35歳で高校卒業したスザンヌ「頑張れる自分」になって大学へ進学

クイズバラエティー番組での「珍解答」でブレイクした、タレントのスザンヌさん(35)。中退した高校で学び直し、今春卒業、大学への進学も決めた。仕事と育児と「大学生」。3足のわらじへの挑戦を続ける。

スザンヌさん
吉川綾美撮影

中退した高校へ

10代で芸能活動を始め、通っていた福岡の私立高校は2年時に中退しました。仕事に専念できたので、後悔はしていませんでした。

転機となったのは昨年1月。学校制服を紹介する福岡のテレビ番組で母校について語りました。その番組を見た当時の担任が「卒業してみる気はない?」と連絡をくれたんです。現役時に取得した29単位を引き継いで通信制に再入学し、残りの45単位を取れば卒業できると。

驚き、即答はできませんでした。2015年に離婚して以降、長男(8)を一人で育て、仕事もあります。でも、「勉強しなさい」と口うるさく言う私は、ちゃんと勉強していない……。

通信制の授業がコロナでオンラインとなり、通学不要という環境は、ある意味チャンスかもと思いました。長男に相談したら、「ママが頑張るなら、僕も頑張る」。こうして、「30代の高校生」への挑戦を決めました。

高2で中退したスザンヌ、35歳で大学進学

学ぶ背中見せた

両立するために、まず朝型生活に変えました。午前4時に起き、6時半まで勉強。長男を学校に送り出したら、また2時間勉強。オンライン授業の間は、近くに住む妹やママ友が長男をみてくれました。時には、テレビ局の楽屋や移動中の車内でも授業を受けました。

私にとって勉強は、久しぶりというより「初めまして」。歴史の勉強ひとつとっても、「源氏って何人おると?」という感じです。でも次第に要領がつかめてきました。例えば、陳列と購買意欲の関係を学んだときは、学びが生活とつながっていると実感しました。

もちろん楽ではありません。仕事が多忙で課題の締め切りも近い時に、長男が発熱したことも。「なんでやるって言っちゃったんだろう」と心の中で弱音を吐きつつも、短期集中で何とか間に合わせました。

長男に、学ぶ私の背中を見せられたことも良かった。同じ机で一緒に勉強した昨年の夏休み、彼は宿題を3日で終わらせました。

高2で中退したスザンヌ、高校卒業し、35歳で大学進学

卒業の際、成績優秀者に認定されました。昔の評定は「1」ばかりだった私が、です。知識が増えると仕事相手との会話の幅が広がり、もっと知りたいと思うことも増えました。社会人枠での入試を経て、この春、大学へ進学し、ファッションビジネスなどを学びます。

挑戦に迷ったら、軽やかにスタートを切ってみるといいのかもしれません。やるしかない状況に身を置けば、そのうち「頑張れる自分」になっていきます。やろうと思ったときが、始めどきです。

◇  ◇  ◇

【取材後記】

子どもの頃よく見ていた某バラエティー番組でのスザンヌさんは、明るく天真らんまんで、どこかとぼけた受け答えがとてもチャーミングだった。取材で会ったご本人も、柔らかい笑顔やおっとりした話し方は、イメージ通りだ。

でも、話す言葉は明瞭でわかりやすく、内容には太い筋が一本通っている。学びへの純粋な意欲や、多忙な中での挑戦に対する覚悟をひしひしと感じた。「息子も一緒に頑張った」という言葉から、同じ机で励まし合いながら勉強する二人が目に浮かんだ。

卒業式では通信制の卒業生を代表し、壇上で卒業証書を受け取ったという。「読み上げられた生年月日の『昭和』に、全日制の生徒さんたちがざわついたんです」と笑いながら教えてくれた。「高校2年で中退した時、母親には『高い授業料でした』って言われちゃって。でも、やっと恩返しできたかな」

スザンヌさんの再入学に触発され、同じ高校の通信制に入学した75歳の女性がいるという。学び直しに遅すぎることはないのだと、改めて実感した。順調にいけば、スザンヌさんの大学卒業は、長男の小学校卒業と同じタイミング。その時までにまた、キャンパスライフについて話を聞いてみたい。(読売新聞生活部 福元理央)

「30代の挑戦」は、各界で活躍する女性たちにキャリアの転機とどう向き合ったかを、読売新聞の30代の女性記者たちがインタビューする企画です。

あわせて読みたい

スザンヌ
タレント

1986年、熊本県生まれ。14歳でモデルとして芸能活動を始める。上京後はマルチタレントとして活躍。2015年から熊本に活動拠点を移した。22年4月、日本経済大に進学。

Keywords 関連キーワードから探す