昭和産業 天ぷら粉だけじゃない!作ったのは穀物由来のゴミ袋

ポジティブな気持ちになれたり、仕事の役に立ったり。自分らしく、生き生きと働く女性たちの「ハッピーアイテム」を紹介します。

三木祐香(27)
基盤技術研究所 機能・素材研究室

「健康」と「環境」をキーワードに、会社の新しい可能性を研究する部署に所属しています。食品の健康機能性や環境負荷を低減する素材開発などに取り組んでいます。

注意書きの表示に苦労

最初に任された担当は、大豆素材に着目した健康機能性の研究です。健康機能はあっても、風味がいまひとつで、飼料にしている大豆の一部分を、食品として活用できないかという研究をしています。

さらに、この春から新たに「環境」分野の研究開発という担当が加わりました。最初の仕事として2022年6月下旬に発売したゴミ袋の製品化に携わりました。このゴミ袋は、原料の一部に飼料用の小麦粉など穀物由来のバイオマスを使うことで、石油由来のプラスチック使用量と焼却時の二酸化炭素排出量を、従来よりそれぞれ約20%削減しました。

昭和産業というと、天ぷら粉やホットケーキミックス、食用油のイメージが強いですよね。私自身、「健康でおいしい食べ物を作りたい」という動機で入社し、食品関係を担当すると思っていたので、ゴミ袋の開発の担当になると聞いたときはまさかと驚きました。

2017年から開発がスタートしたゴミ袋は、引き継いだ時点で「大地のMino-Re:(だいちのみのり)」という商品名も、麦の穂を描いたデザインも決まっていました。ところが、どのゴミ袋にも書いてある「取り扱い上の注意」や材質の表示、品質面についての内容が決まっていませんでした。

「食品表示のことなら任せて」という人は社内にたくさんいますが、ゴミ袋の表示に詳しい人はいません。10種類ほどのゴミ袋の表示をエクセルで一覧表にして、注意書きの内容やサイズの表記を比較し、ゴミ袋に関連する法律も調べました。強度についてもJIS規格や自治体のサイトを参考に自分で調べました。

実際に家でゴミ袋を使って、使い心地も確認しています。植物由来の細かな凹凸があり、サラッとした手触りで手が乾燥していても扱いやすいのがいいなと思いました。さらに、バイオマス由来の薄茶色に深緑の文字やイラストがおしゃれです。このゴミ袋は「伝わるエコ」がテーマです。自宅で使ってみたことで、手触りや見た目で差別化が図れていると確信できました。

バイオマス由来のゴミ袋について説明する昭和産業の三木祐香さん
「プロジェクトを引き継いで、自分がゴミ袋や環境について何も知らないということに気付き、がく然としました」と振り返る三木さん

商品化にあたっては、社内外の人とのやり取りが必須でした。普段は千葉県船橋市の研究所に勤務しているので、東京都内の本社の人とのやり取りだけでも緊張していました。注意書きの文言一つでも、明確な理由を説明するように心がけました。他社製品との比較、自治体指定のゴミ袋の特徴といったことを自分なりに分析し、それを言葉にすることを意識的に繰り返すうちに、相手がどんな情報を求めていて、それをどう説明したら納得、協力してもらえるかがつかめてきました。

インターンはたこ焼き食べ比べ

自分の性格を分析すると、何かを決めるとき、消去法で決める癖があります。「これが好き」という情熱先行型で決めると、周りが見えなくなる気がするからです。子どもの頃を振り返ると、「おとなしい子」だったと思います。小学生の時に熱中したのが、いかに小さい折り鶴を作るか、ということ。自分で折り紙を小さく切って、限界に挑戦していました。

高校2年生の時、生物の授業で学んだ遺伝にハマりました。DNAが複製されて、次世代へ引き継がれる過程でちょっとずつ違うものがうまれ、様々な生き物が出てくることで、生き残りにつながるという仕組みが理にかなっていると感心しました。大学では農学部に進学。虫が苦手、動物もちょっと……、ということで選んだのが植物です。

植物の遺伝学を扱う研究室に入り、コムギをテーマに研究してきたので、粉の会社をのぞいてみようと大学院生の時に昭和産業のインターンに参加。麦の種類や生産地などが異なる小麦粉を数種類ブレンドしてたこ焼きを作って、トローリやカリカリといった食感の違いを確認しました。会社の雰囲気や小麦粉について思う存分楽しめたことが決め手となって、入社を決めました。

鍋でコトコト、野菜スープで元気に

忙しい生活を支えてくれるのが、ストウブの鍋です。鋳物ホーローの鍋で、同僚に「野菜をコトコト煮るとおいしくなるよ」と聞き、初ボーナスで買いました。週1回、いろんな野菜を入れてスープを作ります。野菜を刻む気力もないぐらい忙しかった時期はカット野菜に頼りました。鍋に入れて野菜をコトコト、待っている私はゴロゴロ――。それだけでおいしいスープができて、風邪一つひかずに頑張れました。

ゴミ袋は無事に発売されました。これから営業の担当者と一緒に自治体や企業へ営業に回ります。これも新しい経験ですが、上司から「開発担当者だからこそ話せることがあるぞ」と励まされています。

「昭和産業に就職したよ」と親戚に伝えても、ピンとこない顔をされたことがありました。商品名を出すと「あぁ~」と得心したようでしたが、「昭和産業ってこういう会社だよ」ともっとみんなに知ってほしいと思っています。食品以外にも環境に優しい事業に取り組んでいることをPRしたいですね。

ゴミ袋の開発に携わり、何もないところから新しいものを作り出す面白さを体感できました。直近の目標は、ゴミ袋の開発にも使ったバイオマスを配合したプラスチックを使って、新たに環境に優しい商品を開発することです。新しいことに取り組む面白さと難しさ、両方を受け止めて、私も成長をしていきたいです。(読売新聞メディア局 野倉早奈恵)

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