【国際女性デー】「政治は変えられる!」超ポジティブに、若者の声が響く社会を目指す

「偉そうな大人がみんな投票に行こうって呼びかけるけど、『#どうして投票しないといけないの?』」。一般社団法人「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さん(23)は、国政選挙の際、インスタグラムでこう発信しました。若者の声を社会に届けたい。若い世代が政治参加することをもっと当たり前にしていきたい――。何が彼女の心を突き動かしたのでしょうか。

前回の参議院選挙を間近に控えた2019年7月、「10代、20代の投票率を上げたい」とインスタグラムメディア「NO YOUTH NO JAPAN」を開設。若い世代に選挙や政治に関する情報の発信を始めました。

「政治って偉い人たちが勝手にやるもんだと思ってない? 本当は違うんだよ」などと、親しみやすいメッセージを、ポップな図解やイラスト付きで投稿すると、投票日までのわずか2週間で1万5000人ものフォロワーが集まりました。「それまでインスタグラムで政治に関する情報を発信する日本語メディアがなかった。選挙や政治について何か考えなくっちゃ、と思っている若者は確かにいるんだと手応えを感じました」

Z世代のリーダー、NO YOUTH NO JAPAN代表理事 能條桃子さん 大手小町 読売新聞

活動を始めた当初、能條さんはデンマークの全寮制の学校に留学中でした。目的は、これからの日本をよくするヒントを探るため。大学時代に国政選挙の候補者事務所でのインターンシップの経験があり、日本の若者の多くが投票に行かない現状に問題意識を持っていました。デンマークでは若者の投票率が80%を超えています。消費税は25%なのに、幸福度ランキング上位の常連です。「なぜこんなにも政治への関心が高いのか、高い税金を払いながらも幸福度の高いくらしがどうしたら実践できるのだろう? その理由も知りたかった」と振り返ります。

ポップコーン片手に政治の話

留学中に現地の国政選挙や欧州議会議員選挙があり、日本で見てきた選挙や政治と何もかも違っていて、驚いたそうです。「デンマークの若者は、政治についてよく知っているし、選挙のときはポップコーンを食べながらみんなで党首討論を見て、友達と投票先について語るんです。選挙に対してワクワクしていることが伝わってきました」

国政選挙や政党の情報は、ビジュアルを中心に発信されていて、外国人の能條さんにもわかりやすかったと言います。選挙では41歳の女性が首相に選ばれ、翌日の新聞で、「閣僚20人のうち女性7人は少ない。なぜ10人にならなかったのか」と書かれた記事も目にしました。何より若い世代が、「自分たちの社会は、自分たちで変えていける」と信じて行動していることに刺激を受けたそうです。

Z世代のリーダー、NO YOUTH NO JAPAN代表理事 能條桃子さん 大手小町 読売新聞

「日本の投票率を上げるために何か自分にできることがあるはず。行動を起こしたい」。同時期にデンマーク留学中だった日本の友人4人に声を掛け、活動を始めました。友人らとは政治、ジェンダー、環境問題などおのおの関心のあるテーマで、ブログで発信していたのですが、インスタグラムの開設へと発展していきます。

現在のインスタグラムのフォロワーは約8万4000人。活動には、大学生を中心に、高校生から社会人まで約70人のメンバーが参加しています。メンバーは国内外にいるため、月1回の定例会議はオンラインで開催し、日頃の連絡はメッセージアプリで行います。

チームごとに活動し、インスタチームは選挙や政治の基本情報から、気候変動やジェンダー平等など社会的なニュースを投稿。政治と社会の「教科書」となる書籍を出版したチームもあります。ファッションや結婚といった視点で政治や社会を考えるイベントやキャンペーンを企画するチームや政治家と対話する機会を設けるチームもあり、SNSでの情報発信にとどまらない活動を展開しています。

ハッピー野郎「まずは自分が変わる」

楽観的で物事をなんでも超ポジティブに捉えるため、メンバーから「ハッピー野郎」と言われることも。そんな能條さんが人生をデザインする上で、大事にしているのが、「見たいと思う世界の変化に、まずは私がなる(Be the change you want to see in the world)」という言葉。インド・独立の父と言われるマハトマ・ガンジーによるものです。「まずは自分が変わることが、社会が変わっていくことになると信じています。思い立ったらすぐ行動できること、社会で起きていることに対して圧倒的な当事者意識を持てることが、私の強みだと思っています」

ちょうど1年前には、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長だった森喜朗氏の女性蔑視発言に抗議する署名活動を仲間と始め、15万筆を集めました。発言を聞いて、怒りがこみ上げ、忘れられなくて眠れなかった。「できることをしなきゃ。こんなことで怒るのは私たちの世代で終わりにしたい」と立ち上がりました。

「人生をかけて、ジェンダーと政治、気候変動の問題に関わっていきたい」と言います。日本の女性議員の割合は衆院議員で9.7%、参院議員で23.1%、地方自治体の首長においては全体の2%と極端に少ない。「せめて自分と同世代の20代は、政治家が男女が半々の状態になり、企業などで働く際は、性別を問わず、自分でキャリアを選択できる社会にしていきたい。次の世代によりよい未来を受け渡していくために、活動を続けていきます」

(読売新聞メディア局 谷本陽子)

3月8日の国際女性デーに合わせ、女性の活躍やダイバーシティー&インクルージョンの推進に大切なことは何か、Z世代と呼ばれる若い起業家やリーダーたちに聞きました。次世代を担う彼らが、人生をデザインする上で大切にしていることとは――。

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能條 桃子(のうじょう・ももこ)
「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事

1998年生まれ。神奈川県平塚市出身。2016年、慶応大学に入学。デンマークへの留学を機に、19年にインスタグラムメディア「NO YOUTH NO JAPAN」を開設。その後「NO YOUTH NO JAPAN」を一般社団法人化し、若者の政治参加を日本のカルチャーにすることを目指し活動している。慶応大学大学院に在学。

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