、大きな一歩です。父親たちの確実な変化に大きな期待が寄せられています。

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「子育て応援団」のコーナーでは、子育て支援の専門家や医師、タレントらがリレー方式で、働きながら子育てをするママやパパに向け、元気が出るメッセージや日々の暮らしに役立つ知識を盛り込んだコラムを掲載します。

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子育て相談アドバイザーの小崎恭弘・大阪教育大学教授
小崎 恭弘(こざき・やすひろ)
大阪教育大学教授

1968年生まれ。兵庫県出身。91年に同県西宮市初の男性保育士となり、12年間保育施設に勤務。その後、神戸常盤大学を経て2014年から現職。20年4月から大阪教育大学付属天王寺小学校長を兼務。専門は保育学や児童福祉、父親支援など。3人の子がおり、それぞれ育児休業を取得した。全国で年60回程度の講演会を行っている。父親の育児を支援するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」顧問も務める。

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