オリンパス 世界シェア1位の内視鏡を支える安全性と確実性を追求

自分らしく生き生きと働く女性たちが、ポジティブな気持ちになれたり、仕事の役に立ったりする「ハッピーアイテム」を紹介します。

矢野菜津三(37)
オリンパスメディカルシステムズ 医療光学開発

入社後7年間は、デジタルカメラの画質評価や手ぶれ補正などの技術開発に携わりました。歩行中でも、まるで止まっているかのように撮れる機能を備えたカメラの開発に力を注ぎました。「世界最強の手ぶれ(補正)」と呼ばれ、集大成とも言えるカメラを店頭で見た時の感激は忘れられません。

理系一家に育ち、小学校の頃から、当時まだ珍しかったパソコンが家にありました。中学卒業後、高等専門学校に進学。写真の加工など、画像を作って遊んでいました。絵画などの美術鑑賞が好きですが、自分では思うように絵を描くことができません。デジタル画像の技術で芸術を支援したいと考えるようになり、千葉大工学部に編入、同大大学院で画像処理や画像解析を研究し、オリンパスに入社しました。

ばらつきを評価

2017年から、消化器内視鏡の開発を担当しています。内視鏡は先端にカメラが内蔵され、体内の検査や治療に使う医療機器で、「撮影し、何らかの処理をされた画を見るツール」としてはデジタルカメラと共通していますが、最大の違いはユーザーです。内視鏡を使うのは医療従事者であり、その先には大勢の患者さんがいます。医療現場で求められる安全性は、カメラとは桁違いです。

デジタルカメラは、使われる用途や場面をイメージしやすいのですが、医師が取り扱う内視鏡は使い勝手の良しあしを想像しにくいという課題があります。実際に自ら使ってみて確認ができないというのが、医療機器を研究開発する上で難しいと感じます。

オリンパスで内視鏡の研究をしている矢野菜津三さん
内視鏡の先端にはレンズのほか、ライトや治療器を通す穴などがあると説明する矢野さん

安全に、確実に扱ってもらえるように、スコープ(内視鏡)とビデオプロセッサーの評価を行っています。

家電量販店に行って、ずらりと並べられたテレビを見比べてみると、ものによっては同じモデルでも、一つひとつ、色味に微妙な違いがあります。内視鏡も使用する部品によって、映し出される画質に「ばらつき」が生じる可能性があります。設計的に問題がないことを確認、保証する、ということを担当し、シミュレーションソフトを使って日々の業務を行います。数十個に及ぶ構成要素の全ての組み合わせを評価するのは一苦労です。

患者の体内に挿入される内視鏡は、安全で確実なものでなければいけません。カメラなら、早い場合、1年ほどで新しいモデルが発売されますが、内視鏡の場合は医療機器として承認を得るため、安全性と確実性のデータを積み重ねるなど、審査に数年かかります。

コミュニケーションの大切さ

デジタルカメラの研究をしていた頃、他部署へ新しい機能の搭載を提案したことがあります。カメラは新製品の開発期間が短いため、やぶから棒のアイデアは「そんなのいつできるの」と冷たくあしらわれました。相手の状況をまったく理解せず、思いつきに耳を貸す人なんているわけありません。製品開発に携わる当事者になれていませんでした。

入社13年目になり、緊急的な対応を求められることも増えてきました。でも、今は何を求められているのか、なぜそれが必要なのか、そして、誰に協力を頼めばいいのか迷うこともありません。緊張から早口になってしまい苦手意識のあったプレゼンテーションも、失敗を繰り返し、「死ぬわけじゃない」と思えるようになりました。

コーヒーでホッと

2016年3月、長男を出産し、1年3か月の産休・育休を取得。今年の4月は「小1の壁」と重なり、仕事と育児の両立に悩みました。日々の業務に加え、自宅に帰ってからは、長男の宿題を見るなど、あわただしい毎日。コーヒーを飲む時間が、ホッとできるとても大切な時間です。

コロナ禍でテレワークとなってからは、コーヒー好きに拍車がかかり、ホッと一息つけるコーヒーブレイクでリラックスを心がけています。お気に入りの地元・福岡県のロースタリー(焙煎ばいせん所)から豆を取り寄せ、1日に3杯ほど飲むのが日課になっています。出社するときは、タンブラーにコーヒーを入れるのを忘れません。休日に外出する際は、事前に調べたテイクアウトできるロースタリーカフェに立ち寄るのがいつものパターンになっているので、長男も付き合ってくれています。

健康を守る内視鏡

消化器内視鏡は、胃や大腸など臓器の内側を直接見ることができるだけでなく、病変のある粘膜を切除するなどの治療や手術にも使われています。

内視鏡の管には、いろいろなタイプの治療器を通せるので、検査で早期がんを発見した場合、その場ですぐに切除することもできます。病変の組織を採取して病理検査で良性・悪性を判断します。病気の早期発見と早期治療は、良好な経過につながる重要なポイント。内視鏡世界シェア1位のオリンパスで、人々の健やかな暮らしを守ることにつながるこの仕事にやりがいを感じています。

(読売新聞メディア局 渡辺友理)

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