【国際女性デー】災害時の避難生活、快適にする女性の視点に注目

3月8日は国連が定めた「国際女性デー」だ。国内外でジェンダー平等への関心が高まる中、男性中心だった分野に風穴を開け、現状を打破しようとする女性が増えつつある。災害が頻発する中、避難生活を快適にする女性の視点が注目されている。

下着洗濯用バッグ

防災グッズを手がける「ファンクション」(東京)社長の本間麻衣さん(44)は、災害時に役立つ洗濯用バッグと下着のセット「レスキューランジェリー」の販売を2014年から始めた。15年の関東・東北豪雨で鬼怒川の堤防が決壊し、被害を受けた故郷の茨城県常総市に支援物資としてこの商品を届けた。

「レスキューランジェリー」の洗濯用バッグを手にする防災グッズを手がける「ファンクション」(東京)社長の本間麻衣さん
「レスキューランジェリー」の洗濯用バッグを手にする本間さん

被災者の女性から「下着の洗濯はボランティアにはお願いしづらい。助かります」と感謝され、「起業して良かった」と心から思ったという。

災害時、人目に触れたくない下着の洗濯は女性の困りごとの一つ。この商品は、バッグに少量の水と添付の洗剤を入れて振り洗いできる。臭い対策として、セットの下着には防臭効果のある竹の繊維を使っている。

13年に起業した当初は、幅広い世代に対応した女性用下着の販売を検討していた。東日本大震災で下着や洗濯に困る人が多かったことから、方針転換した。

商品を手に、16年の熊本地震、18年の西日本豪雨などにも支援に向かった。「下着などは人目につく場所に干したくない」など被災者の声を取り入れ、洗濯用バッグを筒状のカバーにして内部で干せるようにしたことで、洗濯物が見えないように改良した。

今後は家族構成に応じた備蓄などを助言するウェブサービス展開を目指す。本間さんは「女性の視点を生かし、安心して生活するための備えを提供できたら」と意気込む。

ポリ袋で調理するレシピ集

被災経験を災害支援に役立てようと取り組む女性グループもある。新潟県長岡市を中心に活動する「中越市民防災安全士会」は、04年の中越地震で大きな被害を受けた市民らが、防災意識を高めようと07年に結成した。その後も大災害が相次ぎ、16年に設立したのが女性部「シュークリーム」だ。

初代部長の土田直美さん(56)は「災害の時に最も弱い立場になるのが女性や子ども。女性の立場に立ってサポートする活動が必要と感じた」と話す。

「シュークリーム」のメンバーが講師を務める防災教室(提供写真)
「シュークリーム」のメンバーが講師を務める防災教室(提供写真)

メンバーは管理栄養士や看護師ら20人。避難所生活を体験した同会副会長の石黒みち子さんも「当時は災害への備えを十分しておらず、一時は生きる望みも失った。同じ思いをする人を増やしたくない」と活動への思いを語る。

活動の一つが、20年に作成したポリ袋で調理する防災食レシピ集だ。常温保存できる食材を使い、加熱せずに袋の中で食材と調味料をあえるなど簡単に調理できる点が特徴で、切り干し大根サラダや親子丼など11品を紹介する。レシピ集を基に講座を開き、小中学校の授業でも指導する。

「女性の目線を防災に生かすことが、みんなが安心できる社会につながる」と土田さん。様々な分野で女性たちが未来を変えつつある。

防災会議委員 30%が目標

国の第5次男女共同参画基本計画は、防災分野での女性のリーダーシップの重要性を指摘。都道府県や市区町村の防災会議で、2025年までに女性委員の割合を30%とすることなどを成果目標に掲げている。

一方、内閣府のまとめによると、21年4月時点の女性委員の割合は都道府県は平均16.1%、市区町村では同9.3%にとどまっている。(読売新聞生活部 大郷秀爾)

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