コロナ禍で在宅勤務が増えたり、実際に対面して行う仕事が減ったり、オフィスでの服装のカジュアル化がさらに進んでいます。スニーカー通勤の人も増えているようです。この秋おすすめの、オフィスでも浮かないスニーカーファッションを紹介します。
東京都内の女性会社員(34)は、この秋、ハイブランドのスニーカーを買い、通勤時にはいていくようになったといいます。「いかにもスポーツ用ではなく、光沢があってエレガントなデザインのものを選びました。きれいな装いにも合わせやすくて便利です」と話します。
「スニーカーを取り入れたファッションはもはや定番となっています。以前はハイヒールが中心だった靴ブランドも、みなスニーカーを作るようになり、靴売り場で取り扱うスニーカーの種類は年々増えています」。百貨店の高島屋で婦人靴の買い付けを担当する、友部絵里奈さんは話します。売り場では、「オフィスでパンツスーツと合わせてはきたい」「エレガントなスカートスタイルに合うスニーカーが欲しい」など、装いを意識してスニーカー選びをする人が目立つそうです。
高島屋日本橋店(東京)の靴売り場「シューワールド」で、この秋、オフィスでもはけるスニーカーをおすすめのコーディネートとともに聞きました。

〈1〉パンツスタイル×モノトーンのコート系スニーカー
「マニッシュなパンツスタイルや、かっちりした雰囲気のセットアップのスーツには、色は白や黒、レザーやスエードなどの革素材のコート系スニーカーがおすすめです」と友部さん。コート系スニーカーとは、テニスやバスケットボールなどコートでプレーするスポーツのためのシューズのこと。フラットソールが特徴ですが、ボリュームを抑えたシンプルな形を選べば、オフィスでの着こなしにもマッチします。
この秋人気のウールリネン素材のダブルのジャケットとパンツの装いに、「ランバン コレクション」のコート系スニーカー(税込み1万8480円)を合わせました。滑らかなレザー素材で、シューレースはリボンに使われるグログランテープ、ひもを通す穴にはさりげなくビジューがきらめくエレガントなデザインです。細身のパンツもワイドパンツにも合わせやすいといいます。
〈2〉シャツワンピ×主役級ハイテクスニーカー
リラックスした雰囲気になるワンピースの流行が続いています。中でも、ロング丈でボリュームあるデザインが増えているそうです。そうしたワンピーススタイルに装いのポイントとして取り入れるならば、ハイテクスニーカーやダッドスニーカーなどがおおすすめ。

大胆な色づかい、近未来的なデザインや、厚底でぼってりとしたデザインが特徴です。ボリュームたっぷりの黒のシャツワンピースには、フランスのブランド「ピエール アルディ」の厚底スニーカー(税込み7万9200円)を合わせました。赤や緑を使った大胆な配色が目を引きます。「存在感があって、スニーカーが主役の装いです。厚底のため足を長くみせ、スタイルアップの効果もあります」と友部さん。
〈3〉ブーツ感覚ハイカット×スカート
一見、革靴に見えるスニーカーも使いやすいそうです。「ランバン オンブルー」のニット素材のハイカットスニーカー(税込み1万7930円)は、革製のショートブーツ感覚ではけて、ワンピースやロングスカートの装いにおすすめだそうです。売り場には、見た目はウィングチップの革靴ですが、靴底にクッション性にすぐれたスニーカーの技術を取り入れた商品も並び、ジャケットとスカートのスーツに合わせるなど革靴と同じ感覚ではくことができます。

〈4〉さし色カラースニーカー×ワントーンコーデ
「スニーカーを装いのさし色として使ってもいいですよ」と友部さん。ピンクやベージュなど流行のニュアンスカラーを取り入れたスニーカーが多く出ていて、黒一色、ベージュ中心などシンプルな色づかいの装いのアクセントとして取り入れられそうです。「0105」というブランドのくすみピンクのスニーカー(税込み2万2000円)は、ベルクロ部分はエナメル素材、アッパーにはスエードが使われています。このほかに、売り場には、サーモンピンクやバーガンディーなど果実を思わせる色味のスニーカーが並んでいます。
〈5〉エコでおしゃれ、サステナスニーカー
最近、働く女性を中心に人気が高まっているのは「サステナブルスニーカー」などと呼ばれるジャンル。リサイクル素材を使ったり、炭素や廃棄物の量を抑えて製造するなど、環境に配慮した、エコとおしゃれを両立するスニーカーです。スポーツブランドも力を入れていますが、日本橋店では、イタリアの「ASH」というブランドのアッパーにリサイクルナイロンを使ったスニーカー(税込み2万6400円)を取り扱っています。アッパーにスタッズを飾ったデザインが印象的です。
友部さんによると、婦人靴売り場でスニーカーが売れるようになったきっかけは、2011年の東日本大震災といいます。その後も、毎年のように台風や地震などの災害が発生し、昨年来のコロナ禍など、心配事が絶えない日々が続いています。
「通勤にも、休日の外出にも活用できるおしゃれなデザインが増えたことに加え、スニーカーには何があってもしっかり歩けるという強みがあります。トレンドを取り入れつつも、安心感のあるおしゃれが支持されているようです」と人気を分析しています。
(読売新聞メディア局 谷本陽子)