働きながら子育ては「罰ゲーム」? 女性活躍のリアル

働きながら子育てをしているワーキングマザーのことを考えるとき、私は国の少子化対策の会議で出会ったある40代のキャリア女性の声を思い出します。

「私は幸せになりたくて、大学で学び、就職し、結婚し、子どもを産みました。でも、仕事も子育ても、と望むことは、まるで罰ゲームを受けているみたいです」

女性活躍がいろいろなところで叫ばれていますが、女性が置かれている現実のなんと厳しいことでしょうか。それは世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数にも顕著に表されています。日本女性の地位はかねてより先進国の中で最低水準でしたが、2021年版では156か国の中で、なんと120番目。とりわけ「経済」(117位)と「政治」(147位)の分野の順位の低さに、日本女性の経済的自立と意見表明に大きな課題があると思われてなりません。

でも、あきらめないでいただきたい、あきらめてはもったいない、と思います。

女性が教育を受けることも、まして社会的に活躍することもまったく認められていなかった時代は、はるか昔のことです。今は女性の力なくして社会も企業も成り立たないという「認識」は持たれています。「実態」が伴わないことは嘆かわしい限りですが、そういう「認識」が出てきていることは最大限活用すべきではないでしょうか

今こそ女性が真の力を発揮するとき。それができるだけの知識も技術も女性たちは培ってきています。あと、もう一踏ん張りの辛抱だと思うのです。

夫が育児に協力してくれない、職場で肩身が狭い……。その通りですね。それを声にしましょう。“愚痴”だなんて遠慮はいりません。だれもが味わっている“心の叫び”だからです。そして、それは母となった女性だけの声ではなくなってきています。今、父となった男性たちの中にも、「もっと育児にかかわりたい、働き方をなんとかできないか」という声がつぶやかれ始めています。

女性活躍の大切さについて形だけでも「認識」があるのであれば、「実態」を伴わせるのはあと一歩です。声を上げる手段は、SNSでも新聞への投稿でもいい。一人の声が次の声を呼び、大きなうねりになります。冒頭でご紹介した40代の女性は、今、働く女性に向けて上質な情報を届けるWEBサイトの企画運営等ですばらしい実践を展開されています。

2年越しのコロナ禍に閉ざされたこの社会は、今、切実に人と人の絆を求めています。孤育て(孤独な子育て)に苦しんでいるワーキングマザーの叫びは、社会を変えていく確かな力となる、そんな時代にさしかかっていることをお伝えしたいと思います。

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「子育て応援団」のコーナーでは、子育て支援の専門家や医師、タレントらがリレー方式で、働きながら子育てをするママやパパに向け、元気が出るメッセージや日々の暮らしに役立つ知識を盛り込んだコラムを掲載します。

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子育て相談アドバイザーの大日向雅美・恵泉女学園大学長
大日向雅美(おおひなた・まさみ)
恵泉女学園大学長

1950年生まれ。神奈川県出身。専門は発達心理学で、主に母親の育児ストレスや育児不安の研究に取り組んでいる。NPO法人「あい・ぽーとステーション」代表理事、子育てひろば「あい・ぽーと」施設長も務める。著書は「母性の研究」(日本評論社)、「おひさまのようなママでいて」(幻冬舎)、「『子育て支援が親をダメにする』なんて言わせない」(岩波書店)など多数。2007年に創設された「よみうり子育て応援団大賞」の選考委員を務めた。

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