「ママが楽しむ」が最優先、頼りまくりの甘えん坊育児とは

仕事をしていてよく言われるのが、「そんなに忙しく仕事しながら子育てもしていてすごいですね!」というお褒めの言葉。社交辞令かもしれないけれど、褒められるのは素直にうれしい。でも、実は全くすごくなんてない。

仕事を忙しくするのは、自分の時間を作るため、子育てからの逃避でもある。褒められたいから本当はあんまり教えたくないのだが、私の子育ては、いかに楽で効率良く、自分がいっぱいいっぱいにならないよう、頼れるものにはなんでも頼りまくりの甘えん坊子育てだからだ。

2017年に長女が生まれたが、産後10日くらいで、仕事に復帰した。その頃、スタイリングを担当していたファッションブランド「5-knot(ファイブノット)」のショーに出演するモデルのオーディションの仕事だった。

自宅からリモートで参加する選択肢もあったが、写真や映像ではわからない部分も多いし、何より現場に行きたかった。この話をするとすごく驚かれるけれど、褒められたようなことではない。

フリーランスなので毎日定刻に出社するわけでもなく、案件ごとに動く仕事なのでできたことだとも思うし、産休・育休の手当もないので、働いていない間はほぼ無収入になることも、早く復帰したいと思う一因だった。

不安がっているよりオムツ代稼ごう!

娘は予定日より1か月早く産まれ、低体重でNICU(新生児集中治療室)に預けられることになった。産後ママの多くは頻繁な授乳が必要で、ほとんど寝られない時期だが、私の場合は、事前に搾乳しておいた母乳を病院に届けて、娘はそれを口から胃へとつないだチューブで飲んでいたので、娘のお世話は基本的には看護師さん。

私は抱っこもほとんどできなかった。当時はかわいい我が子が生まれてきてくれたという喜びと、産院の先生が安心できる説明や接し方をしてくれたので、不思議と不安にならなかった。ならばせっかくだし、病院と看護師さんたちに思いっきり甘えてしまおう。手厚い医療体制の病院にいれば安心だし、と楽観的だった。

保育器の中の娘を一日中見つめて心配していたって何も変わらないし、そうしていると不安な考えがどんどん募っていくように思った。それなら外に出て仕事していた方が気が紛れるし、せっかくならオムツ代を稼ごう!と仕事復帰しただけなのだ。

おかげさまで2か月ほどで退院し、元気に成長中の娘だが、今でも子育てにおいて頼れるものには頼りまくっている。広島の実家から親を呼び寄せたり、独身の妹に近所に引っ越してきてもらったり。アシスタントに送り迎えはしょっちゅうお願いしている。

娘にも頼っている。「ママが仕事の間、YouTube見ててね」「ちょっと1人で遊んでてね」「今日はシッターさんと一緒にいてね」「じいちゃん、ばあちゃんと遊んでてね」――。赤ちゃんの頃から親の都合で撮影現場やら、プレスルームへの洋服の貸し出しやらに連れ回しても文句も言わず(言えず)付き合ってくれた娘。親の生活に合わせてもらってばかり。7か月のころから保育園にほぼ週5日で登園している。

日曜や夜間に急な打ち合わせが入って、身内もシッターさんも頼めないときなどは、子連れで仕事に向かうこともある。洋服のコーディネートを組む横で、泣き出した娘をファッションブランドのPRの方に抱っこしてあやしてもらったことも。たくさんの方に助けてもらっている。

「大手小町」の人気連載「オピニオン」スタイリスト入江陽子さんが子育てについてつづります
卓球にハマった娘。娘に可愛い洋服を買うのはほぼ自分のため(入江さん提供)

これが娘のためになっているかどうか、子育てとして正しいのかはわからないが、少なくとも私は、育児に対してつらいなどのマイナス感情を持たずに楽しめている。

延長保育で遅い時間のお迎えとなり、保育園に残るのが我が子一人だけの状況に、寂しい思いをさせているかなと心配になるときもあるけれど、娘にとっては先生を独り占めできる時間。うれしそうに遊んでもらっていて、母の顔をみて「もう来たの?」と言わんばかりに、「まだ帰らない」と駄々をこねることも。親にあわせて、たくましくマイペースに育ってくれている気がする。

夫は長期出張中で、今、絶賛「ワンオペ」中でこの原稿を書いている。さらに仕事の撮影ラッシュで、昨日のことも覚えていないくらい、毎日ヒーヒー言いながらの生活の中、突然、新型コロナによる保育園休園の連絡。急きょ頼れそうな各所へスケジュールを確認し、なんとか子守りの手配ができるまでは、さすがに大変だった。

産後の女性に物忘れがひどくなったり、注意力散漫になったりといった症状が出ることを「マミーブレイン」というらしいが、それって母親にはタスクも心配事も多すぎるからなんじゃないかって思う。

でも、母親って、グチったり、ヒーヒー言ったりしながらも器用にできてしまうんだよな。やるしかないからやっているとも言える。だから、すごいなんて思わない。育児も仕事もすることが特別なことではなく、当たり前であるべきだと思っている。そのためには、甘えたり、ラクしたり、さぼったりしてもいいから、自分が楽しめる範囲でやることが第一優先でいいと思っている。

「大手小町」の人気連載「オピニオン」 スタイリスト入江陽子さんが子育てについてつづります
母の誕生日をお祝いしてくれる娘(入江さん提供)

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入江陽子さん顔写真
入江 陽子(いりえ・ようこ)
スタイリスト

1985年、広島県生まれ。文化女子大学(現・文化学園大学)卒業。スタイリスト長瀬哲朗氏のアシスタントを経て2013年独立。「NYLON JAPAN」や「GINZA」、「装苑」などのファッション誌や広告、アーティストのスタイリングなどを手がけている。

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