「老後の資金がありません!」の天海祐希を笑えない「長生きリスク」

「節約」がモットーの主婦、後藤篤子。老後は安泰のはずだったが、義父の葬儀に娘の結婚、浪費家の姑との同居など予期せぬ出来事と出費が続き、家計は大ピンチに。しかも会社が倒産して夫は失業、パート勤めの自分も正社員になるどころかリストラされてしまう・・・・・・。

家族を守るために奮闘する主婦を女優の天海祐希さんが熱演した映画「老後の資金がありません!」(原作は垣谷美雨著「老後の資金がありません」中公文庫)。身内の死や失業、「長生きリスク」(長生きすることにより老後の資金が足りなくなり、生活困窮に陥るリスク)など、社会保障のテーマが盛りだくさんなこの映画を見て、「アハハハ」と大笑いした後、「私の老後は大丈夫かしら」とちょっぴり不安になった方がいるかもしれません。

天海祐希主演の映画「老後の資金がありません!」は社会保障の問題が次々と襲ってくる
(C)2021映画「老後の資金がありません!」製作委員会

女性は長生き、なのに低賃金・低年金

そう、老後はずいぶん先の話とはいえ、女性の2人に1人は90歳まで生きると見込まれる時代。年金はじめ社会保障の知識を身につけることは、超長寿時代を生き抜く上で一つの有力な武器になるといえます。

ひとくちに「社会保障」といっても、給付でカバーされるのは高齢期だけではありません。幼少期、学生時代、勤め始めてけがや失業した時など、現役時代をカバーする給付もたくさんあります。年を取ってから受け取る年金にしても、20代や30代など、若い時の働き方が受取額には大きく影響します。

長生きなのに低賃金・低年金になってしまいがちなのが女性です。コロナ禍で「シーセッション(She-Cession、女性不況)」といわれるほど、女性は厳しい現状にあります。でも、制度に関する知識があれば、不安の度合いはずいぶん違ってくるはず。

働く女性に知ってほしい社会保障

この「働く女性と社会保障」のコラムでは、働く女性に知っておいてほしい社会保障や労働法の基礎知識を取り上げていきます。

コラムを読んでくださる方は会社員だったり、自営業者だったり、また、会社員でも正社員だったり、派遣社員だったり、さまざまな働き方をされていると思います。そもそも、どんな働き方が制度でカバーされるのでしょうか? 

コロナ禍で、非正規雇用で働く女性の苦境が伝えられますが、「非正規」と「正規」はどう違うのでしょうか? さまざまな「?」の解を探りつつ、制度について説明していきたいと思います。

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猪熊律子編集委員
猪熊 律子(いのくま・りつこ)
読売新聞東京本社編集委員

1985年、読売新聞社入社。年金、医療、介護、子育て、雇用分野での取材が長く、社会保障部部長を経て、2017年より現職。社会保障に関心を持つ若者が増えてほしいと、社会保障教育にも力を入れている。著書に「#社会保障、はじめました。」(SCICUS、2018年)、「ボクはやっと認知症のことがわかった」(共著、KADOKAWA、2019年)など。

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