iDeCoとふるさと納税を併用すると、控除額上限に影響があるの?

iDeCoとふるさと納税を併用している人も多くなってきたと思います。私が気になるのは、iDeCoを利用すると、ふるさと納税の控除限度額に影響があるのかどうか。そこで、今回は年収400万円の人を例に、iDeCoとふるさと納税を併用した場合、控除額上限や節税の金額などにどのような影響があるのかお話しします。

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税は、豪華な返礼品に目が行きがちですが、実質2000円の自己負担で税金が安くなるところも魅力です。

では、具体的にふるさと納税で税金が控除される仕組みを見ていきましょう。下の図表を見てください。ふるさと納税をすることにより、控除額の計算式に従って所得税・住民税が控除されます。

例えば、所得税の税率が5%の人が1万円寄付した場合

・所得税からの控除=(1万円―2000円)×5%=400円
・住民税の基本分の控除=(1万円―2000円)×10%=800円
・住民税特例分の控除=(1万円―2000円)×(100%−10%―5%)=6800円
となり、所得税、住民税合わせて合計で8000円が控除されます。つまり、実質2000円の負担で税金が控除され、しかも、返礼品ももらえるというわけです。
※ワンストップ特例(確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄付金控除を受けられる仕組みです)の場合には、全額住民税が控除されます

ただし、2000円を超えた金額について、無制限に「控除」してもらえるのかというと、そうではありません。その人の、「控除額上限」を超えて寄付すると、超えた分は自己負担になってしまうのです。「控除額上限」とは、自己負担額の2000円を除いた全額が控除されるふるさと納税額をいいます。この「控除額上限」は、その人の「年収」や「家族構成」などによって異なります。

iDeCoとふるさと納税を併用すると節税効果は高い

iDeCoの節税の仕組みは、以前のコラム(今こそ月1万円から始めてみたい積立投資術)で紹介しているので、そちらを確認していただければと思いますが、iDeCoも掛け金の全額が「所得控除」になるので、所得税、住民税を減らす効果があります。

ふるさと納税の控除額上限は、課税所得を基準に計算されています。iDeCoは掛け金の全額が所得控除になりますから、ふるさと納税をしている人がiDeCo を併用したら課税所得が減ることになり、その結果、ふるさと納税の控除額上限は減ってしまうのです。

では、iDeCoとふるさと納税を併用したら、ふるさと納税の控除額上限はどれくらい減るのでしょうか?

下記の条件の年収400万円の人を例に見てみましょう。
・独身
・会社員(給与収入のみ)
・扶養家族なし
・社会保険料は年収の15%
・所得控除は基礎控除、社会保険料控除のみ
・企業年金がない会社に勤務
iDeCoには掛け金の上限金額まで加入(毎月2万3000円、年間27万6000円)

年収400万円で4万円も

結論から言うと、この方のケースでは、ふるさと納税とiDeCoを併用することで、ふるさと納税しかやっていない場合に比べると、税金が4万350円も安くなります。

以下、計算しながら説明しますね。興味のある方は一緒に計算してみてください。

上記の場合のふるさと納税の控除額上限は、

iDeCoに未加入の場合は、4万2000円
iDeCoに加入した場合は、3万5000円

つまり、iDeCoに加入することで、ふるさと納税の控除額上限は7000円減ってしまうことになります。

ふるさと納税の控除額上限が減ってしまうならiDeCoに加入しない方がよいのでは?と思ってしまいそうですが、実は違います。

ふるさと納税は、控除額上限までしか所得控除になりませんが、iDeCo は、掛け金の全額が所得控除になります。つまり、iDeCoを利用することで、ふるさと納税の控除額上限に加えてiDeCoの掛け金全額が所得控除になるので、その分税金が安くなるのです。

では、上記の年収400万円のケースでどれくらい税金が安くなるのか見てみましょう。

iDeCoに未加入の場合には、ふるさと納税の控除額上限は4万2000円でしたね。ふるさと納税では、自己負担2000円を差し引いた金額が所得控除となるので、

・ふるさと納税による所得控除
4万2000円―2000円=4万円が所得控除の金額となります。

iDeCoに加入した場合には、ふるさと納税の控除限度額は3万5000円でしたね。

・ふるさと納税による所得控除
3万5000円―2000円=3万3000円が所得控除の金額となります。
iDeCoによる所得控除
2万3000円×12か月=27万6000円が所得控除の金額になります。
ふるさと納税とiDeCoの所得控除の合計金額は30万9000円となります。

iDeCoに未加入の場合は、
4万円×所得税率5%=2000円
4万円×所得税率10%=4000円
合計の節税金額=6000円

iDeCoに加入の場合は、
30万9,000円×所得税率5%=1万5450円
30万9,000円×所得税率10%=3万0900円
合計の節税金額=4万6350円

つまり、ふるさと納税とiDeCoを併用した方が、節税効果は高いということですね。目先の損得に振り回されずに冷静に考えるようにしましょう。

◇ ◇ ◇

今回の試算では、触れませんでしたが、ふるさと納税で受けられる減税額には、所得税、住民税、そして住民税(特例分)の3段階があります。
この住民税(特例分)を入れた試算は次の通りです。

●年収400万円で所得税率5%の人が、iDeCoに加入しつつ、控除上限額の3万5000円のふるさと納税を行った場合
・ふるさと納税による節税額
(3万5000円ー2000円)×所得税率5%=1650円
(3万5000円ー2000円)×住民税率10%(基本分)=3300円
(3万5000円ー2000円)×住民税率85%(特例分)=2万8050円
合計の節税金額=3万3000円

・iDeCoによる節税額
27万6000円×所得税率5%=1万3800円
27万6000円×住民税率10%=2万7600円 合計=4万1400円

合わせて、年間7万4400円になります。

住民税(特例分)による減税は、個人住民税所得割額の20%の限度もあり、適用にならないケースもあります。
iDeCoの加入と、ふるさと納税の両方を行う際の参考にしていただければと思います。

高山一恵さん
高山一恵(たかやま・かずえ)
ファイナンシャルプランナー

 慶應義塾大学卒業。2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画。2015年から株式会社Money&Youの取締役。結婚、出産、夫の転勤など人生に多くの転機が訪れる女性にこそお金の知識が必要と考え、講演、個人マネー相談のほか、雑誌の記事執筆やテレビ番組出演など精力的に活動している。著書に「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「ゼロから始めて2時間で一生困らないマネープランができる本」(彩図社)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(共著、宝島社)など。

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