「とるだけ育休」の夫にならないために妊娠中からパパができること

2022年4月に改正育児・介護休業法が施行されるなど、男性の育休取得が推進されています。赤ちゃんが生まれたその瞬間から、夫婦は「父」と「母」になりますが、その日を迎えるまでの約9か月間、なかなか実感がわかない男性も少なくないのではないでしょうか。

命を宿してから女性は少しずつ母になる準備をしていきます。赤ちゃんと会える日を楽しみにしながら、栄養バランスに配慮した食生活に変化したり、働いている女性は職場に迷惑をかけないよう、人一倍、無理をしてしまったりするかもしれません。

一方、男性はどうでしょうか。父親になるための大事な助走期間に、何もせずに、いきなりスタートラインに立っている人も多いのではないでしょうか。

助走を十分に取ってから出産を迎えるのと、何もせずにいきなり父親になるのでは、「走り幅跳び」と「立ち幅跳び」くらい、その後の飛躍に違いが出ます。産前にどんな過ごし方をするかが、育休生活やその後のパートナーとの関係性に大きな影響を与えます。

そこで、今回は「妊娠中からパパにできること」をテーマに、私たち夫婦のやってきたことを一例としてご紹介したいと思います。妊娠中に夫が「助走」していた内容を、改めて夫婦で話しながら書き出してみました。

パートナーが妊娠したら

まずやること

・妊娠アプリを入れ、妊娠カレンダーでパートナーの体、胎児の様子を把握する。
・風疹の抗体があるか調べ、なければ予防接種を。妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、出生児が先天性風疹症候群を発症する可能性がある。できれば男女とも、妊娠前に、感染予防に必要な免疫を獲得しておくことが重要。
・出生前診断を受けるかどうか、パートナーと話して決める。命についての考え方を対話しておく。
・お互いのキャリアについて対話する。そのために、育休制度などの理解は必須。

健診・体調管理

・妊娠・出産に伴い変化する女性の心身についての知識をつける。漫画「コウノドリ」などがオススメ。
・可能な限り、妊婦健診に同行する。胎児の成長を見守り、パートナーと感想をシェアしながらパパになる心の準備をする。
・妊婦健診の際の書類の記載、入院の手続きなどを行う。バースプラン、母子手帳の必要事項なども記入。健診の際に受領した書類やエコー写真はファイリング・保管する。
・両親学級へ参加する。自治体、産院、NPOなど、様々な機関が実施しているので、どれに参加するのか調べるところからパパがやる。
・パートナーの足のむくみなど全身のマッサージを行う。
・妊婦が控えたほうがいい食べ物(生もの)や、ちょくちょく変わるパートナーの味の好みを把握する。基本的には食べたいものを食べていいが、妊娠糖尿病のリスクを考慮し、和食中心を意識する。

日常

・家事をやる。洗濯、風呂掃除、トイレ掃除、部屋掃除、皿洗い、ゴミ出しなど。部分的な家事でなく、一連の流れを理解して取り組む。
・妊婦の体調を踏まえた休日の過ごし方をリサーチして「ここ行こうか」と提案する。
・カフェインレス系の飲み物を充実させる。
・パートナーとの散歩を日課に取り入れてみる。
・飲み会などの外の付き合いを減らし、パートナーと2人で過ごせる時間を満喫する。子どもが生まれたらしばらく外食は無理。妊娠中に2人でやりたいことを満喫する。
・兄姉がいる場合は、率先して面倒を見る。妊婦が自転車に乗るのは危険なので、保育園などの送迎を担当する。妊娠前期のつわりの時期や、後期にお腹が大きくなってくると、上の子のお風呂や寝かしつけも一苦労。子との遊びも含め、妊婦の体に一定の負担がかかるものは全部やるつもりで。
いぬの日のお参り(妊娠5か月目の最初の戌の日に腹帯を巻き、安産を祈願する風習)の手配。

上の子の世話をする小林味愛さんの夫の中西さん
小林さんの長女(左)と夫(東京都立川市で)

パパが育休(有給も含む)取得を考えているなら

・育休制度の最新状況を理解する。育児・介護休業法の改正ポイントはこちら。※2022年4月から改正されているので要確認。
・同じ職場で育休取得経験者の男性がいる場合は、アポをとって話を聞く。いない場合は、女性に話を聞く。職場によって、育休取得の段取りが違う。職種やポジションによって、引き継ぎしておく内容や必要な期間を確認する。
・全く違う職場の人に話を聞いてみるのもいい。育休後も、今の職場で働き続けたいのか、自分のキャリアを見つめ直す機会にする。
・妊娠がわかったら、直属の上司にはできるだけ早く伝える。同僚には安定期になってからでいい。パパの育休取得予定の有無に関わらず、妊婦健診へ同行するためや、産前・産後に妻の体調に異変があったときにすぐに対応するため、様々な休暇を取ることを想定し、早めに伝えたほうがよい。出産や育休に関する理解が、上司にどの程度あるのか分かるきっかけにもなる。
・育休制度を理解していない上司が、いる場合は人事部に相談する。世代によっては「育休とって何するの?」と聞く人も。悪気はないのでスルーする。

出産予定日が近くなったら

・入院に備えた買い出しをする。(出産時に飲みたい飲み物、聞きたい曲の手配など)
・家を片付けておく。乳児中心の生活になるため、余計なものは全て捨てるくらいの気持ちで。(特に、高さ50cm以下をきれいにする)
・出生届など、役所の手続きを確認し、役所に必要書類を取りに行く。記入する。
・公的制度や支援制度の情報収集をしておく。(自治体により、新制度ができていることも)
・産後の子ども用品の買い出しをしておく。生まれてみないとわからないものも多いので、最低限でいい。乳児の物はすぐ使えなくなってしまうので、お古などもらえるものは、もらう手配をする。ベビーベッドはレンタルでもいい。
・夫婦でゆっくり過ごす時間を持つ。(日常編参照)

自分たちにあった「助走期間」を

このように書き出してみると、「おなかの中で赤ちゃんを育てる」という女性のみができること以外に、妊娠中からパパにできることはたくさんあります。

産休があるとはいえ、無理ができない時期に、女性が働きながら全てを一人でこなすのは相当なハードワークです。多くの女性たちが一見サラッと、しかし、本当は歯を食いしばっているのだと思います。私自身は、働きながらこれら全てをやることは、精神的な負担も含めて無理でした。

夫婦の形は様々です。ここに書いたことが全てではないし、ここに書いたことが不要な夫婦もいると思います。ただ、妊娠に伴う心身の大きな変化がない男性だからこそ、妊娠中にできることがたくさんあるのも、また事実です。父親とは、子どもが生まれていきなり「なっちゃう」のではなく、時間をかけて「なっていく」もの。

「助走期間」にしかできない経験はたくさんあります。それぞれの夫婦に合った形で助走期間をどう楽しく充実して過ごすか、話すきっかけになったらうれしいです。大丈夫。誰しも、親になったことがないところから始まります。全てが一歩ずつです。

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小林味愛プロフィル写真
小林 味愛(こばやし・みあい)
起業家

1987年東京都立川市生まれ。慶應義塾大学を卒業後、衆議院調査局入局、経済産業省出向、日本総合研究所を経て、福島県国見町で株式会社陽と人(ひとびと)を設立。福島県の地域資源をいかして、農産物の流通や加工品の企画販売など様々な事業を展開。あんぽ柿の製造工程で廃棄されていた柿の皮から抽出した成分を配合した国産デリケートゾーンケアブランド「明日 わたしは柿の木にのぼる」を立ち上げた。現在、3歳の娘を育てながら福島県と東京都の2拠点生活を送る。

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