男性育休3回取得でやっと気づいた、妻を傷つける夫の何気ない一言     

4月から育児・介護休業法が大きく改正されました。「父親の育児休業(育休)取得の推進」がテーマです。2020年度の男性の育休取得率は12・7%で、政府が目指していた13%には届きませんでした。2019年度の7・5%に比べるとかなり伸びましたが、2020年度の女性の育休取得率は81・6%で、男女差はまだまだ大きい。周りで育休を取った男性に出会うことは、難しいのではないでしょうか。

ということで、育休を3回取得した私の体験をお伝えしたいと思います。男性保育士として勤務していた時に、3人の息子それぞれ、1歳の誕生日前の約3か月間、育休を取得しました。育休というとどんなイメージでしょうか? 私は最初「仕事が休める!」という、不純な思いでした。しかし、それは育休スタートと共に打ち砕かれました。とにかく忙しいのです。自分の時間が全くありません。

0歳児との生活は、言い方は良くないですが本当に非効率的です。全てに手間がかかるのです。一度に飲んでくれるミルクの量も少ないので、回数も多い。その度に哺乳瓶を消毒します。少しずつですが、うんちをずーっとしている感覚で、その度にオムツを交換します。汗もかくので肌着もこまめに着替えさせます。

当然ですが、洗濯物もたくさんあります。清潔を考え、大人のものと一緒には洗えません。そして、寝てくれませんが、機嫌がいいわけではありません。何を考えているのか、本人がしゃべらないのでわかりません。宇宙人と生活しているかのようです。孤独でつらいです。仕事に復帰した妻が帰ってくると、本当にうれしいというかホッとします。昼間の孤独の憂さを晴らすかのように、色々としゃべります。

「今日はいっぱいうんちをして大変で、機嫌が悪くて寝てくれなくて大変で……」

「私も仕事で疲れているから、少し黙って」

「その言い方はひどい! こんなに育児を頑張っているのに認めてくれないのは!

「私が育休の時、あなたも同じこと言っていたよ」

言い返す言葉もありません。確かにそうです。妻が育休の時、私が帰宅すると、せきを切ったように話しかけてきましたが、子どもとの生活がよくわからず、その言葉を遮っていたように思います。反省しました。立場が変わると、見ている景色が変わります。妻の大変さや思いに、全く気づいていませんでした。そこから色々と考えました。3人目の時には、もう少し慣れて日々うまくできるようになった気がします。育児は3回すれば上手になります。

育休取得は自分らしい子育てのスタート

今後、ますます男性の育休は注目を集めるでしょうが、男性サイドだけの視点ではうまくいかず、女性や子どもからの視点も加味することが必要です。そして、育休を取るだけでよいわけではありません。この制度は父親と家族が幸せになるためのものです。一つの「テコ」ととらえて、自分らしい子育ての形を作ってほしいのです。男性の育休取得はゴールではなく、スタートなのです。

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「子育て応援団」のコーナーでは、子育て支援の専門家や医師、タレントらがリレー方式で、働きながら子育てをするママやパパに向け、元気が出るメッセージや日々の暮らしに役立つ知識を盛り込んだコラムを掲載します。

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子育て相談アドバイザーの小崎恭弘・大阪教育大学教授
小崎 恭弘(こざき・やすひろ)
大阪教育大学教授

1968年生まれ。兵庫県出身。91年に同県西宮市初の男性保育士となり、12年間保育施設に勤務。その後、神戸常盤大学を経て2014年から現職。20年4月から大阪教育大学付属天王寺小学校長を兼務。専門は保育学や児童福祉、父親支援など。3人の子がおり、それぞれ育児休業を取得した。全国で年60回程度の講演会を行っている。父親の育児を支援するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」顧問も務める。

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