柔道、阿部詩選手も体験してみた、卵子の数の目安がわかるAMH検査

AMH検査を知っていますか? 卵巣の中に残っている卵子の数の目安を測る血液検査で、「いつまで妊娠できるか」を知るための参考にもなり、不妊治療の際にも実施されます。専門家は、「治療のためでなく、若いうちから自身の体の現状を知るために検査をすれば、妊娠、出産などライフプランの設計に役立てられます」とアドバイスしています。

国内での不妊治療件数は年々増加しています。治療を開始する年齢も高齢化し、日本産科婦人科学会のデータによると体外受精件数は年間約45万件を超え、日本は世界で最も不妊治療をしている国です。不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は5組に1組、赤ちゃんの14人に1人が不妊治療を経て生まれてきています。

今秋発足したプロジェクト「W society」(ダブリュー ソサイエティ)では、女性が自分の体を知るための選択肢のひとつとして、「AMH検査」を周知しています。発育過程にある卵胞から分泌されるホルモン、アンチ・ミュラーリアン・ホルモン(Anti-Mullerian Hormone)の略。卵巣内に残っている卵子の目安がわかるため、卵巣予備能検査とも言われます。プロジェクトには診断薬・医療機器メーカーのロシュ・ダイアグノスティックス、日用品大手のユニリーバ・ジャパンなど女性の活躍を推進している複数の企業が参加、産婦人科医がパートナーとして入り、経団連が後援しています。

日本ではキャリアを築く女性が増え、仕事、出産、子育てとの両立などライフプランの選択肢が広がっています。プロジェクトの事務局長、谷村江美さんは、「自分の体や妊娠するための力について知らなかったり、自分の体に向き合い始めるタイミングが遅くなって治療を始める時期が遅くなったりして、ライフプラン選択の幅が知らず知らずのうちに狭まっている現実もあります」と指摘します。この検査を周知することについて、「自身の卵子の数や状態を知れば、自分の体の現在地を把握できます。女性がそれぞれの希望に応じた人生をデザインすることにつながればいい」と話します。

記者発表会に出席した柔道家の阿部詩さん
記者発表会に登場した柔道金メダリストの阿部詩さん

10月28日に行われたプロジェクトの発表会では、東京五輪柔道女子52キロ級金メダリストの阿部詩選手(21)がアンバサダーに就任し、自分の体について知ることの大切さを語りました。阿部選手が検査を体験する映像が流れたほか、「杉山産婦人科」(東京)理事長の杉山力一さんが、検査や女性の卵子について解説しました。

卵子の数、出生前がピーク

女性の各年齢における卵子の数の変化のグラフ
女性の各年齢における卵子の数の変化のグラフ(W society提供)

卵子は胎児期に卵巣内に作られ、その後、年齢とともに減少します。出生時に約200万個あったものが、35歳時点で約1~3万個にまで減少し、閉経時にはゼロに近づいていくことがわかっているそうです。AMH検査では血液を採取するだけで、現在の卵子の数が推測できます。

プロジェクト事務局が女性1500人を対象に10月に実施したインターネット調査では、AMH検査を知っている人は約3割にとどまりました。認知度は高いとは言えません。 検査があっという間に終わり驚いたという阿部選手は、「競技生活を通して、自分の体と向き合う重要性は感じてきました。将来温かい家庭を持ちたいとの思いもあり、アスリートとしてだけでなく、一人の女性として、これからのライフプランを考えていきたい」と感想を述べました。

杉山医師によると、検査は不妊治療などを行うクリニックなどで、7000円前後で受けられるそうです。 「若い女性が病気でもないのに婦人科に行き内診台に乗るのは少しハードルが高いかもしれません。簡単にできるAMH検査で、若いうちから自分の体の現状に向き合い、将来の妊娠を含めたライフプランを考えるきっかけにしてみては」とアドバイスしています。
(読売新聞メディア局 谷本陽子)

あわせて読みたい

Keywords 関連キーワードから探す