ピンチヒッターだったアルコールテイスト飲料、コロナ禍で主役に

この一年の世相を反映する食を決める「今年の一皿」に選ばれた「アルコールテイスト飲料」は、新型コロナウイルスの感染対策で酒類の提供が制限された飲食店の「救世主」と評価されました。「一時しのぎ」や「やむを得ない」と渋々、口にしていた人にも、健康志向の高まりや“仕事後の一杯“という飲酒習慣の消滅により、新たな選択肢として定着しつつあります。

飲食店情報サイト「ぐるなび」の検索数や消費者へのアンケートなどをもとに、ぐるなび総研が毎年、この時期に発表しています。今年は、アルコールテイスト飲料のほか、ブリオッシュ(パン)にクリームを挟んだ「マリトッツォ」、たんぱく質などの栄養素を含む食料源として注目されている「昆虫食」、時短で料理を作れる「ミールキット」が候補になりました。

飲食店の救世主

アルコールテイスト飲料は、アルコール度数が1%未満のため酒税法上の酒類に当たらず、製造方法の進化によって酒類に類似した味わいが特徴。今年はビールメーカー各社がアルコール度数1%未満の「微アルコール」ビールを相次いで投入、日本酒やサングリアのアルコールテイスト飲料も登場しました。

昨年の「テイクアウトグルメ」に続き、今年もコロナの影響が食生活に色濃く反映された結果となりました。新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言などで、酒類の提供が制限される中、ノンアルコールのビールやカクテルが取り扱われるようになり、経営の「救世主」となりました。

今年の一皿に選ばれたアルコールテイスト飲料
今年の一皿に選ばれたアルコールテイスト飲料(ぐるなび総研提供)

アルコールに近い味わいと種類が増えたことで,消費者の支持も広がりました。ぐるなび総研は「アルコールテイスト飲料は、お酒を好む人にも、好まない人にとっても、新しい選択肢になった」と指摘しています。

都内の金融機関に勤める山口正順さん(42)は、「コロナ前は仕事が終わると、上司や同僚と居酒屋へ立ち寄るのが当たり前でした。それが、コロナで生活スタイルががらりと様変わりし、飲みに行くことがなくなりました。最初はノンアルコールのビールやサワーに抵抗がありましたが、今では家でもノンアルです」と話していました。

「日本の文化として定着するのでは」

発表会には、しらふを楽しむ文化の普及に取り組む「shirafer」代表の小石川泰弘さん、「Yamanashi gastronomy Ichii」のシェフ、堀内浩平さんらが登壇し、トークセッションを行いました。

堀内さんはアルコールテイスト飲料に関して、「コロナ禍で注文する人が以前よりも増え、提供する種類を増やしました。ハーブを使ったモヒートに近いカクテルなど、日々開発中です」と話しました。

ドライバーや妊娠中の人たちに、代替品として脇役のような位置づけだったアルコールテイスト飲料が、主役に躍り出た1年だったと、小石川さんは振り返りました。飲食店が、お酒を飲まない客を新たに取り込む機会につながるとし、「一過性のブームではなく、日本が誇る文化として定着するのではないか」と期待を込めていました。

今年の一皿は、2014年から始まり今回が8回目。過去には「パクチー料理」(2016年)や「さば」(2018年)、「タピオカ」(2019年)などが選ばれています。

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