職場でのプライベートな誘い、断り方に困るのはなぜ?

職場の先輩や同僚などからプライベートな誘いを受けるようになって困ったという経験はありませんか。断りたいと思っても、相手の心証を悪くしたくないし、仕事上でギクシャクするのも嫌……と、堂々巡りになってしまうことも。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」にも、職場の異性からプライベートな誘いの断り方を悩む女性の投稿が寄せられています。対処法がわからなくなったとき、どのように切り抜ければよいのか。企業へのメンタルヘルス研修などを実施している専門家に聞いてみました。

年上の指導係の男性がドライブに誘ってきた

トピ主の「webエンジニア」さんは30代の既婚女性。1年ほど前に転職し、いまの会社に勤めるようになりました。職場の指導係として接してきた40代の既婚男性が、オフの日にドライブに誘うなど、たびたびトピ主さんにプライベートな誘いをするようになって困っているそうです。

その男性は、どちらかというと気難しく、付き合いづらいタイプ。仕事上は、わからないことを熱心に教えてくれたり、困った時のフォローもしてくれたりしますが、これまで3度もトピ主さんをドライブなどに誘っているそう。夫から怒られることを理由にドライブを断ると、しばらくしてから、休みに電車で庭園見学に一緒に行かないかと誘い、それも体調を理由に断ったのに、またほかのことで誘ってきたそう。

「いつも熱心に仕事を教えてくださるのでむげに断れない、というのもありますし、少し気難しく、機嫌を損ねると仕事がとてもやりづらい、というのもあり、断り方に困っています」とトピ主さん。「仕事に支障をきたさない良い断り方はないでしょうか」と発言小町に問いかけました。

このトピには、約40件のレス(反響)が寄せられました。プライベートな誘いは、仕事とは関係ないので、毅然きぜんと断ることを勧める人がほとんどです。

「ナイナイ」と明るく断ろう!

「いやいや、『男女1対1』って時点でダメだろ」のタイトルで書き込んだのは、「黒猫さん」さん。「正面から言ってはどうですか? 『仕事の面では本当によくご指導いただき尊敬し感謝もしております。でも、私も既婚者ですので他の男性と私用で会うようなことは考えられませんので、そのようなお誘いはおやめください』と。一回話しておさまらなかったら『もしこれ以上諦めないなら、上司の上司に報告しますのでそのつもりで』」とアドバイスします。

「『休日に2人で出掛けるなんて、不倫みたいじゃないですか~。ナイナイ』と、笑って言っとけばどうですか? 断る理由なんて、これ一択でしょ。『主人に怒られる』とか『体調が……』とか言うから、紛らわしいんです。何だか、行けなくて残念そうな感じ出しちゃってるし。だから、本当は行きたい気持ちがあるのか? 夫に内緒にできないのか? 押せばイケるのか? と思われたんです」と指摘したのは、「みつ」さん。パワー全開の明るい対応で、相手の思惑どおりに動かないことも大切なのかもしれません。

職場の女性を誘う男性
画像はイメージです

「男性のさがなんでしょうか…」のタイトルで書いてきたのは、「みな」さん。独身時代、トピ主さんと同じような経験をしたことがあるそうです。「こちらとしては、年齢も職位も上なので気を使って愛想良くしているだけなのですが、相手からしてみると、本当に自分に好意があるように錯覚してしまうのですね」とつづります。「みな」さんの場合、婚約者を理由に男性からの誘いを断りましたが、このとき、「(君と婚約者が)うまくいっていないと思っていたので気分転換をさせて慰めるつもりだった」と言われたそう。「別にうまくいってないなんて言ってないし、慰めてもらうにしても、アナタでなく友人や家族にお願いしますが…って感じでしたね!」と相手の勘違いぶりに言及しています。

「女子の心は、なぜ、しんどい?」(フォレスト出版)の著書もある「ヒカリラボ」(HIKARI Lab)代表取締役の清水あやこさんに話を聞きました。清水さんは、誰でも簡単に心理ケアを受けられるようにするため、大学院在学時にHIKARI Labを設立。臨床心理士や医師らが個人向けにオンラインでカウンセリングを実施しているほか、企業向けにメンタルヘルス研修などを実施しています。

鈍感力を発揮? はっきり断られないと気づかない

「なぜか男女間のことになると、相手が遠まわしに言っても、楽観的にすべて自分に都合が良いように解釈してしまう男性がいるんです。仕事仲間にプライベートなところまで踏み込んでほしくない。女性のほうからはやんわりと何度か言っているのでしょう。しかし、言われた男性のほうは、別の理由にすり替えてしまう。やはり、はっきり断ったほうがいいですね。そうしないと相手は誘い続けてしまうことになりますから」と清水さんは話します。

清水さんによると、トピ主さんの場合、職場の和を乱して、プライベートな誘いを続けている男性側に問題があることは明らかなのに、断り方をめぐってああでもない、こうでもないと女性側が考え込んでしまっていることに、まず気づいたほうがいいと言います。「失礼なことをしているのは、相手の男性のほうなんです。仕事仲間という行動範囲を超えていますから。まずそれを意識して、冷静に対処することが必要だと思います」と強調します。

断る際に気をつけたいのは、次の2点。

<1> 「先約がある」という断り方だと、「では、いつなら良いのか」となってしまう。相手に解釈の余地を与えないように断ること。

<2> 相手の立場を尊重しつつも、プライベートな約束そのものをしたくないという自分の考え方を伝えること。「変なウワサが立ったら先輩にご迷惑がかかるので、そういうことはやめましょう」など。
 
また、誘われたという段階で、絶対に取ってほしくない行動としては、休日や夜間に二人きりで会うこと。ぎりぎりランチまでは仕方ないとしても、二人での食事を誘われたときには、ほかの仲間も誘うか断るかすること。二人で食事してしまうと、恋愛感情をもっている相手に勘違いをさせてしまう危険が大きくなるそうです。

「できるだけ早い段階で、『こうしたお付き合いは遠慮します』ということを相手に伝えないと、回数が重なるほど、相手はエスカレートしますし、勘違いだったことを指摘されて、怒ってしまう可能性もあります」と清水さんは注意を促します。

トピ主さんは、多くの方からのアドバイスに「一度でも誘いに応じてはいけないと強く思いました。一度でも応じたら、少なからず私にもその気があったと思われてしまいますよね、絶対に断ります。主人と一緒に行きますね、など、主人を理由に断り続けるのが良いかなと思いました」と報告しています。

同時に、その先輩からは、トピ主さんが他部署の仕事を手伝うなどして先輩の機嫌を損ねたときに、以下のようなつらい対応をされていたということも。
・期日直前なのに手をつけていない仕事を全て振られた(上司にははじめから私の担当だったと報告されていた)。
・先輩から教えてもらえないと進まない仕事なのに何も教えてもらえなくなった。
・先輩の気分を損ねたことへの反省文を書かないと退勤させてもらえなかった。

「男性の方に問題がある」ということを改めて示すエピソードなのでしょうし、そんなシビアな状況に置かれたら、女性側としてはなかなか本心を言い出しづらかったにちがいありません。相手もあることなので、何が正解かは難しい問題ですが、仕事とプライベートの境界線を引きたいとき、あなたならどんな言い方で相手に伝えますか。

(読売新聞メディア局 永原香代子)

【紹介したトピ】
職場の先輩からのプライベートな誘いの断り方

清水あやこさん
清水あやこ(しみず・あやこ)
株式会社ヒカリラボ代表取締役

1987年生まれ。外資系証券会社勤務を経て、心理ケアサービスを提供する「ヒカリラボ」を設立。臨床心理士らによるオンラインカウンセリングを実施しているほか、ネガティブ思考や自信のなさに悩む人向けのゲームアプリなども開発している。著書に「ちょこっと、ポジティブ。一瞬で気持ちがふわっと軽くなる35のコツ」(大和出版)、「女子の心は、なぜ、しんどい?」(フォレスト出版)など。HPは、https://www.hikarilab.co.jp/

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