東京海上HD 「フェムテック」を活用して働く女性を支えたい

ポジティブな気持ちになれたり、仕事の役に立ったり。自分らしく、生き生きと働く女性たちの「ハッピーアイテム」を紹介します。

原田仁美(35)
東京海上ホールディングス デジタル戦略部 企画グループ 

「フェムテック」の視点から保険やサービスを開発する仕事に携わっています。フェムテックとは、月経、妊娠、不妊、更年期、婦人科系疾患などの女性が抱える健康の課題を、テクノロジーで解決する製品やサービスのこと。日本でこの言葉が認知されるようになったのはごく最近ですが、世界的に急成長している分野です。

若年層との接点を探して

かつては、マイカーの購入時に加入する自動車保険が、若者にとって最初の「保険」となっていました。けれど、特に都会では若者の「自動車離れ」が顕著で、損害保険と若年層との接点が減少する傾向にあります。若い世代にアプローチする新しい保険商品の開発に関わりたいと考えるようになりました。

東京海上ホールディングの原田仁美さん

新規事業を公募する社内プログラム「TokioMarine Innovation Program」に2020年、「家計を見直す妊娠期の若年層と接点を持つ」という企画で応募しました。妊娠期は健康リスクが高くなるため、加入できる保険が限られます。妊娠高血圧症候群や帝王切開などで入院する可能性のある妊娠22週前後からは、医療保険などに入れないケースがあるのです。

医療保険以外で妊婦さんと接点を持つことも考え、いつどこで起こるかわからない「破水」に着目しました。私自身、3年前に初めて子どもを産んだ時、買ったばかりのベッドマットの上で破水したらどうしようかと不安だったことから、そのリスクに気がつきました。

火災保険には「その他偶然な破損事故等」への補償があり、家財が破水で汚れた時に果たして保険金が支払われるのかを調べてみましたが、汚れという事由では難しいようです。車で移動中に破水しシートを汚してしまっても、クリーニング代を自動車保険でカバーすることはできません。外出中に破水してお店の物を汚してしまったら、損害賠償を求められる可能性も。さまざまなリスクがある妊娠中という短い期間に、妊婦さんの不安を解消する手ごろな保険料で入れる新しい商品を作れないか。そんな思いを込めて提出した企画でした。

約半年かけて有識者からアドバイスをもらったり、ユーザーへのインタビューを行ったりし、企画をブラッシュアップしていきました。その結果、破水に焦点を絞った保険商品では女性のニーズに応えるには十分ではないことがわかり、もっとフォーカスを広げることに。それが「フェムテック」を活用したサービス開発という考えへと発展し、現在の仕事につながりました。

出産、子育てで気づいたこと

入社間もなく「個人向け火災保険の開発」を担当。社員用のハンドブック作成、お客様向けのチラシ、申込書作成のシステム構築など、新商品づくりに一から携わったことで保険の基本を学ぶまたとない経験となりました。

その後、保険代理店の販売や経営をサポートする営業部門に異動しました。地域の企業や個人のお客様に対して、保険プログラムの提案や保険を販売する代理店を支援します。代理店は、大切なパートナーであり、信頼関係の構築は不可欠です。

新商品の発売を前に担当する代理店を回り、「既存の商品はすべて切り替える方針です」とお伝えしました。すると、前任者から引き継いだある代理店の担当者から、「君はもう来なくていい」と言われてしまって……。「会社の方針に理解ある代理店さん」と聞いていたことに甘え、一方的な説明をしたことで気分を害してしまったんです。信頼を得るまでに至っていなかったことを反省しました。

東京海上ホールディンスの原田仁美さん

自分の考えは正しく、努力すればなんでもできると信じているところがあったと思います。でも、32歳で出産を経験し、その思い込みは根底から覆されました。出産予定日の5か月前に切迫早産で絶対安静を言い渡され、さらに出産後に子宮動脈りゅうの破裂で緊急入院、カテーテル手術を受けてICUに入りました。追い打ちをかけるように、復職後に子宮けいがんの疑いが……。

出産や育児を通して、自分の思い通りにならないことをたくさん経験しました。わがままだった自分に気付き、人それぞれに異なる価値観があるということが、初めてストンとに落ちたんです。

パウダースノーは何よりのご褒美

休日の楽しみは、スノーボードです。会社の部活に所属し、滑走のタイムを競う「大回転」という競技にも挑戦しています。また、なんといっても魅力的なのがバックカントリー。リフトを使わずに山を登り、整備されていない自然の雪山を滑ります。

出発するときは、はるか遠くにある頂上にたどり着くことなど到底無理だと思いますし、仕事や家族のことが気になって雑念だらけ。それが、一歩一歩踏み進めていくうちに無心になって、頭の中がすっきりしていきます。気づいたら、風景は変わり、目的地はもうすぐ。そこには、ノートラックのパウダースノーというご褒美が待っています。一つひとつの地道な積み重ねが大切だということを、バックカントリーが教えてくれました。

ロードバイクやサーフィン、ゴルフも大好き。仕事はもちろんプライベートの時間もますます充実させていきたいと思っています。子育てをしながらのキャリアアップ、そして自分の体のメンテナンスも。いずれ迎える更年期の乗り越え方にも興味津々で、生活改善プログラムをお客様に提供できないか検討しています。

自分の体験を生かし、働く女性を支える保険やサービスを開発していきたいです。

(読売新聞メディア局 深井恵)

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