サッポロビール アイデア詰まったノートで「エビス」に新たなページ刻む

ポジティブな気持ちになれたり、仕事の役に立ったり。自分らしく、生き生きと働く女性たちの「ハッピーアイテム」を紹介します。

沖井尊子(35)
サッポロビール
マーケティング本部 「エビスビール」ブランドマネジャー

エビスビールは2020年、誕生130周年を迎えました。伝統あるブランドの価値を高めること、テレビCMやイベント、店頭でのプロモーション、商品の開発など、エビスにまつわることすべてが仕事です。今の時代にどうあれば、お客様に喜ばれ、手にとっていただけるのかを考えています。

大手小町の連載、私のハッピーアイテム サッポロビールの沖井尊子さん 読売新聞

紙のノートで頭を整理

全国に商品を送り出すために、さまざまな部署と関わり、全体像を描きながら仕事を進める必要があります。アイデアを書き留めたり、自分の考えを整理したりするために、紙のノートを使っています。実際に手を動かして紙に書くと、考えがすっきりとまとまります。

会議や調査では、キーワードを書き出して整理したり。既存商品のリニューアルを考えるときは、パッケージの恵比寿様のデザインを変えたら、印象がどう変わり、どんな影響が出るかなど、図に書いてシミュレーションしてみたり。お客様から届いた商品の感想や意見も、その背景を自分なりに分析し、書き留めています。アイデアに行き詰まったときは、昔のノートを読み返すと、「そういえば、こんな意見もあった。もしかしてつながっている?」などとヒントをもらえます。

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学生時代は、大学院で食品科学を学び、イチゴの香りの研究をしていました。親や大学院の教授からは、当然、研究職に就くと思われていたのでかなり反対されましたが、「食を通じて世の中を楽しくできる仕事に就きたい」と、食品業界での企画の仕事を志しました。

入社後に配属された長野支社では、スーパーや酒量販店などに、缶ビールや缶酎ハイなどを販売する営業を担当しました。1年目に商品アイデアの社内公募があり、自分なりにたくさん考え、酎ハイの企画を提案したところ、最終選考に残りました。商品化には至りませんでしたが、サンプルを作成し、社長や役員の前で発表、絶好のアピール機会に恵まれました。入社3年目に、願いがかなって、本社の新商品を企画・開発する「新価値開発部」に異動することができました。

「思い出すと鳥肌」級の失敗 ホワイトビールの段ボールが!

4年前、「家でごほうび時間を楽しみたい女性」に向け、香りが華やかで、飲み口が柔らかいホワイトビール「華みやび」を開発したときのことです。今思い出しても鳥肌が立ってしまうような失敗をしました。原料や発酵方法からこだわり、発売まで2年半もかけたその年1番の大型商品。缶も、缶を入れる包装用ダンボールも真っ白にして、売り場を白一色に染めて大々的に売り出す予定でしたが、発売前にできあがってきたダンボールは少し茶色っぽくて、白くなかったのです。血の気が引きました。何とか刷り直しができないかと、メーカーと話し合ったり、社内調整にかけずり回って、ほかの商品の納品日の変更をお願いしたり。会社全体に迷惑を与えるミスでしたが、何とか予定通り店頭に並びました。ひとつの仕事の影響の大きさを痛感し、責任を持った判断をしなくてはならないと反省しました。

部長のビールからおうち時間の彩りへ

2020年春、ブランドマネジャーを任されました。打診されたときは、予想外で、「もう一回言ってもらってもいいですか」と聞き返してしまいましたが、すごく光栄に感じました。誰よりもエビスブランドを理解して、成長させていきたいと思いました。

今年、エビスのブランドのコンセプトを、これまでの「ちょっと贅沢ぜいたくな、自分へのごほうび」から、「Color Your Time!」にリニューアルしました。エビスビールの印象について調査すると、「高級なビール」「部長になったら飲む」など、やや敷居の高いイメージを持たれています。お正月などハレの日に飲んでいただけることも多く、それはありがたいことで、長年愛されてきたブランドの強みでもあります。

一方、近年は贅沢の意味合いが変わりつつあります。豪華絢爛で誰もが認めるよいもの、ということではなく、背伸びをせず、自分の価値観で、よいと思うことを選び、それが豊かさだと考える人も多くなっています。コロナ禍で、家でゆっくりおいしいビールを飲みたいという人も増えました。そこにエビスがあることで、普段の時間に彩り(カラー)が添えられることを、伝えていきたいです。

取り組む仕事の規模が大きくなっても、相手の気持ちを考えて、一人のお客様、目の前の打ち合わせ相手、一人ひとりの心を動かせるかどうかを大事にしています。営業時代の、スーパーのバイヤーさんやお客様とのやりとり、商品を開発したときの経験や数々の失敗、SNSで見つけたお客様の感想から気づいたこと、こうした積み重ねが、糧や教訓となって、今の仕事に生かされていますし、今でも勉強を続けています。歴史あるブランドをさらに飛躍させていくことがミッション。プレッシャーも大きいけれど、ビールを飲む時間が楽しくなる提案を続けていきたいと思います。
(読売新聞メディア局 谷本陽子)

大手小町の連載、私のハッピーアイテム サッポロビールの沖井尊子さん 読売新聞

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