コスモポリタン 悩んだときは「ジョジョの名言」で気合!

ポジティブな気持ちになれたり、仕事の役に立ったり。自分らしく、生き生きと働く女性たちの「ハッピーアイテム」を紹介します。

服部瑛里奈(31)
ハースト・デジタル・ジャパン 「コスモポリタン」日本版 編集長

オンラインメディア「コスモポリタン」日本版で、編集長を務めています。Z世代、ミレニアル世代のデジタルネイティブの読者に向けて、ダイバーシティーやLGBTQ+、サステイナブルといった社会派のトピック、海外の文化などを、柔らかい切り口で紹介しています。

コスモポリタンは1886年にニューヨークで誕生した、世界約80か国で展開するグローバルメディア。その強みを生かし、欧米で広がりつつある新しい価値観や言葉を日本に輸入し、わかりやすさを重視して記事を作っています。例えば、精神的なDVと言われ、誤った情報を信じ込ませて相手を追い詰める「ガスライティング」という言葉や、性差による「オーガズムギャップ」、自分の体や外見、体形をそのまま受け入れる「ボディ・ニュートラル」という概念などを、発信してきました。

オリジナルのマンガ連載にも力をいれています。海外の働き方やキャリア形成、国際恋愛などさまざまなテーマで作家に描きおろしてもらったものを配信し、読者に親しみやすい形で伝えています。気軽に楽しく読んでいるうちに、気付きや啓発につながるコンテンツ作りを心がけています。

ハースト婦人画報社「コスモポリタン」編集長の服部瑛里奈さん 大手小町 読売新聞

初の管理職、ぶつかった壁

子どものころから本や雑誌、マンガが好きでした。ストレス発散方法は自分で文章を書くこと。本好きが高じて、大学生の時、書店でアルバイトをしていました。自然と出版社で働きたいと思うようになりました。

大学時代にオーストラリア・シドニーに1年ほど留学していたことも、多様なテーマを扱う今の仕事につながっています。「マルディグラ」という世界最大規模のLGBTQ+のパレードがある都市で、さまざまなバッググラウンドの友達ができ、社会の多様性について考え、理解する一歩になりました。卒業後、メンズファッション誌など雑誌の編集者を4年経験した後、2016年にハーストに転職。デジタルメディアとしてスタートしたばかりだった「コスモポリタン」に編集者として加わりました。

紙媒体とは表現方法が異なるうえ、ネット検索で自社サイトを多く露出するための「SEO対策」や、情報技術(IT)リテラシーなど学ぶことが多く、最初は戸惑いました。デジタルマーケティングについて一つ一つ教わり、コンテンツ制作では同世代の読者と同じ目線で学び、一緒に考える姿勢を大事にしてきました。29歳で編集現場のリーダーであるコンテンツマネジャーに抜てきされ、30歳で編集長を任されることになりました。

「自分のチャレンジになるし、その方が人生も面白いはず」と思い切って大役を引き受けたものの、すぐに壁にぶつかりました。デスクや副編集長を経ていないので、マネジメントをした経験が一切なかったためです。部内や社内の調整、コスト管理など、今まで意識してこなかった業務を突然担うことになったのです。

「ブチャラティに共感する日がくるなんて」

ハースト婦人画報社「コスモポリタン」編集長の服部瑛里奈さん 大手小町 読売新聞
「エトセトラ」「IWAKAN」などフェミニズムや多様性に関する雑誌を日々読んで勉強しているという服部さん

日々、コンテンツを消費しています。ネット記事も読むし、映画もみる。小さな出版社のZINE(ジン)などの冊子も、作り手の「好き」や「伝えたいこと」が詰まっているから好んでそばに置いています。家事をしているときや、入浴中はラジオやポッドキャストなどの音声コンテンツを楽しんでいます。これらが、ときに企画の糸口になることもあります。

悩んだとき、気合を入れ直したいときに手に取るのが、マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」(荒木飛呂彦作)です。文庫版コミックのセットをベッドサイドに置いています。ジョジョにはさまざまなタイプのリーダーが登場し、それぞれが揺るぎない信念を持って行動をしていて魅力的です。

編集長の仕事には、正解がありません。これまでの人生ではリーダーになることを避けてきた私に、リーダー像を示してくれたのが名言だらけのこのマンガです。例えば第5部に登場するキャラクター「ブチャラティ」はマフィアの幹部で、ボスから命じられた任務を遂行し、同時に部下も守らなくてはいけません。「両方やらなくちゃあならないってのが、幹部のつらいところだな」「覚悟はいいか? オレはできてる」とブチャラティは言うのです。

編集長として会社に求められる成果をあげなくてはならず、一方で予算の獲得などチームのメンバーが仕事しやすい環境も守らなくてはなりません。「両方やらなくちゃ」と一人悩んでいたとき、ジョジョを読み返し、「もしかして私の状況、ブチャラティに近いのでは」と共感し、その覚悟に勇気づけられました。編集部のメンバーと一緒に学びながら成長するという自分なりの「編集長スタイル」でやっていこうと決意しました。

第7部に登場するディオというキャラクターの母親が、こう語っています。「どんなに貧しくても気高さだけは忘れてはいけない」。何をするときにも「自分の軸」にしている言葉です。それは自分が誇れるものなのか――。行動や選択する際、いつも自分に問いかけています。

居心地のいいメディア

編集部員は全員、平成生まれの20代。「卵子凍結の体験談」「同性カップルが子どもを迎えるには?」「ペットショップで犬を買う=悪なのか」など、20、30代の関心の高いテーマを問いかけることもあります。読者にとって「居心地のいい」メディアであるために、決めつけや、押しつけではなく、読んでいるうちに人生の選択肢が広がるようなコンテンツを作っていきたいと思います。

(読売新聞メディア局 谷本陽子)

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