男性の育児休業…長期取得者の職場や家庭での過ごし方は?

男性の育児休業(育休)取得を広げるため、改正育児・介護休業法(※)が4月に施行された。周囲に事例が少なく、不安を抱えている人も多い。長期で育休を取った男性たちに、職場や家庭での過ごし方を聞いた。

※改正育児・介護休業法 2022年4月から、従業員への育休制度の周知や取得の意向確認が企業に義務付けられた。10月からは生後8週間以内に2回に分けて取れる「男性版産休」が始まり、育休の分割取得も可能に。23年4月からは、従業員1000人超の企業に取得率の公表が義務付けられる。

段取り力 忍耐力ついた

羽田野良太さん 30(オンワード樫山)
育休1年2か月を予定(長男が生後1か月の2021年10月~22年11月)

ミルクを飲ませる羽田野さん
「飲むの速くなったなぁ」と声をかけながら長男にミルクを飲ませる羽田野さん(東京都内で)=吉川綾美撮影

英国ブランド「ポール・スミス」の国内向け商品の企画などを担ってきました。「働き盛りなのにもったいない」という同僚や友人もいましたが、自分の成長を見込めると考えました。

取得の意向は、早めに伝えた方がいい。引き継ぎがスムーズです。出産の3か月ほど前に伝え、上司と相談し、繁忙期を避けて育休に入りました。夫婦で育休を取るので、育児休業給付金の計算をして、収入面も事前に確認しました。

会社のパソコンと携帯電話はいったん返却しました。おかげで、育児に集中できて良かったと思います。

昨年9月に生まれた息子は離乳食もよく食べます。昨日より脚の力が強くなったね、と日々の成長を妻と喜べることが幸せです。

赤ちゃんは、「ちょっと待って」が通用しません。着替えと保湿剤、バスタオルを一式用意してから風呂に入れたり、大泣きしているときは流水で一気に哺乳瓶を冷ましてミルクを与えたり。息子の世話と家事を同時にこなすのも当たり前になりました。こうした「段取り力」や忍耐力は、仕事にも生かせるはずです。

◇妻の英里佳さん(29)から

一緒に子育てをしていると毎日実感できて、心強いです。

ストレスのもと減らす

伊東のぶさん 34(千葉県柏市役所)
育休6か月(長男が生後0か月の21年10月~22年3月)

伊東将希さん
出張料理サービスのシェフに教えてもらった「おにぎらず」は子どもたちも大好きな、パパの定番メニューに(提供写真)

第3子となる息子とじっくり向き合いたくて、初めて育休を取りました。

育休前から長女(5)と次女(2)の風呂、歯磨き、寝かしつけまでを私一人でできるようにして、出産に備えました。髪を結って保育園の持ち物の準備をするといったことも覚えました。

困ったのは料理です。手際の悪さや品数の少なさを克服できず、思い切って外注することに。インターネットで探した出張料理サービス「シェアダイン」に依頼しました。材料費も含め約2万円で1週間分の料理を作って保存容器に入れてもらいます。準備から片付けまで任せられて大助かり。住んでいる自治体の補助も使い、4回利用しました。苦手なことに時間を費やさず、ストレスのもとを減らしたのは大正解でした。

赤ちゃんの成長 間近で

とう亮さん 34(明治安田生命)
育休約3か月(次男が生後0か月の22年1月~3月)

滕亮さん
育休から復帰後も長男の送迎を担当し、コミュニケーションを取るのが日課(提供写真)

長男(5)の誕生時には英・ロンドン勤務で育休が取れず、悔いが残りました。昨年12月に次男が生まれ、上司の強い後押しもあり取得しました。

仕事は、新規投資案件の検討など社外とのやり取りが中心で、3か月前からマニュアルを作り始め、引き継ぎに万全を期しました。社外の方にもメールで伝えました。

育休を取った最大の目的は、産後の妻を休ませること。3度の食事の用意、長男の幼稚園の送迎や習い事の面倒を受け持ちました。次男の世話は、妻が夜中から未明、それ以外の時間を私が担当。母乳を専用のパックに冷蔵保存して与えるなど工夫しました。

体重もまめに量っていました。生後3か月で倍以上の重さになり、成長のスピードに驚きました。赤ちゃんの成長を間近に見られて幸せでした。

有意義に過ごすために

男性の育休取得率は年々増加し、2020年度は12.7%(雇用均等基本調査)だった。政府は「25年に30%」を目標に掲げる。そうしたなか、積水ハウス(大阪市)は、3歳未満の子を持つ社員に1か月以上の育休取得を促して、取得率100%を達成している。

同社ダイバーシティ推進部の木原淳子さんは、「育児や介護、突発的な病気休業など、あらゆる状況に対応できる会社になるために取り組んでいる」と話す。その上で、男性が育休を有意義なものにするためのポイントを三つ挙げる。

木原淳子さん
木原淳子さん
〈1〉なぜ取るのか夫婦で事前に話し合う

「妻の体を休ませる」「上の子の世話をする」など、育休の目的を確認する。夫婦の家事、育児の分担を明確にし、「休むだけ」で終わらせない。

〈2〉取得は高らかに宣言する

職場はもちろん、取引先などの関係者にも育休を堂々と伝える。業務の引き継ぎ先を明確にして休業中は育児に集中できる環境を作る。

〈3〉取得後は振り返りを

職場復帰したら、育休中の心境を振り返る。休業中に担った育児、家事は継続する。次に取得する人のために、社内で事例を共有する。

木原さんは、「多くの男性が育休を取り、お互いさまの精神が広がることが、職場のチーム力を高める」と話す。

(大手小町編集部)

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