会社のパソコン、どこまで監視されてる? プライバシーはあるの?

会社のパソコンでは一般的に、業務に関係ないネットサーフィンや私用アプリのインストールなどは禁止されています。しかし、新入社員の中にはこうしたルールを軽視してしまう人もいるようです。読売新聞の運営する掲示板サイト「発言小町」には、「会社のパソコンにプライバシーはないのでしょうか」という投稿が寄せられました。リモートワークなどには欠かせない、会社貸与のパソコンやスマートフォン。支給されたその日から気をつけたいことを専門家に聞いてみました。

「勝手に通信ログを取るなんて卑劣」

トピ主「あゆみ」さんは、20代の会社員。大学を出て新卒で就職した会社で、社員の間で会社のパソコンにチャットツールを入れて社員同士でおしゃべりをするのが流行していたため、自分もインストールして仲間に加わったそう。つい、ほかの社員の悪口を書くこともありました。

パソコンの前で悩む女性
写真はイメージです

ところが、ある日、その仲間が順番に上司に会議室に呼ばれ、通信ログからチャットの日時、頻度や内容が書いた記録を見せられました。そして、「なぜ勤務中にこんなに遊んでいるのか」と問い詰められてしまったというのです。結局、「あゆみ」さんはそれがもとで退職に至ったのですが、心の底から納得はできない様子。

「たしかに会社のパソコンを私用に使うのは禁止されていたので、私が悪いとは思います。でも社員の同意なく勝手に通信ログを取得するのは卑劣ではないでしょうか」「勝手にパソコンを調査されるとわかっていれば悪口を書くことなどありえませんし、そもそも通信アプリもインストールしません」「会社では私用アプリのインストールは禁止されていましたが、システム的にはできた(禁止されていなかった)ので私用アプリをインストールしていた人は結構いました」とつづります。

この投稿には、120件を超える反響(レス)がありました。

監視は当たり前?

「会社のパソコンは社員に貸与しているだけで所有者は会社です。従って会社側は社員に貸与したパソコンが業務上正しく使用されているかを監視管理する義務と責任がありますし、その中身をいつでも自由に見る権利を有しています。ですので貴方(あなた)の言うプライバシーはありませんし卑劣なことでもありません」と書いてきたのは、「アフリカのペペ」さん。

「別に会社は『見てますよ』とは言いませんよ。でも会社から支給されたPCで、会社のネットワークにつながっている以上、見られることを前提に行動するのは当たり前です。だから私は会社のPCを私用では使いません。実際に会社が見ているかどうかではなく、いつ見られてもおかしくない、見られていても文句は言えないとは誰もが思ってることだと思います。そんなもの常識中の常識。街中の無料公共Wi-Fiを使って銀行決済をしないのと同じレベルで常識だと思います」(「ヨガ」さん)など、手厳しい意見が続きました。

プライバシーと管理責任の問題、どんなふうに考えたらいいのでしょうか。

『「社会人になるのが怖い」と思ったら読む 会社の超基本』(飛鳥新社)の著書もある、社会保険労務士・神野沙樹さんは「職場のルールとして、なぜパソコンの使い方が決まっているのか。新入社員教育などでは、まずはその考え方を教えることが大切ですね」と話します。

神野さんによると、会社貸与のパソコンの業務以外の使用は、多くの職場で禁止されています。会社は仕事を行うために貸与しているのであって、働く人のほうにも、仕事に集中する義務(職務専念義務)があると考えられるためです。さらに、コンピューターウイルス感染や情報漏えいなどの被害にあわないためにも、会社のネットワーク担当は、社員がどんなサイトにアクセスしたのかなどのログ監視はできるようにしています。どんな相手とメールやチャットをしているのか、その内容まで追跡しようと思えばできます。

持ち物検査に似ている

「どこまで社員のパソコンを監視してもいいのかという議論は、私物の持ち物検査に似ていますね。『プライバシーなんてないのだから見せて当然だ』と『プライバシーだから見せなくもいい』。どちらも極論で議論の収拾がつかなくなるので、多くの会社では、プライバシー問題を回避するために、就業規則などで『何らかの問題があった場合には使用状況、使用方法などについて、必要な調査をすることもある』と断ることが多いのです。やはり働く人のほうは、監視される前提で自分のふるまいを決めるべきですし、無用なトラブルに巻き込まれないためにも、悪口などは書き込まないことですね」と神野さん。

このほか、会社貸与のパソコンには、破損や紛失による情報漏えいの危険もあります。意図しない被害でも、社員個人の責任を問われることもあります。

「ミスしてしまったときほど、隠したくなるのが人間。『被害がなかったから、報告の必要もないだろう』と考えがちですが、報告・連絡・相談はなるべく早くしましょう。火種が小さいうちに消火できることもあるので」と神野さんは強調します。

報・連・相のコツとは

報告するときのコツとして、神野さんが提唱するのは、「TKG」(卵かけご飯)ならぬ、「TPG」。

T(テーマ)=まず何を話そうとしているのかテーマを知らせる。
(例:「相談があるのですが、いまお時間よろしいですか」「○○について報告があります」など)
P(ポイント・結論)=言いたいことのポイントをまとめて結論を話す。
(例:「パソコンを電車に置き忘れてしまいました」など)
G(具体的に)=できるだけ具体的にいきさつ・理由を話す。
(例:「次の駅ですぐに気づき、回収することはできました」など)

「現場では反対の順序(GPT)で話しているのをよく見かけますが、TPGの順で淡々と話していくと、上司も報告の内容を把握しやすいのです。何に困っているのか、今どうすべきなのかの判断を仰ぐという意味もあるので、ぜひ使ってほしいです」と神野さんは話します。

パソコンやスマホの登場で、仕事がしやすくなった半面、思わぬ落とし穴もあることを忘れないようにしたいものです。

(読売新聞メディア局 永原香代子)

【紹介したトピ】
会社のパソコンにプライバシーはないのでしょうか

神野沙樹さん
神野沙樹(かみの・さき)
社会保険労務士

 1982年生まれ。ニースル社労士事務所代表。大学卒業後、機械メーカー、コンサルティング会社を経て独立。これまで200社を超える社内制度づくりに携わる。著書に『「社会人になるのが怖い」と思ったら読む 会社の超基本』(飛鳥新社)。

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