パイナップルの葉がアロハシャツに変わる…環境に優しい服に注目

廃棄される果物の茎や葉、規格外で市場に出回らない野菜などが、ファッション業界で素材として注目を集めている。生地や染料の一部として使われて服やバッグ、靴などに生まれ変わり、環境負荷の低い商品として提案されている。

バナナで生地が作れます

繊維商社・MNインターファッション(東京)が開発したのは、バナナの茎を加工した生地「バナナクロス」だ。乾燥させた茎から繊維を取り出して糸にし、綿と混紡して作る。吸水性などは綿や麻と変わらない。

バナナクロスを使った服を手にする笠井さん。MNインターファッションはジーンズやTシャツなどを提案している(東京・北青山の同社ショールームで)
バナナクロスを使った服を手にする笠井さん。MNインターファッションはジーンズやTシャツなどを提案している(東京・北青山の同社ショールームで)

2022年春夏シーズンから本格的に販売を始めるが、すでに大手アパレル企業で、ジャケットやジーンズの素材として採用されている。糸はやや太めでカジュアルな装いに向いているが、より細い糸の開発を進め、多様な装いの提案ができるようにする。

フィリピンのバナナ産地では収穫後、茎は伐採され、一部は肥料になるが、多くは焼却処分されたり、野積みされて腐敗し、地下水を汚染したりすることもあるという。MNインターファッションの開発担当、笠井克己さんは「繊維を作るために新たに耕作したり農業用水を使ったりすることもなく、環境に優しい」と語る。

パイナップルの葉からアロハシャツを作る

廃棄されるパイナップルの葉から新たな生地を誕生させたのが、素材メーカー・フードリボン(沖縄県)だ。台湾や中国などで栽培されたパイナップルの葉から繊維を取り出し、オーガニックコットンを混紡して作った生地は、通気性が良い。同社サイトで、アパレルブランドと協業したアロハシャツなどを販売している。

パイナップルの葉から生まれた生地を使ったアロハシャツ(フードリボン提供)
パイナップルの葉から生まれた生地を使ったアロハシャツ(フードリボン提供)

東南アジアで葉を服の素材として使う例があることを知り、フードリボンも20年に繊維の開発を始めた。社長の宇田悦子さんは「土に返すことができる素材として注目を集めています」と力を込める。

野菜の切れ端などから染料…今までにない優しい色合い

染料として使う動きもある。繊維商社・豊島(愛知県)は15年から、規格外で市場に出回らない農作物、コーヒーの出し殻、カット野菜の切れ端などを、契約した農園や企業約20社から買い取り、成分を抽出して作った染料を用いた生地を販売。豊島の谷村佳宏さんは「今までにない優しい色合いが出る」と話す。同社サイトで、生地を使った靴下やエプロン、Tシャツなども扱っている。

店員の前に並べられた、アップルレザーを使ったバッグや靴
アップルレザーを使ったバッグや靴

環境に優しく、アパレル大手も注目

大手アパレル企業も再利用された天然素材に注目する。アパレル大手・アダストリアの子会社が運営するサステナブル(持続可能な)ファッションブランド「オー・ゼロ・ユー」は、ジュースやジャムを作る過程などで廃棄されるリンゴを粉末状にし、木材パルプと混ぜるなどした合皮「アップルレザー」を用いて、バッグや靴を製造、販売する。

ファッションジャーナリストで、日本エシカル推進協議会副会長の生駒芳子さんは「大量生産、大量消費、大量廃棄によって環境負荷の高いファッション業界が、廃棄物から洋服の新たな素材を生み出そうとするのは、時代の流れからして必然。サステナブルファッションに対して消費者の関心が高くなることで、動きはより加速していくだろう」と分析している。(読売新聞生活部 梶彩夏)

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