役によって太さも位置も変える? 玄理流美眉のすすめ

顔の決め手、と言われてどのパーツを思い浮かべるだろうか?

瞳、鼻筋、輪郭、肌のきれいさ?

努力で手に入れられるものと、生まれた時に決まってしまうものが、良くも悪くもある中で、私が考える「自分で変えられるパーツ」で一番重要なのは、ズバリ眉毛だと思う。

眉毛を含む目元は、メイクの中でも一番トレンドがある部位。また国や地域によって、好まれる眉毛の形は全然違う。

私がアメリカで仕事する時、眉毛は髪色に関わらず基本ダークグレーか、ほぼ黒に近いダークブラウンでしっかり描かれる。アーチが強めなのも特徴だ。チークも淡い色は好まれず、日本にいたら二度見されるくらいの濃さと言ってよいだろう。撮影の際は、ライトが強いのか、カメラの種類なのか、あるいは出演者たちの彫りが深いからなのか、モニターで見るとさほど気にならないのが不思議である。

メイクにみるお国柄

一方、韓国で仕事する時、これは最近、日本でも韓国メイクがはやっていることもあって、さほど仕上がりの違いは気にならない。余談だが、確実に違うのはファンデーションの塗り方とまつ毛の作り方だ。ファンデーションは、下地から平筆を使ってうすーくうすーく延ばし(普段ファンデを塗らない私からすると、もはや何を塗っているのか定かでない)、結局7層くらいを重ねる。韓国ドラマを見ると、信じられないくらい俳優たちの肌がきれいなのはメイクさんたちの努力の結晶でもあると思う。もちろん、素肌もみんなきれいだ。撮影中は週3~4で皮膚科に行く人もザラだし、芸能の仕事をしていない男性でも、皮膚科に毎週通ってケアしている人が珍しくない。

そしてまつ毛。日本では、ビューラーでまつ毛を上げて、マスカラを塗ってコームで整え、ホットビューラーで熱を加えて癖付けするのがスタンダードだけど、韓国ではつけまつ毛だ。しかもよく見かける束のまつ毛じゃなくて、一本一本埋め込んでいく。気の遠くなるような作業……って言っても私がやるわけじゃないんだけど。

総じて韓国では本番前のメイク時間が長いのだ。日本ではメイクさんが撮影の現場にメイク道具をごっそり持ってくるスタイルだが、韓国では俳優たちが朝イチでかかりつけのサロンに行き、そこで担当の人にメイクしてもらって、現場にはヘアメイクアシスタントが同行する、というのも違いだ。

連載オピニオン「美眉のススメ」 俳優の玄理さん 大手小町 読売新聞
役によって眉毛も変えているという玄理さん

話す言葉、食事で顔立ちが変わるって本当?

話がそれました。

日本で近年はやった韓国メイクといえば、直線的なラインが特徴の平行眉だろう。ちょっと困り顔に見えたり、表情が幼く見えたりするこの眉、実は韓国人の眉上の骨格に沿ったもので、あえてあの形にしているのではないのだと聞いた。

アジア系の人の顔立ちに大きな差はないが、眉を含む顔の筋肉というのは、遺伝の要素だけでなく、話す言語や食文化で大きく変わるそうだ。同じアジア系でも、アメリカ育ちだと顔立ちがアジアで育った人と明らかに違う、というのは私も感じていたので、この話を聞いた時には大いに納得した。

他にも眉毛は自律神経の好調、不調によって、毛並みや毛の生える向きが変わるなど、私たちが思っている以上に、体調や環境を反映する繊細な部位らしい。

というのも、私の眉毛はここ3年ほどアイブロウリストの方に整えてもらっていて、たかが眉毛、されど眉毛ということを実感しているのだ。本当に自分の骨格にあった眉毛が整うと、他のパーツは変わらなくても顔立ちがはっきりして見える。次に演じる役の説明をして、「こう見せたい」ということも相談している。例えば、優しいしっかり者の役の時。私の眉は太さはあるけど少し短いので、太さを抑えて長さを出し、眉山をほんの少し外側に作り、眉尻は下げず流す――といったふうに繊細な表情が映える眉にしてくれる。その上、現場でプロのメイクさんたちが驚くほど、メイクのしやすさが断然違うのだ。

お父さんと眉サロンへ

ここで一番大事なのは「自分の骨格にあった眉毛」というところ。

それを把握した上で、トレンドを取り入れたり、自分をどう見せたいか演出できたりすれば失敗は少ないと思う。やはり何においても言えるのは、自分を知ることの大切さなのだろう。

骨格だけじゃなくて、例えばダイエット。むやみやたらに流行に乗ったり、食事制限をしたりするのではなく、自分の体質を知ること。その上でゴールを決めて努力をする。スタート地点が間違っていれば、ゴールまでの道のりもまた迷路なのだから。この体質を知ることについてはまた別の機会に書こうと思うが、私はこれを知ってから体型管理がとても楽になったし、家に体重計も置かなくなった。

眉毛も同じく、眉のスタイリングを行うアイブロウリストにベースを整えてもらったあとは、極力抜かない。なんでこんなところに? という毛は抜くけれど、次の予約まではなるべく生やしていくようにしている。私が通っているところはパーマ液などは一切使わないワックス脱毛なので、時間がたてばまた毛は生えてくるが、毛根ごと抜くから次に生えてくる毛もきれいだし、生え替わりの周期も緩やかになる。

今まで眉毛は自己処理でやってきた、という方は性別を問わず一度アイブロウサロンに足を運んでみてほしい。先日、アイブロウサロンに私と一緒に行って仕上がりに感動した女友達は、次回、同じ眉の悩みを抱えていた父を連れて行くという。優秀かつ自分に合うアイブロウリストを見つけるのはなかなか簡単ではないかもしれないけど、眉毛は何度でも生えてくる。自分本来の美しさを生かした眉毛にみんな出会ってほしい。

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俳優の玄理さん
玄理(ヒョンリ)
俳優

1986年、東京生まれ。中学校時代にイギリスに短期留学。大学在学中、留学先の韓国の大学で演技を専攻。日本語、英語、韓国語のトライリンガル。2014年、映画「水の声を聞く」に主演し、第29回高崎映画祭最優秀新進女優賞などを受賞。17年にソウル国際ドラマアワードにてアジアスタープライズを受賞。近年の出演作に映画「スパイの妻」、「偶然と想像」、ドラマ「君と世界が終わる日に」などがある。ラジオ番組「ACROSS THE SKY」(J-WAVE)でナビゲーターを務めている。

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