みなさん、明けましておめでとうございます。今年も一年どうぞよろしくお願いします。さて、年初にお金の計画を立てるという方も少なくないと思います。昨年は、若い世代を中心にFIREが話題になりましたが、経済的に自立するということは大切ですよね。そこで、今回は経済的自立を目指すためのポイントについてお話しします。
FIREの「経済的自立」を実現するカギは節約と投資にあり

FIREは、「Financial Independence, Retire Early」という言葉の頭文字から生まれた造語です。経済的に自立し、早期退職を目指すといった意味です。
FIREの「経済的自立」を実現するカギは「日々の節約」と「投資」にあります。FIREでは、日々節約を行い、節約で浮いたお金をできるだけ投資に回していき、投資で得られた収入で生活することを目指し、経済的自立を果たそうというわけです。具体的には、「支出を減らす→投資を増やす→不労所得を得る」という手順でFIREを目指します。
リタイアしたい年齢が具体的に決まっている場合は、まずリタイア後の年間の生活費がいくら必要なのかを考えます。そして、その年間の生活費を年間の資産運用収入でまかなうために、いくらの資産(FIRE資産)を用意すればよいのかを考えます。
FIRE資産がわかったら、支出削減に取り組みます。FIREの早期リタイアは、億万長者が豪華な暮らしをするものとは違います。FIRE後の生活は比較的質素です。FIRE実践者の中には豊かな暮らしをしている人もいますが、多くの人は最低限の生活費を投資資産から得られる収入でまかなうというスタイルです。
最終的に、「不労所得>生活費」となればFIRE達成です。不労所得が生活費を上回っていれば、計算上、資産を減らさずに生活ができます。
必要なFIRE資産の目安は「年間支出の25倍」。これは、米国のトリニティ大学の論文をもとにした「4%ルール」の考え方によるものです。米国の株式市場は毎年インフレ控除後で実質4%の成長をしているので、「投資元本(100%)÷年間支出(4%)」、つまり年間支出の25倍の資産があれば、FIREが実現できる、というのです。
たとえば、年間支出が300万円だとすると、300万円の25倍ですからFIRE資産は7500万円必要になるという計算です。
FIRE後の年間の支出を抑えるのであれば、FIRE資産はもっと少なくできます。
また、勤労収入+資産運用収入を組み合わせる「サイドFIRE」という考え方もあります。例えば、年間支出が300万円だとすると、資産運用の収入は100万円を目指し、残りの200万円は勤労収入で得るという場合であれば、100万円の25倍ですからFIRE資産は2500万円用意すれば良いということです。
節約のコツは優先順位をつけて取り組むこと
実際のところ、完全FIRE よりもサイドFIRE を目指す方が現実的なケースが多いと思いますが、毎月投資に回すお金を捻出するためには、無駄な出費を見直し、節約できるところは節約をすることが大切です。
節約をする際には、優先順位をつけて取り組むことが大切です。節約の優先順位が高いのは「金額が大きいもの」「効果が持続するもの」「我慢が不要なもの」です。
何でもかんでも節約すると、長く続かなかったり、心が擦り減ったりしてしまいます。
一番優先すべきなのは、「固定費」です。固定費は、毎月一定の金額がかかる支出のことを指します。固定費の代表的な例としては、住居費、保険料、スマホ・ネット代、サブスク代などです。固定費の削減は節約の効果が高い上に、一度削減してしまえば、効果がずっと持続します。さらに日々のストレスがかかりにくいので、精神衛生上も良いでしょう。
固定費の次にメスを入れたいのが「ムダ使い」です。コンビニでのチョコチョコ買いやコーヒーチェーンに立ち寄り、1日数回買ってしまうコーヒー代、アプリの課金代などが挙げられるでしょう。
最後にメスを入れるのが「変動費」です。変動費とは毎月の金額が変動する支出のことを指します。変動費の代表的な例としては、食費や日用品費などが挙げられます。食費や日用品は節約しやすいのですが、毎月費用が変動するので、安定した効果が得られにくいこと、また、労力の割には、節約できる金額が小さいので、ストレスがたまってしまうでしょう。
自分がいつまでにどの程度の経済的自立をしたいのかを考え、それを踏まえて節約についても考えてみましょう。
経済的自立に向けてコツコツ積み立て投資を始めよう
節約したお金を投資に回すことで、経済的自立を目指すわけですが、一口に投資といってもさまざまな種類があります。
まずはiDeCoやつみたてNISAといった、税金を安くできる仕組みを活用して投資信託の積み立てを始めましょう。どちらも、運用で得られた利益を非課税にできるうえ、iDeCoでは掛け金が全額所得控除になるので、毎年の所得税や住民税を安くすることができます。20年、30年と長く続けることで、税金を安くしながら、複利効果で着実にお金を増やせます。
また、FIREで人気の高い投資資産として「高い配当金が得られる」として注目されている米国株もあります。米国企業は、配当で株主還元を重視する傾向があり、配当金を多く出す傾向があります。配当金を出す回数も、日本は年1、2回の企業が主流ですが、米国は年4回の企業が多く、平均配当利回りは高めです。また、米国株には、毎年のように配当金を増額している銘柄もあり、中には、ジョンソン・エンド・ジョンソンやP &Gのように50年以上も増配を続ける銘柄もあります。米国株もスマホ証券を利用すれば積み立て投資をすることができます。
仮に毎月3万円を30年間、4%の利回りで運用することができれば、約2000万円になります。
現在30歳であれば、60歳の時点で2000万円の資産があることに。この場合、40代や50代で早期リタイアをすることは難しいですが、人生100年時代を考えれば、その後もゆるく働きながら、資産運用を続けることで楽しんで生活することはできるのではないでしょうか。
具体的なFIREを実践する方法などについては、今後の連載でもお伝えしていきたいと思いますが、大切なのは自分にとって心地の良い節約方法や投資方法を見つけ実践することです。2022年のスタートに自分の理想とするライフプランを思い描き、それを実現するためのお金の計画も立ててみてくださいね。
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