ホリデーシーズンなので大好きなジュエリーの話をしたい。ジュエリーといっても、本格的なハイジュエリーについて語るわけではない。私の中のジュエリーに対する気持ちの変化をつづろうと思う。
高校生の頃、周りの友達がこぞって彼氏にプレゼントしてもらっていたのが、ティファニーのオープンハートのネックレスやハートプレートのブレスレット。自分で買えるようなお金もなく、買ってくれるような彼氏がいなかったせいもあるが、みんなと一緒になるのと、コンサバな感じがして、敬遠していた。いわゆる高級なジュエリーには苦手意識があって、「おばあちゃんのもの」というイメージだった。ゴージャス感、マダム感が出るような気がしたから。とはいえ、アクセサリー自体は大好きだった。
学生時代はダンスをしていて、エスニックな雰囲気のビーズのピアスや大ぶりなフープピアス、見たことないようなデザインのものを、輸入品を扱う店や古着屋で見つけるのが楽しかった。ファッションブランドが出すアクセサリーを買うことも多かった。
スタイリストとなってからは、スタイリングする際に、ジュエリーやアクセサリーに助けられてきた。特にダイヤモンドのジュエリー。どんなに小さくてもモデルさんの顔まわりをぱっと華やかにしてくれたり、手元につけるとモデルさんの自信とテンションアップにつながったりして撮影がうまくいく気がする。

自身は、定番のように、ゴールドのジュエリーだけをつけていた時期もあったが、基本はその日のスタイリングと気分で決めている。ジュエリーも、ビンテージショップなどで見つけたジャンクなアクセサリーもどちらもつける。同じ古着のアイテムを着るときも、クールな雰囲気にしたい場合は、つやのあるシルバーのものをあわせ、カジュアルさを出したかったら年季の入った味のあるシルバーをあわせる。女性らしい雰囲気にしたかったらゴールドのジュエリーを、カジュアルな装いにはあえてクラシックなパールやきらきらのビジューを“外し”であわせることもある。出かける前のアクセサリーの味付け一つでスタイリングの魅力度があがったり、変化したりするから重要だ。気軽に付け替えて楽しめるのもジュエリーやアクセサリーのよいところだが、「今日の装いにこれはいらないかも」と、出先でアクセサリーを外すこともある。つければよしというわけでもない。
ティファニーが革命的だったワケ
いくつかのお気に入りブランドもできた。「シハラ」というジュエリーブランドのリングは、毎日つけてもストレスにならないほど華奢なのにモダン。どんなファッションの邪魔もしないのが魅力だ。「シャルロット シェネ」というブランドは曲線を多用した大胆なデザインのイヤーカフなど、アートのようなシルエットにほれ込んだ。
結婚したときに夫から贈られた、ティファニーのシンプルなゴールドのリングは、自分の中で革命的だった。夫と相談して決めたのだが、ファッションとして見ることが多かったジュエリーが、初めて意味があるものに変わったからだ。高校生の私が聞いたら、将来、まさかティファニーのリングをもらうことになるなんて想像つかないだろう。
一生物として大事にしたい、いつか自分の娘に譲りたい、などと考えると、最近は、老舗ブランドのジュエリーにも興味がわいてきた。長年続くブランドの、廃れないデザインには、やはりそれなりの理由があって、パワーがあると感じる。高校生のとき、みんながティファニーのネックレスをプレゼントされていたのも今では納得だ。気づくのが遅いけれど、愛の証しとしてのギフトだったんだ。
おばあちゃんがジュエリーだらけになるのも納得。年齢を重ねれば、愛の証しが増え(減ることもあり得るけど)、いろんな時代の思い入れのあるジュエリーが増えていくんだろうなと思う。人それぞれ、一つ一つのアクセサリーに歴史とストーリーがある。私も高校生のとき買ったフープピアスは捨てられない。
夫からもらったジュエリーには毎日つけられるシンプルなものもあるが、華やかなものは、家族の行事など大事なときにフル稼働させる。服をぐっとシンプルにしてジュエリーを引き立たせて見せることで、贈った側の夫の気分もあがるような気も密かにしている。
