大手都市銀行の普通預金の金利は、0.001%と超がつくほど低金利ですが、最近、長期金利が上がった影響で、個人向け国債の変動10年の金利が6年ぶりに0.1%台に上昇。最近、個人向け国債に注目が集まっています。そこで、今回は、個人向け国債の種類や活用法などについてお話しします。
個人向け国債とは
債券の中でも、国が発行する債券のことを「国債」といいます。個人向け国債は、日本国が個人でも買いやすいようにして発行している債券です。
個人向け国債を購入すると、半年に1度、国から利子を受け取れます。そして満期になると、購入したお金が戻ってきます(償還といいます)。最低1万円から購入できるので、初心者でもトライしやすいでしょう。
個人向け国債には満期までの期間が異なる「固定3年」「固定5年」「変動10年」の3種類があります。固定3年と固定5年は購入時の金利が満期まで続くものになっています。それに対し、変動10年は、実勢金利に応じて、金利が半年ごとに見直されます。金利が変動するので受け取る利子の金額は確定しませんが、満期に額面金額が償還されるのは同じです。
つまり国債は、約束された利子を受け取りながら、期日がきたら貸したお金を返してもらえることが約束された、国が発行した証明書と言えます。
個人向け国債は、大きく五つの特徴があります。
<1> 購入できるのは個人に限定されている
個人が買いやすいように、購入単位が小さくなっています。
<2> 1万円から購入できる
証券会社や銀行などで1万円から購入できます。
<3> 発行後1年を経過すれば、中途換金ができる
個人向け国債は購入から1年を経過すれば、ペナルティーはありますが、1万円単位で解約することができます。急に資金が必要になった時など手軽に解約できる流動性の高さも特徴です。
<4> 元本割れがない
中途換金した場合のペナルティーはありますが、元本割れはしない設計になっています。
<5> 年率0.05%の金利の最低保証がある
大手都市銀行の普通預金の金利は0.001%なので、預金よりも有利です。
2022年2月募集分の個人向け国債の金利を見てみると、固定3年と固定5年は、0.05%(税引き前)となっていますが、変動10年については、最近の長期金利の上昇を受けて、0.11%(税引き前)となっています。
個人向け国債・変動10年の金利が0.1%台となるのは、実に6年ぶり。今後の金利動向にも注目していきたいところですね。
個人向け国債の活用方法は?

国債は日本政府が発行している債券なので、安全性の高い投資先といえます。普通預金はもとより、定期預金よりも高めの金利となっているので、定期預金をするつもりで始めてみるといいかもしれません。
例えば、なんとなく普通預金にお金を貯めているという方は、定期預金よりも金利が高い固定3年の個人向け国債を買う方が効率よくお金が貯まるでしょう。
または、留学の費用など、5年以内に使うと決まっているお金は、しばらくは使わないお金なので、普通預金よりは有利な預け先を使いたいところです。とはいえ、いざ使うときに元本割れしているようでは困ってしまいますので、固定5年の個人向け国債を購入するのもよいでしょう。
さらに、今後の金利上昇に期待するのであれば、変動10年を選ぶとよいでしょう。ボーナスの貯金部分など、しばらく使わず貯めておきたいお金の預け先として有用です。
三つの個人向け国債、それぞれの特徴をよく理解して、上手に活用していきましょう。
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