【国際女性デー】落語で新人賞に輝いた女性が放った「じじいども、見たか」

3月8日は国連が定めた「国際女性デー」だ。国内外でジェンダー平等への関心が高まる中、男性中心だった分野に風穴を開け、現状を打破しようとする女性が増えつつある。飛躍する女性たちを紹介する。

“男の芸”ネタ追求し大賞

「じじいども、見たか」

2021年11月、若手落語家の日本一を決める「NHK新人落語大賞」で優勝に輝いた桂 二葉によう さん(35)が、記者会見でこう口にした。50回の歴史で女性の優勝は初めて。入門後、女性として体験した様々な苦労が頭をよぎって出た言葉だった。

大学生の頃、笑福亭鶴瓶さんのファンになって落語にのめり込み、11年に桂米二さんに入門した。入門前は「落語は男の芸能。育てる自信がない」と何度も断られた。入門後も、高座の座布団を演者が代わるたびに返す「高座返し」だけやるよう言われたことも。セクハラにも遭った。

古典落語は男性が演じるために作られている。二葉さんが所属する上方落語協会は、249人の落語家のうち女性は17人だけ。他の落語主要団体も女性は1割に満たない。

古典落語の主な登場人物は若旦那やご隠居などで、男性目線で描かれている。女性落語家の中には、登場人物を女性に変えたり、新作を作ったりする人もいる。

高座で熱演する桂二葉さん
高座で熱演する桂二葉さん(本人提供)

だが二葉さんは「そういうやり方は私には似合わない」ときっぱり。得意とする「アホ」を自然に演じられるネタを追求した。新人落語大賞の演目「 天狗てんぐ さし」では、子どものような甲高い声を生かし、天狗を捕まえ、すき焼き屋を開いてひともうけしようとするアホな男をみごとに演じた。

女性だからと我慢したくはない。「この世界で生きる女性が増えれば、落語の魅力も広がると思う。大きな賞をとって、言葉に説得力が出てきたかも」と笑顔を見せた。

溶接指導技術に性別なし

群馬県立高崎産業技術専門校で溶接技術を担当する職業訓練指導員の小池千恵子さん(35)は「溶接の魅力を伝えて、この世界に入る女性が増えたらうれしい」と笑う。同校唯一の女性指導員だ。

県内の刀鍛冶の家に生まれた。大学院を修了後、関西の飲料メーカーで生産管理を担当していた頃、ものづくりの技術を身につけたいと思うようになり、15年春、同校に入校。溶接を選んだが、「金属をつなげるという意味では、溶接と刀作りは同じかなと思った」と振り返る。

上達するのがうれしく、どんどん引き込まれた。特に好きなのが電気を使う「被覆アーク溶接」。力仕事では男性にかなわないが、溶接棒と金属との間を3ミリ程度に保つ細やかな技術に性別は関係ない。

粕谷さん(左)に溶接を教える小池さん(群馬県高崎市で)

2年間の在学中に溶接技術を競う大会で入賞。修了後、同校非常勤職員などを経て、昨年4月に指導員になった。同校2年の粕谷 向日葵ひまわり さん(20)は溶接を学ぶ唯一の女性で、「小池先生のような人がいると溶接をやりたい女性が増えるかも」と話す。

人手不足が続く建設業界。小池さんは「現場で働く女性は増えてきたが、まだまだ男性の職場。女性も日本のものづくりを支えるようになってくれたら」と期待する。

女性就業率 建設業は17%

総務省の「労働力調査」によると2021年に建設業に就業している女性は82万人で、女性就業率は17%。全産業の45%と大きな差がある。国土交通省と業界団体は20年、「女性の定着促進に向けた建設産業行動計画」を策定。建設現場での女性用トイレや更衣室などの整備、柔軟な働き方の導入を目指すなどの目標を掲げた。(読売新聞生活部 福島憲佑)

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