急激に進行する円安時代、資産運用で気をつけるべきことは?

最近、急激に円安が進んでいます。テレビのニュースなどで気になっている方も多いのではないでしょうか。「円安による物価上昇」「悪い円安」など、ニュースでは円安がよくないものとして報じられることが多くあります。確かに今回の円安にはそうした側面もあるのですが、そもそも円高・円安とは何か。今回は、円安時代の今、考えたい資産運用についてお話しします。

そもそも円高、円安とは

1ドル=100円の状況から1ドル=80円になれば円高になったと言われ、1ドル=100円の状況から1ドル=120円になれば円安です。円高・円安は、外国の通貨から見て、円の価値が高いか低いかを表す言葉です。

たとえば、1ドル=100円でハンバーガーを1個買えるとします。ところが、1ドル=80円になった場合には、100円だったハンバーガーが80円出せば買えるようになるので、「ドルから見て円の価値が高くなった」、つまり「円高」となります。一方、1ドル=120円になった場合には、100円出せばハンバーガーが買えたのに、120円出さないと買えなくなってしまうので、「ドルから見て円の価値が低くなった」、つまり「円安」となります。

円高・円安の説明図
株式会社Money&Youの作成した資料

1ドル=100円のように異なる二つの通貨を両替する時の交換比率を「外国為替相場(為替レート)」といいます。外国為替相場は、2国間の通貨の相対的な力関係によって変動します。金利が高いのはどちらか、景気が良いのはどちらか、政治が安定しているのはどちらかなどの判断、通貨の需給バランスが反映されます。円とドルの例で言うと、円を欲しい人が多ければ円高(ドル安)、ドルを欲しい人が多ければ円安(ドル高)になります。

なぜ円安が進むのか

現在は、円安が進行している状況です。円安が進む要因はいろいろ考えられますが、なかでも大きいのは日本と米国の金利差です。

米国は、近年のインフレを抑制するために政策金利を上げ、1994年以来となる0.75%の利上げを決定しています。一方で、日本は、金利を上げずに、低く抑える金融緩和を続けています。その結果、日本の金利と米国の金利の差が大きくなっている状況です。

このような状況では、投資家は「円よりも多くの金利がもらえるドルが欲しい」と考えます。こうして、円を売ってドルを買う動きが加速し、現在の円安(ドル高)の状況となっています。

長期の資産形成は円安時でも継続を

最近は、つみたてNISA(少額投資非課税制度)などを利用して、資産形成をスタートさせている方も多いと思いますが、急激な円安になり、このまま投資を継続してもよいのか不安になっている方もいるのではないでしょうか。

そもそも円安の時には、外貨建ての資産の価値が高まります。為替レートが円安になると、円建ての資産の価値は相対的に下がってしまいますが、外貨建ての資産の価値は高まります。

例えば、1ドル=100円のときに、1万円を100ドルに両替して、100ドルの米国株を買ったとしましょう(手数料は考慮せず)。この米国株がまったく値動きしなかったとして、1ドル=120円になってから売って、ドルを円に戻すと、100ドル=1万2000円に増えます。
つまり、円高時に外貨建てで購入した資産を、円安時に売却すれば、「為替差益」を得ることができるのです。

つみたてNISAの投資信託で、すでに海外資産に投資している場合は、円安が進むことによって為替差益が大きくなり、資産が増えることになります。

また、最近は、世界的にインフレ傾向が続いています。インフレとは、物の価値が上がり、お金の価値が下がることをいいます。株式はインフレに強い資産といわれています。基本的に投資信託も、株式に投資しています。

もし、ご自身の投資信託が国内資産だけを対象にした商品だった場合、米国をはじめとする海外資産を対象にした外貨建ての投資信託商品に組み替えることも検討してみましょう。米国もそうですが、海外には米国をはじめ、日本よりも成長力の高い国や地域、会社がたくさんあります。

とはいえ、今後も円安が継続するとは限りません。タイミングも大切です。円高局面になるほど、海外資産を安く買えることにつながるためです。

たとえば、上記で紹介した100ドルの米国株は、1ドル=100円のときには1万円ですが、1ドル=80円のときには8000円(80円×100ドル)で購入できます。安く買えれば、その分その後の値上がりで得られる利益も大きくなりますし、円安局面を迎えたときには為替差益を得ることもできるようになります。

円安・円高など、相場の状況に惑わされずに、幅広い地域、幅広い資産に分散投資をすることによってリスクを低くしながら安定的にお金を増やしていきましょう。

高山一恵さん
高山一恵(たかやま・かずえ)
ファイナンシャルプランナー

 慶應義塾大学卒業。2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画。2015年から株式会社Money&Youの取締役。結婚、出産、夫の転勤など人生に多くの転機が訪れる女性にこそお金の知識が必要と考え、講演、個人マネー相談のほか、雑誌の記事執筆やテレビ番組出演など精力的に活動している。著書に、「ゼロから始めて2時間で一生困らないマネープランができる本」(彩図社)など。

高山一恵さんと頼藤太希さんの共著「1日1分読むだけで身につく お金大全100」(自由国民社)が出版されました。お金の節約、税金・社会保険から、クレジットカードやスマホ決済の取り入れ方、お金の増やし方の基本と投資商品の選び方まで、わかりやすく解説しています。楽天ブックスなどで注文できます。

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