「結婚しない生き方」選んだ先の「幸せ」見えていますか?

先日、いつも通り寝起きのベッドの中でTwitterのタイムラインを見ていたら、こんなツイートが目に入った。

「結婚しない若者問題」みたいなやつを「結婚したくてもできない人たちがいる問題」と「結婚しない人生を尊重してもらえない問題」に切り分けてほしい。

このツイートの反響は大きく、約2万のRTと7万を超える「いいね」があった。投稿した小説家の高山羽根子さんは、現代人の結婚観について「世の中の人は全て100パー結婚したいはず、からのスタートではない」「お金がたくさんあったらみんな結婚するか、といったら自分で稼げるんだからと独身を選ぶケースも増えるだろう」としたうえで、「若い人たち個別の幸福追求を尊重しないで、社会サイドに都合いいふうに少子化どうのって言っても、もうあんま意味ないと思う」と主張していた。

高山さんのツイートには、共感するコメントが多く寄せられていた。

「結婚したいわけじゃないけど、独身でいる自分に負い目を感じてしまう問題も追加で…」
「私は一生子供はいらないし自由に生きたいので結婚しなくていい派です!周りからは『結婚する(したい)のは当たり前』『子供産む(欲しい)のは当たり前』という体で話をされることは多いですね」

結婚について聞いたらハラスメント?

正直、こんなに当たり前で何度も話し尽くされた話題が、未だに世間の関心を呼び起こすことに少し驚く。「結婚する自由」があるのと同じで、「結婚しない自由」は当然のように保障されているものだと思っていたが、もしかすると想像している以上に、「結婚」という幸せの押し付けが根強く残っているのかもしれない。

確かに、付き合っている男女に「結婚しないの?」と尋ねたり、自分と同年代の人に「結婚しているの?」と聞いたりすることがある。もしかすると、こうした何げない質問が無意識の圧力になって、「結婚しないといけないんですか?」と不快に思う人もいるのかもしれない。最近は結婚に関する問いかけそのものが、ハラスメントではないかと指摘されることもある。

僕自身、30歳手前になって、「結婚はしないんですか?」と聞かれることも増えてきたし、その度に「あ、僕ゲイなんですよ」と繰り返している。個人的には、自分の考え方やアイデンティティーを説明するきっかけにもなるし、僕に興味を持って聞いてくれていると思うので、全く不快に感じることはない。はなから結婚するつもりがない人よりも、結婚したくてもできない状況の人の方が、結婚について尋ねられることに抵抗を感じたり、ハラスメントと思ったりするのではないだろうか。いずれにしても、TPOの問題だ。

今回話題になったツイートのように、「結婚しない生き方」も尊重しないといけないよねという啓蒙はこれまでも盛んにされてきたし、生き方の多様性に目を向ける人が増えてきていることは素晴らしいことだ。ただ、気軽に「結婚しない生き方」を選択していいのだろうか、という懸念を僕は持っている。結婚をすることはものすごく覚悟のいることだが、結婚をしないこともリスクがあって覚悟のいることだからだ。

結婚する生き方、結婚しない生き方について考えてみました
写真はイメージです

生きる目的となる「幸せの目標」

僕はゲイで結婚することはできないが、やっぱり結婚っていいなとつくづく思っている。人間は誰しも「幸せの目標」のような何かが必要なのではないだろうか。その小さな目標を一つひとつ達成していくことに「生きる目的」を見いだし、それが生きる幸せにつながると思うのだ。でも「幸せの目標」を見つけるのはなかなか難しい。「結婚」を利用するのが効率の良い方法なのだ。

それは、「あの人いいな」「好きだな」「付き合いたいな」という小さな願いから始まり、実際に付き合えるための努力をする。交際が始まったら、次は「同棲したいな」になり、同棲したら次は「結婚したい」「子供を作りたい」「子供をいい学校に入れたい」「孫がほしい」・・・・・・と次から次へと達成するたびに、さらに先にある目標を見つけられるのが結婚というレールの安定性なのだ。

ゲイのカップルは付き合って同棲しても、「じゃあ次どうする?」と2人で育む目標を見失ってしまうことが多い。生涯寄り添ってカップルもいるが、これがそう簡単なことではないのだ。もしも、結婚があって子供が作れたら、大変なことも多いかもしれないけど、生きる意味を感じられる大事な手段になるはずだ。

このような「小さな目標」は、結婚しない選択をする場合にも必要なのではないだろうか。「私は結婚しない人生を選ぶ」と言っても、「そのあなたが幸せになるために目標としていることは何ですか?」ということを考えられるのだろうか。

例えば「仕事が生きがい。結婚するより、仕事の成功が私の幸せだ」という人もいるだろう。そういう人は仕事に励み、夢中になっている間は幸せだと思う。でも、仕事で成功したら、生きがいを見失ってしまうのだろうか? その時に次の目標が見つかるのだろうか? 目標を達成した先に、次の目標をある程度見据えておくことが大事なのだ。

もちろん結婚しない生き方は尊重されるべきであり、素晴らしいことだが、結婚をすることと同じようにライフプランを立て、覚悟を持ってするべき選択の一つだと考えるのはそれが理由だ。だから、「私は結婚しない選択をしているんです」という人には、「どんな幸せの形を想定してるの?」と聞きたくなるし、「結婚はするんですか?」と尋ねることも、その人の人生に対する向き合い方や、その人自身を知る大事な質問になるのだ。

「結婚はしないんですか?」と聞かれて不快感を抱くのは、「結婚をしない選択」にまだ向き合えていない証拠なのかもしれない。

まあ、「何でお前にそんな細かいこと教えなきゃなんねーんだよ。私にそこまで興味持つなよ」と言われればそれまでなのだけど。

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小原ブラス顔写真
小原 ブラス(こばら・ぶらす)
タレント・コラムニスト

1992年、ロシア・ハバロフスク生まれ。6歳から兵庫県姫路市で育つ。「見た目はロシア人、中身は関西人」として、テレビのバラエティー番組やYouTubeで「ピロシキーズ」として活躍。コテコテの関西弁で政治や社会問題を鋭く斬るコメントで注目を集める。コラムニストとして様々な媒体で執筆、ロシア人の目から見た日本の疑問点や違和感を率直につづる。

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