働くLGBTQ+のリアル…雑誌「BE」が伝える多様性の現在地

働くLGBTQ+の当事者の声を集めたライフマガジン「BE」が6月28日に創刊されました。求人情報サイトを運営する「インディード ジャパン」が発行し、当事者が仕事を探したり、働いたりする中で、どんなことを感じ、悩んでいるのかを分かりやすくまとめています。6月は、LGBTQ+の権利向上に関して理解を深める「プライド月間」でした。誰もが働きやすい職場や多様性について、雑誌を読みながら考えてみてはどうでしょうか。

創刊に向けたプロジェクトは2021年から始まり、特設サイトで仕事や職場、職探しの場で感じたことや意見を当事者から募ったところ、集まった声は300件近くに上りました。編集スタッフには、企業や組織で活躍する当事者が加わっています。

その1人、サリー楓さんは、東京スカイツリーや渋谷スクランブルスクエアなど、名だたる建築の設計や都市計画を手がける「日建設計」で建築デザイナーとして働きながら、モデルとしても活躍するトランスジェンダーです。2017年から女性として生活しています。

サリーさんは雑誌について「LGBTって今はやりのワードだよね、多様性について何となく理解していると思うという方たち、さらにはそもそもLGBTQ+について興味がないという人にこそ手にとってほしい」と話します。

渋谷駅前で雑誌「BE」を配布するサリー楓さん
6月28日の創刊日の朝、JR渋谷駅前で雑誌「BE」を無料配布するサリーさん。「ビジュアルもとてもおしゃれで読み応えのある雑誌になった」と喜んだ

表紙を飾るのは「可愛かわいすぎるジュノンボーイ」として注目を集めたモデル、タレントの井手上漠さん。あえてLGBTQ+のシンボル的なレインボーカラーを使わず、白と紺のシンプルかつ、スタイリッシュなデザインを採用したといいます。

「配慮されすぎて申し訳ない」

中身も読み応えがあります。サリーさんが注目したのは、集まった「声」の内容です。男性用、女性用トイレしかない環境への疑問や、「彼女いないの?」など何げなく発せられた言葉へのモヤモヤなど以外に、「過度に配慮されるのが苦しい」という声が複数あったそうです。「配慮が申し訳ないと感じてしまうということですね。私も感じることがあるのでよく理解できました。普通に扱ってほしいという思いの表れです」とサリーさん。

構成では、当事者と受け入れ側の声を交互に入れることを意識しました。働く当事者の声の次には、「ダイバーシティー(多様性)&インクルージョン(包摂)」が進んだ企業3社の代表らのインタビューが入ります。互いの「目線」を往復しながら読み進めることで、課題への理解がより深まってほしいという意図です。

目指すのは、全ての人が自分らしく、自分にあった形で働くことができる社会。サリーさんはこう話しました。「育児や介護、病気、加齢による体力の低下など、誰もがみんな課題をもっていると思います。私の場合は、それがLGBTQ+だった。それぞれの人が、自分の視点から社会課題にアタックして、解決に向けて提案している世の中になったらいいなと思います」

雑誌は東京都内の一部書店で配布しているほか、インディードの特設サイトでも読めます。(読売新聞メディア局 野倉早奈恵)

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