コロナで休園相次ぐ保育園、ワーママ襲う過酷な在宅勤務

新型コロナウイルスの感染急拡大で、子どもの感染が増えています。保育施設にも影響は及び、休園に追い込まれた保育園は8月26日時点で、過去最多の179か所に上りました。各地で保育園クラスターも発生し、登園自粛を求める自治体もあります。子どもを保育園に預けられなければ、仕事を休まなければならず、働く女性たちから不安の声が上がっています。

「お子さんは濃厚接触者に該当します。医療機関でPCR検査を受けてほしい」
都内の女性会社員(38)は7月下旬、長男(6)と次男(4)の通う保育園からの連絡に、「まさか」と耳を疑いました。

保育園でクラスターが発生し、感染は園児や職員20人以上に広がりました。検査の結果、子ども2人は陰性でしたが、保育園は約2週間の休園となりました。自宅待機の子どもたちの面倒を見なければならず、夫婦のどちらかが自宅にいられるように、在宅勤務のスケジュールを調整しました。

新しい本やおもちゃを買い与え、自宅で飽きないように工夫しました。ただ、やんちゃ盛りの子どもたちは、目を離せば、いたずらやけんかが始まり、いらいらして叱ることが多かったそうです。「お外で遊びたい」と次男が号泣したときは、胸が痛んだといいます。子どもたちの感染対策も気になって、在宅勤務といっても仕事どころではありません。

子どもたちが寝ている深夜や早朝に仕事をこなすしかなく、過酷な日々だったと振り返ります。このままでは、コロナの感染よりも、疲労で自分が倒れるのではと限界を感じ、看護休暇を取得することにしました。約2週間後、保育園が再開され、女性は日常を取り戻しました。ところが、ほっとしたのもつかの間、身近で新たに感染が確認されたと耳にし、コロナの怖さを痛感したといいます。

「困難な事態を一つ乗り越えても、それで終わりではありません。また、家族のだれかが、濃厚接触者や感染者になり、今後の仕事や生活へ大きなダメージとなるのではないか」と心配しています。

幼稚園からの連絡は4日後

東京都町田市の幼稚園で7月上旬、教諭1人のコロナ感染が明らかになりました。この幼稚園に娘(4)を通わせている30代の母親は、「感染したのが担任の先生だったので、多くの園児が濃厚接触者となる可能性があり、気が気ではありませんでした」と振り返ります。

保健所の調査に時間がかかり、幼稚園から連絡があったのは感染確認から4日後でした。濃厚接触者だった娘は、PCR検査で陽性の判定。ショックでしたが、微熱程度の軽症ですんだそうです。

母親は、PCR検査の結果をLINEでママ友たちに知らせました。感染の人数、範囲、症状について一刻も早く情報を共有し、家庭やマンション、公園などで感染を広げないようにしたかったといいます。

幼稚園からは、感染の経路、規模、原因、対策などについて何一つ知らされず、「感染者が出た場合の対応や保護者への連絡が遅かった」と、不満をにじませます。

夏休みが終わり、新学期を迎える幼稚園や小学校でクラスターが発生する懸念があります。母親は「幼稚園でまた感染者が出るかもしれません。保護者への情報提供や自宅待機の指示など、必要な対応を事前に準備してほしい」と話しています。

ある日突然保育園が休園

厚生労働省によると、保育園は保護者の仕事に影響を及ぼすため、緊急事態宣言中も原則開園することとしています。ただし、(1)園児や職員が感染した場合や、地域で感染拡大している場合は、市区町村の判断で臨時休園とする(2)開園する場合は手洗いなどの感染拡大の防止対策を行う――としています。

東京都文京区によると、8月26日までに、区内の保育園で園児や職員がコロナ陽性と確認されたのは94件。このうち、登園状況や勤務実績から、ほかの園児や職員へ感染の可能性がなく、園内に濃厚接触者がいないと判断された場合は休園しないとしています。

東京都世田谷区は、登園自粛や保育時間の短縮などに「可能な範囲で」協力を求めています。園児や職員に感染者が確認された場合については、「状況に応じて、園の一部もしくはすべてを一定期間休園することがある」と示しています。

ただ、実際は全体の感染者数の増加で、保健所による濃厚接触者の調査に通常より時間がかかり、結果が出るまでの数日間を休園とするケースがあります。

都内の不動産会社勤務の女性(40)は8月上旬、4歳の長男が通う保育園から、「園児に陽性者が出た」との知らせを受けました。ほかの園児に濃厚接触者がいなかったため、休園を免れたものの、「在宅勤務がしにくい仕事なので、ある日突然休園なんてことになったら、会社に行けなくなってしまう」と万一の場合にどうするか、家族で話し合っているそうです。

保育園や家庭の感染対策を見直す

コロナの感染拡大で保育園の職員や園児にも感染者。保育園の休園でワーママに過酷な日々が待ち受けています。
写真はイメージ

保育園の感染症対策に詳しい「半蔵門のびすここどもクリニック」(東京都千代田区)の河嶌美穂院長(小児科)は、10歳未満の子どもたちに感染が広がっている現状を踏まえ、改めて感染対策の徹底を呼びかけます。

「コロナ疲れ」で感染予防がおろそかになったり、十分な対策がされていなかったりする場合もあります。家庭や保育園での、見落としがちな五つの対策についてそれぞれチェックしましょう。

【家庭】
□歯ブラシやコップだけでなく、歯磨き粉も家族別々にする。
□タオルを共同で使用しない。ペーパータオルが望ましい。
□クーラーを使用中でも換気をこまめに行う。
□子どもの誕生日や七五三などのイベントは同居家族のみで行う。
□発熱による脱水症状に備え、ジュースなど子どもの好きな飲料を用意する。

【保育園/幼稚園】
□園児の手洗いを気にして、保育士自らの手洗いがおろそかになっていないか再確認。
□園児の体温・健康チェックは、少なくとも登園時とお昼寝後の2回行う。
□2歳未満のマスク着用は危険とされているが、3歳以上の園児はマスク着用を検討。
□昼食時などに保育士が集まっての食事は避ける。
□保育士は不織布マスク着用が望ましい。

河嶌院長は、「保育園が休園となれば、子育て世代は仕事を休まざるをえなくなります。企業はテレワークをもっと進め、子どもを預けられなくなった社員が休んでも仕事に支障が出ないように態勢を整えるなど柔軟な対応をしてほしい」と企業のサポートの必要性も指摘しています。

(読売新聞メディア局 鈴木幸大、谷本陽子、渡辺友理)

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