テレワークなんて無理!子育て中の親を解き放つ「べきおばけ退治」

長引くコロナ禍に国際情勢の厳しさも加わり、ニュースに接するのもつらくなります。ただでさえ慣れない子育てに奮闘しておられる皆様の日々を察すると胸が痛みます。

祖父母や友人知人との行き来も、感染対策上、思うようにならないことでしょう。働き方もずいぶんと変化してテレワークが普及しているようですが、それも良し悪しです。「子どもの面倒を見ながら仕事をこなす大変さをどこまでわかっているの? 簡単にテレワーク推奨!なんて言わないで」という声が働くママから聞かれます。

専業主婦ママからは、夫が家にいる時間が長くなって3食作らなくてはならなくなったとか、赤ちゃんの泣き声で仕事の邪魔をしないように神経をすり減らすなどと聞きます。気晴らしに外出したくても、人が多い所に赤ちゃんを連れていくことは心配でしょうし、ぐずったり騒いだりしたときの周囲のまなざしも気になりますね。子育て家庭の窮状が思われます。

そんな中、親をなんとか支えようという動きも活発化しています。ファッション雑誌の「VERY」は昨年、「そんなの、かまへん!」特集を組みました。疲れて食事の支度ができないときはインスタントやテイクアウトで「かまへん」。外出もノーメイクで室内着にちょっとコートを羽織っただけで「かまへん」等々。手を抜けるところは手を抜いて「かまへん」ということです。

また、「“べき”おばけ退治」論も出ています。NHKではWEB特集も組まれていました。「母親はいつも笑顔で明るく優しくあるべきだ」「食事もおやつも手作りにすべき。それが母親の愛情だ」等々は、現実離れした理想論にすぎないということです。

「かまへん」特集も「“べき”おばけ退治」論も、その通りです。周囲の目や社会が母親たちを縛り付けてきた固定観念から解き放とうとしてくれているのです。現に地域では、こうした応援歌を地でいくような動きがあちこちで見られます。私がかかわっているNPO法人でも、家にいて外出がままならない親子に、地域の支援者さんたちがオンラインで励ましのメッセージを送ったり、子育てひろばでは感染対策に最大限注意を払いつつ、親子が憩えるプログラムを提供したりすることに努めています。

大変な今こそ、希望をもって

これほどコロナ禍に苦しめられるとは想定外でしたが、その中から大切な気づきも得られたように思います。とりわけ「当たり前の暮らし」の大切さ、人と人とが身も心も寄せあい、支えあう大切さに気づかされました。

今、ロシアの侵攻によって、ウクライナの人々が苦しむ姿に、平和が破壊されることへの心からの怒りと平和を願う気持ちを私たちは強めていますが、わが子の未来を思うママ・パパが誰よりもこうした気持ちを味わっておられることと思います。子育ては私たちの未来を託す壮大な営みです。新しい社会を築くために、無意味な固定観念から解き放たれましょう。大切なことは何かを見つめながら、細かなことはときに「かまへん」とスルーしていく心のしなやかさを持てたらと思います。

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「子育て応援団」のコーナーでは、子育て支援の専門家や医師、タレントらがリレー方式で、働きながら子育てをするママやパパに向け、元気が出るメッセージや日々の暮らしに役立つ知識を盛り込んだコラムを掲載します。

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子育て相談アドバイザーの大日向雅美・恵泉女学園大学長
大日向雅美(おおひなた・まさみ)
恵泉女学園大学長

1950年生まれ。神奈川県出身。専門は発達心理学で、主に母親の育児ストレスや育児不安の研究に取り組んでいる。NPO法人「あい・ぽーとステーション」代表理事、子育てひろば「あい・ぽーと」施設長も務める。著書は「増補 母性愛神話の罠」(日本評論社)、「おひさまのようなママでいて」(幻冬舎)、「『子育て支援が親をダメにする』なんて言わせない」(岩波書店)など多数。2007年に創設された「よみうり子育て応援団大賞」の選考委員を務めた。

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