【国際女性デー】「阿波女」3人、徳島の経済を引っ張る

3月8日は国連が定めた「国際女性デー」だ。国内外でジェンダー平等への関心が高まる中、男性中心だった分野に風穴を開け、現状を打破しようとする女性が増えつつある。飛躍する女性たちを紹介する。

団体トップに3人 活躍広げ地域再生に

徳島市のホテルで1月、徳島県内の経済5団体による新年祝賀会が開かれた。団体トップ6人のうち3人が女性で、全国でも例がないという。

知事らのあいさつ後、徳島大学長に促されて手締めの音頭を取ったのは、徳島経済同友会代表幹事2人のうちの1人、坂田千代子さん(62)。三本締めと阿波踊りを融合させた、坂田さんオリジナルの「徳島三本締め」で音頭を取った。柔軟な発想で場を和ます姿に、会場は笑顔と手拍子で盛り上がった。

女性活躍推進に力を注ぐ徳島経済団体トップの(左から)寺内さん、林さん、坂田さん
女性活躍推進に力を注ぐ徳島経済団体トップの(左から)寺内さん、林さん、坂田さん=提供写真

坂田さんは、創刊まもないタウン情報誌「あわわ」の編集者として育児をしながら働き、編集長や営業部長を経て44歳で2代目社長に。59歳の時、前代表幹事だった阿波銀行会長から打診され、初の女性トップとなった。

同友会は企業経営者が加入する組織で、徳島の女性会員は1割弱。「女性活躍推進で地域経済を活性化させたい」と意気込み、委員会設置や行政、経営者への提言などを行ってきた。今は、明るく働き者で知られる「阿波女」をブランド化し、地域再生につなげたいと模索する。

男女共同参画に詳しい、四国大学短期大学部教授の加渡いづみさんは「組織のトップに女性が立ち、その姿が広く『見える化』される意義は非常に大きい。続く女性たちの大きな励みになり、組織も活気づく」と評価する。

実際、徳島商工会議所では、2019年に初の女性会頭として寺内カツコさん(83)が就任すると、女性社長らが会議所内の女性会や部会、委員会に積極的に参加するように。行政の審議会委員になる人も増え、「女性の声を幅広く届けられるようになった」と寺内さんは胸を張る。夫を亡くした後、約35年にわたって繊維機械部品製造「寺内製作所」を率い、国内有数の企業に導いた。その手腕と、穏やかで温かみのある人柄が後輩女性に慕われている。

全国平均上回る

女性トップの出現の影響を受けてか、徳島では女性の役員や管理職の比率が伸びている。帝国データバンクが21年、全国1万992社の女性登用の状況を調査したところ、徳島県に本社を置く企業の女性管理職平均比率は、全国平均(8・9%)を上回る全国1位(13・6%)だった。また、社長を含む女性役員の平均比率は23・2%で、全国平均(11・8%)の約2倍で1位だった。

藍染めやお遍路への接待文化で知られる徳島は、藍関連や飲食、宿泊業などの中小が古くから多く、女性も商売で重責を負ったり、家業を継いだりしてきた。そんな歴史も背景にはあるという。

経団連を構成する地方組織の徳島県経営者協会では、19年から林香与子さん(75)が会長を務める。経団連の地方組織で初の女性トップだ。家業のレンコン加工「マルハ物産」を継ぎ、親の借金返済に追われながら、がむしゃらに働いた。国内トップクラスの企業に育て、今は会長だ。

フットワークが軽く、東京での経団連の会議にも毎月のように出席するが、「女性はごくわずか。不自然ですね」と苦笑い。「徳島はトップ3人が女性なのだから、もっと女性活躍を広げて地域再生につなげられたら」と意気込む。

管理職比率13.3% 先進諸国と隔たり

日本の経済分野での女性登用は、世界の中で大きく遅れている。2021年版男女共同参画白書によると、公務員を含む日本の女性管理職比率は13.3%。アメリカやイギリス、フランスなど、他の先進諸国は30~40%台で、大きな隔たりがある。アジア地域でも、マレーシア(23.3%)や韓国(15.7%)に後れを取っている。

このため日本政府は16年に女性活躍推進法を施行し、企業に積極的な取り組みを求めている。当面の目標は、管理職や役員など、指導的地位に占める女性割合を、20年代の早期に30%程度に引き上げることだ。(読売新聞生活部 板東玲子)

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