無料で受けていた婦人科系がん検診が実費に、会社の補助は?

職場で受ける健康診断の項目に、乳がんや子宮けいがんなど、女性特有のがん検診もあったらいいのに……と思ったことはありませんか。読売新聞が運営する掲示板サイト「発言小町」には「以前は会社が負担して無料検診を実施していたのに、今年からは実費になってしまった」と嘆く女性からの投稿が寄せられています。婦人科系の健康診断は、どんな位置づけなのでしょうか。専門家に聞いてみました。

健診風景トピ主「ののの」さんは、中小企業に勤める女性。毎年職場で健康診断を受けてきましたが、昨年はコロナ禍の影響で、健康診断そのものが一時中止になったそう。今年になって、ようやく復活したものの、それまで2年に1回は、対象年齢を絞って無料で受けることのできた婦人科系の健康診断項目が、今年からは「乳がん、子宮がんについては個人の実費で」と言われてしまったそう。「何も伝えられず中止にされて、少し納得いかないです。中小企業ですが、会社で負担してとお願いするのは、ダメですか?」と発言小町に問いかけました。

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実費はいくらぐらい? 考え方は?

「婦人科検診を無料でしてくれるケースって、なかなかないと思いますよ」と書いてきたのは、「グレープ」さん。夫の健康保険を使い、家族として比較的低価格で健康診断を受けていますが、婦人科系は別料金を取られているそう。その費用は「乳がん(エコー)と子宮頸がんのセットで1万円くらい。マンモグラフィーだともっと取られます。人間ドックを受けたこともあるけど、やはり婦人科系は別料金。無料で受けられるのは、自治体で実施している子宮頸がん(2年に1度)でした」と具体的にこたえています。

「勤務先でも 婦人科系は実費です」という人もいました。仕事面でも収入面でも男女差がなく、健康保険組合にべビーシッター代補助制度もある企業なのに、婦人科系のがん検診はあくまでオプション扱い。「でも、特に誰からも文句はないようです」とコメントしています。

産業医や保健師による健康管理サービスを企業に提供している「ドクタートラスト」(本社・東京都渋谷区)の産業保健師、小幡こばた聖子さんに聞いてみました。小幡さんは、複数の企業の相談に乗っていて、契約先企業の管理職向け研修などで「女性の健康」をテーマにセミナーを行っています。

婦人科系がん検診の義務はなく会社側次第

「労働安全衛生法では、会社に対して、労働者に医師の健康診断を実施しなければならないと規定しています。事業規模を問わず、労働者に健康診断を受診させるのは会社の義務で、毎年1回、健康診断は必ず実施しなければなりません。費用は会社負担。でも、法定項目のなかに残念ながら婦人科系がん検診の項目は入っていないのです」と小幡さん。

女性従業員の健康を守ろうと、健康保険組合が婦人科系のがん検診を補助している例もあるそうですが、国の制度として義務付けられているわけではありません。「健康診断の同じ日程のなかで済むように希望者に実施している企業はどちらかというと少数派かと思います。トピ主さんのお勤め先は、これまで婦人科系のがん検診を無料で行ってきたそうですが、あくまで会社の福利厚生の一環だったと考えられます。『会社に(これまでと同じように)負担してほしい』とお願いすること自体がダメとは言いませんが、同じ問題意識を持ってくれるかどうかは会社側、とりわけ経営陣にゆだねられているのです」と話します。

小幡さんによると、現在、国が推奨している女性特有のがん検診は次の二つ。

<1> 20歳以上の女性に 子宮頸がんの検診 2年に1回
<2> 40歳以上の女性に 乳がんの検診 2年に1回

自治体でも無料、または少ない自己負担額でがん検診を実施しているので、それを利用するのも一つの解決法だと言います。

「乳がんは女性の部位別では最も多いがんです。11人に1人が経験するというデータもあるほどです。子宮頸がんは若い人でもかかりやすいので、早期発見が大切です。自分とかけ離れたもの、と考える前に、婦人科系のがんについての知識を持って、積極的に検診を受けてほしいです」と小幡さん。

職場の健康診断は何のためにあるのか。会社側の費用負担の考え方を知ったうえで、自分でできることを探すことも、自身の健康を守るために必要かもしれませんね。

(読売新聞メディア局 永原香代子)

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