ジビエを食べないと人生損しちゃう!「ゴールデンカムイ」体験も

「ジビエ料理 あまからくまから」店主 林育夫さん

ここ数年、ジビエを提供する店が増えています。今月1日からは、国産ジビエの利用促進と消費者にジビエの魅力を伝えるイベントとして、「全国ジビエフェア」が開催されています。東京・日本橋人形町にある「あまからくまから」もフェアに参加している店舗の1つ。旬にあわせてジビエを提供する専門店です。同店を訪れる方の中には、「ジビエってこんなにおいしいの!?」と衝撃を受ける人が後を絶ちません。

店では、さまざまなジビエが用意され、フルーティーな香りのするイノシシやしっとりした肉質の夏のシカなど、食べた人をトリコにするメニューがずらり。他にもエゾシカやツキノワグマ、キジなど、日本各地の隠れたジビエを発掘しているのが、店主の林育夫さんです。

最高級のイノシシとの出会いで居酒屋をジビエ専門店に

林さんがジビエと出会ったのは、今から10年近く前。当時、店は居酒屋で、長野の農家から野菜を送ってもらっていました。冬は雪が降って野菜が取れないため、シカ肉が送られてくるのが毎冬の恒例でした。そんなあるとき、「すごくいいイノシシが捕れたから」と送られてきました。林さんはイノシシに対して「硬くておいしくない」というイメージを持っていましたが、鍋料理にしてみたところ驚くほどのおいしさ。お客さんに出すと反響が大きく、年明けになって「また食べたい」と来店する客が相次ぎました。

ジビエ料理 あまからくまから 店主 林育夫さん

「長年、飲食店をやっていましたが、そんな経験は初めてでした」と、当時を振り返ります。お客さんの期待に応えようと、林さんは再びイノシシを注文しましたが、次にやってきたイノシシはそれほど感動の味ではありません。理由を探ると、年を越すと雪が多くなるため猟師が狩りができなくなることから捕獲量が減ります。またオスは発情期を迎え、肉質が変わってくるせいだとわかりました。ジビエは1年の間でも旬があったのです。それは旬の時期がわかればおいしい肉に出会えるということでもあり、林さんは、居酒屋をジビエ専門店にすることを決めました。

季節に表れるその土地ならではの味わい

冬に食べるイメージが強いジビエですが、夏や秋に旬を迎えるものもあります。例えば、本州に生息するシカのオスは秋に発情期が訪れるため、夏は精力を蓄えている状態。赤身の間に脂身が蓄えられ、しっとりとした味わいがあります。それでいて、脂の融点が高いため、体に吸収されにくいヘルシーな食材。「ジビエの多くは高タンパクで低脂肪なうえにミネラルなどの栄養分がしっかりあるので、女性におすすめです」と林さん。アスリートにも人気が高いそうです。

ジビエ料理 あまからくまからが提供する「みかん猪のぼたん鍋」
みかん猪のぼたん鍋

林さんが発掘したジビエのなかでも、珍しいのが広島の生口島いくちじまで捕れる「みかんいのしし」。辺り一帯で育つミカンが大好物で、脂身がうっすらオレンジ色をしているのが特徴です。みかん猪からは、「ミカンの風味がする」というお客さんもいるほど味わいがフルーティー。脂の口溶けもシルキーで滑らか。とろりととろける味わいで、鍋全体にコクを与えてくれます。

そして現在、コースの中で一番人気なのが、「アイヌジビエコース」。漫画『ゴールデンカムイ』の食文化が体験できるとして若い女性がそれを目当てに訪れています。コースの中には、エゾシカ肉と行者ニンニクをたたいてつくねにした「チタタプチャレンジ」やヒグマのステーキが含まれているため、アイヌとジビエの魅力がふんだんに盛り込まれているのです。「おいしいジビエを自然と身近に感じてもらえる機会になっていますね」と林さんが話すとおり、体験できるグルメとして親しまれています。

ジビエを食べることはサステナブルな取り組み

ジビエはおいしいだけでなく、実はサステナブルな食べ物。近年、野生鳥獣が人の住む地域に出現し、農業被害が深刻化していますが、それを食い止める取り組みでもあります。「みかん猪も農家さんが依頼して駆除されたもの。そのまま捨ててしまうのではなく、おいしく食べて地域資源を無駄にしないのがジビエなんです」と林さん。食べることで循環社会をつくり、地域おこしにもなっています。

ジビエ料理 あまからくまからの店内
あまからくまからの店内

旬のおいしさがあり、栄養豊富で、ヘルシーかつサステナブル。さまざまな魅力があるジビエですが、まだまだ知られていないのが最大の課題です。「地元の人たちにとってジビエは当たり前すぎて、聞かないとおいしい理由を教えてくれない。これからも、食べないと人生損しちゃう、くらいおいしいということを伝えていきたいですね」。林さんのジビエ発掘人としての挑戦はまだまだ続きそうです。(ライター/岡本のぞみ)

【お店とメニュー情報】

[メニュー]※すべて税込み
みかん猪のぼたん鍋 4180円
アイヌジビエコース 8580円
夏鹿の炭火焼きステーキ 2200円

[店名]ジビエ料理 あまからくまから
[住所]東京都中央区日本橋人形町3-7-11 大川ビル2F
[営業時間]17:00~23:00(L.O 22:00、ドリンク22:15)
[定休日]日、祝
[問い合わせ先]050-5488-9958
[ホームページ] https://r.gnavi.co.jp/afc4g44p0000/

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