主婦の経験をマイナスにしない仕事探し、成功する3つのポイント

子育てや夫の転勤に帯同するなどで仕事を離れた女性が、再び仕事を持ちたいと思ったとき、最初の一歩を踏み出すのは勇気がいるものです。読売新聞の運営する掲示板「発言小町」にも、自分に合った就職先が見つからないとモヤモヤする女性の声が寄せられています。空白期間をマイナスとしない職探しのコツってあるのでしょうか。再就職アドバイザーに聞いてみました。

スマホで仕事探しをする女性
写真はイメージです

「7年ブランクでお仕事ありますか」というタイトルで投稿してきたのは、40歳の主婦「ちょこん」さん。子育てのために7年ほど専業主婦をしてきましたが、「子供が小学生になって落ち着いてきたのでそろそろ働きはじめたい」と思っているそうです。ただ、実家も遠く、子どもが学校から帰ってくるときには自宅にいたいので、働ける時間は14時くらいまで。子どもが夏休みや冬休みのときは仕事を入れず、夫の休みに合わせて土日も仕事はしたくないと言います。

「そんなわがままを言っていたら、働くところなんてないですよね。皆さんはどういう形で、何を犠牲にして働いていますか? どうやってお仕事を見つけましたか?」と、発言小町で問いかけました。

このトピには、20件あまりの反響(レス)が寄せられました。

単発派遣・BtoB・介護職…

「単発派遣に登録しては?」と書いたのは、試験監督の仕事をしている「ねこねこ」さん。登録しておくと、LINEで仕事の打診が来ます。そこで休まず、きちんと仕事をするなど実績を作っておくと、次の仕事につながるそうです。「コツは、その日働けなくても、打診が来たらLINEで返事は必ずすることです」とアドバイスします。

「ブランク10年、末子の入学に合わせて働き出した」という「かぬか」さんの場合は、週3日9時~17時で募集していた企業向け(BtoB)販売促進事務のパートに応募しました。働いてみると、年末や年度末などで相手先企業が忙しいときには仕事がなく、冬休みや春休みは子どもに合わせてゆっくり休めたそう。さすがに夏休みを4週間も取ることはできませんでしたが、前半後半の10日ずつ、自宅から2時間余り離れた実家に子どもたちを泊まりで預けて、働きました。「先々どんな働き方をしたいかを考え、柔軟に動くことがポイントだと思います」と強調します。

「メイママ」さんは、子どもが小学2年になってからハローワークで、10時~15時で週4日の訪問介護事務所の事務職を見つけたそう。翌年、初任者研修を受講して、訪問ヘルパーに転身。その後も、介護福祉士を取得し、今はケアマネジャー資格の取得に向けて励んでいます。「介護職は、マイナスイメージが強い業界ですが、仕事が合えば子育て中の女性が働きやすい職場だと個人的には思います」と体験記を寄せました。

さまざまな職種や働き方についてアドバイスする人がいる一方で、トピ主さんの出す条件に苦言を呈する人もいました。

14時までの短時間って、どう?

「旦那さんが家にいる日に働いたら?」とコメントしたのは、「匿名」さん。「14時までじゃなくても夏休みも関係なく働けるはずですが。働かないための屁理屈なんていくらでも出てくるんですよ」とコメントします。

娘さんの体験をもとに、コメントした人もいます。「なかなか無いようですよ、14時までの仕事って。『母親歓迎、9時から14時まで可』の募集があると、倍率は10倍越え。面接会場で同じ幼稚園の複数の親に出会うと娘から聞きました。その娘が働き始めたのは、幼稚園が延長保育をしていたからです。トピ主さんもお子さんが小学生なら、幼稚園児と同じ時間を狙うのではなく、学童に入れて勤務時間を延ばし、少なくとも16時まで、出来れば17時までの仕事を探せば、採用される可能性は上がります」(「とおりすがり」さん)とアドバイスします。

車いすを押す介護中の女性
写真はイメージです

ブランクのある女性が仕事探しをするとき、空白期間をマイナスと考えずに取り組むには、どうしたらいいのでしょうか。人材サービス会社「株式会社Waris(ワリス)」(本社・東京)のキャリアカウンセラー、島谷美奈子さんに聞きました。島谷さんは、Warisワークアゲインチームの一人として、再就職をめざす女性の相談に乗っています。

「子育てがひと段落して、働きたいという女性は多いですね。ただ、周囲はみんな専業主婦という環境だと、自分がまた働きたいと思っていることすら話すことができなかったという人が多いんです」と話します。

再就職に成功する人の共通点は

再就職に成功した人の共通点として、島谷さんがあげるのが、次の3点。

<1> 情報収集力
元の職場の上司や同僚とゆるくつながりを保っているなど、常に仕事へのアンテナを張り巡らしていること。最近は、再雇用制度の対象を以前は「離職後3年以内」としていたのに、「5年以内」に拡大するなど、制度を見直し、募集枠を広げている企業も少なくありません。多様な人材を求める流れにあるので、SNSなどをうまく活用して、企業の情報をいち早くとらえることです。

<2> 自己分析力
家の近くで、短時間勤務で、など、条件だけで選ぶと、せっかく応募して働き始めたのに、「自分の価値観に合わない仕事だった」と感じることも。自分が何を得意としているのか、興味はどこにあるのかなど、自己分析をし、市場の求めている人材とどう合致するかを考えて動くこと。それが仕事を長続きできるコツです。

<3> まずやってみるという行動力
最初から自分にぴったりの仕事が待っているわけではありません。慎重すぎると、子どもたちのほうが成長してしまい、周りから「まだ働かないの?」と言われることも。「この業界のことをもっと勉強してみたい」「これは参考になりそうだ」など、自分の興味関心に応じて、一歩踏み出してみることも大切です。

「『再就職のためには、資格を取得したほうが有利なのでは?』と質問を受けることも多いですね」と島谷さん。「専門スキルをもっていることを証明するための資格取得ももちろん良いことです。ただ、ポータブルスキルといって、どこの企業でも発揮できるスキルもあります。例えば、人とのかかわり方、仕事の進め方、人をモチベートする(=やる気を引き出す)力などは、その人の持ち味。町内会やPTA活動などで、価値観の違う人の能力を引き出すような活動をしてきたなら、十分、そうした能力はあると言えます。有利、不利は一概には言えませんが、自分自身の持つポータブルスキルについて分析してみるのもいいと思いますよ」とアドバイスします。

同社では、仕事のブランクのある女性を対象に、東京大学関連のベンチャー企業への再就職支援プログラム「東大IPC キャリアスクール」を2022年1月から開催します。過去6回開催し、就業率74%を達成している再就職支援プログラム「ワークアゲイン・キャリアスクール」のノウハウを生かして、ベンチャー企業の人事・総務・広報などのバックオフィス業務を紹介する予定です。

島谷さんは、「働きたくてモヤモヤした気持ちを持っているのなら、まずどんな仕事があるのか、自分から動いてみたほうがいいと思います。モヤモヤした気持ちを放置してしまうと、『あのときこうしていれば……』と不満を残すことになるでしょう。モヤモヤできるほど、以前とは違って、心に余裕ができた証拠なので、同じように考えている仲間を求めて、勉強会やイベントに参加してみるのもいいと思いますよ」と話します。

働くことと、ライフイベントのバランスをどう取るか。みんな悩みながらも、何とか解決策を探っているのかもしれません。

(読売新聞メディア局 永原香代子)

【紹介したトピ】
7年ブランクでお仕事ありますか

しまたにみなこ さん
島谷美奈子(しまたに・みなこ)
Warisワークアゲイン エデュケーションプランナー

 1992年大学卒業後、主に人材サービス業で経験を積み、フリーランスのキャリアコンサルタントへ。キャリアカウンセリング実績は延べ6000人以上。2014年からWaris社で離職歴がある方向け就職プログラム等を担当。キャリア再構築に伴走している。2021年、法政大学大学院公共政策研究科サステイナビリティ学専攻修士課程修了。Waris社のHPは、https://workagain.waris.jp/。

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