捨てられない名刺、どうする? 年の瀬の「名刺納め祭」とは

受け取った名刺は捨てづらい。コロナ禍で対面の機会が減ったとはいえ、名刺はビジネスに欠かせないアイテム。保管や処分に困る人も多い中、新たな「処分」方法「名刺納め祭」が12月8、9日、東京都千代田区の「神田明神」で行われました。どんな取り組みなのか取材しました。

名刺はただの紙じゃない

「名刺納め祭」は、働く人が一年の出会いに感謝して、ご縁の証しである名刺を整理するとともに、来年の良き出会いを願うイベント。名刺を管理するアプリ「Eight(エイト)」などを運営する「Sansan」(東京)が主催し、2015年から縁結びと商売繁盛の神様をまつっている神田明神で実施しています。

実施した背景には、名刺に対する人々の心理が関係しています。Sansanが2018年に実施した調査では、オフィスにあるもので、捨てられずに困ったものの1位は「もらった名刺」(64%)と半数以上を占めました。名刺が捨てられない理由として、「連絡するときに必要だから、必要になるかもしれないから」のほかに、「相手に失礼だと感じるから」があり、名刺をただの紙ではなく、交換相手を投影した特別なものと捉えていることがうかがえたといいます。お守りやお札を「ただのゴミ」として捨てずに神社で供養するように、名刺の相手方にも配慮し、感謝して「処分」するとの考え方からです。

神田明神の境内に置かれた護縁箱に名刺を納める男性 大手小町 読売新聞
神田明神の境内に置かれた護縁箱に名刺を納める男性

この2日間は境内に、「護縁箱ごえんばこ」と書かれた箱が置かれ、各自持参した名刺を納めることができます。その後、祈祷きとうも行われ、神職が名刺を運び入れて祝詞を上げ、巫女みこが福鈴を振って、新たに迎える一年も人やビジネスの出会いに恵まれるようにと祈りをささげました。こうした「供養」を経て、最後は専門業者に委託し、廃棄処分されるそうです。

8日午前の祈祷に参加したのは15人ほど。東京都内の会社員女性(40)は、最近転職し、不用になった前職の名刺を持参したそうです。「今年はコロナ禍で新しい出会いが少なかったけれど、来年は新しい職場で、仕事のご縁に恵まれるようにと願っています」と話します。

IT会社勤務の男性(39)は、「名刺は普段からデジタル化して管理していますが、ご縁があった方の名前や個人情報が書いてある紙の名刺は捨てづらく、シュレッダーにかけることにも抵抗がありました。神社に納め、祈祷してもらうことですがすがしい気分です」と話していました。

最近では、IT会社勤務の男性のように名刺管理アプリを利用して紙の名刺を保管するケースも増えてきました。「名刺納め祭」の会場でも、護縁箱の横には名刺を読み込むスキャナーが設置されていて、持参した名刺を納める前に、データ化し、スマホのアプリに取り込むことができるようになっていました。

神田明神で行われた「名刺納め祭」 読売新聞 大手小町
「名刺納め祭」の祈祷(東京都千代田区の神田明神で)

仕事納めの前に名刺納めを

「Sansan」では、仕事納めの前に名刺納めの機会を作って、この一年の出会いを振り返り、来年もすてきなご縁が続くよう、メールなどでお世話になった方々へ年末のあいさつをすることを提案しています。広報担当の小池亮介さんは、「名刺はご縁の証しで、人脈作りにつながります。来年はもっと出会いや名刺交換が活発になる一年になることを願います」と話していました。

「名刺納め祭」は、今年は大阪でも初めて企画され、大阪天満宮(大阪市)で12月15、16日に実施が予定されています。いずれも参加費無料。
(読売新聞メディア局 谷本陽子)

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