コンタクトレンズの度数に限界は?コロナで急速に進む視力低下3つの対策

コロナ禍でコンタクトレンズ使用者の2人に1人が目の不調を感じている――。医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(東京)が行った調査で、こんな実情が浮き彫りになりました。テレワークでオンラインミーティングやリモート会議が広がるにつれ、「文字が見えづらい」「目の奥が痛い」などのトラブルを抱えている人が増えています。視力低下や眼精疲労など目の不安について、専門の眼科医に聞きました。

99%が「目の緊張」増えた

調査は今年4月、日常的にコンタクトを使用し、SNSを週1回以上利用している20~40代の男女600人を対象に実施。コロナ禍で五感に不調を感じることがあるか尋ねると、2人に1人(49.2%)が「視覚(目)」に何らかのトラブルを抱えていると回答しました。

さらに、コロナ禍でパソコン、タブレット、スマホを利用した会議や授業が増えたという101人のうち、「目の緊張が増えた」と回答した人は99%に上りました。モニターを長時間見ることで、ほとんどの人が目に負担を感じています。

目の筋肉をずっと酷使

視力は、5メートル離れた場所から、「C」のようなマークの切れ目を判別する検査を行い、測定するのが一般的です。

近視の場合、テレビが見えづらい、黒板の文字が読みにくいといった生活上の不都合が生じます。一般的に視力0.3以上0.7未満であれば、必要に応じてメガネやコンタクトを使用し、0.3未満であれば常用したほうがよいとされています。普通自動車第一種運転免許を更新する際には、「両目の視力が0.7以上、かつ左右いずれも0.3以上」などの条件があります。

順天堂大学医学部付属静岡病院眼科の土至田宏医師は、「コンタクトレンズ使用者のほとんどは、遠くを見ることができるように度数を合わせています。30~40センチ程度しか離れていないパソコンやスマホを見る場合、近くにピントを合わせなければならず、目の調節機能が緊張し続けている状態」と説明します。

ピント調節を続けているというのは、目の筋肉をずっと酷使している状態といいます。「長い時間歩き続ければ、疲労で足が棒になります。休憩が必要なのは目の筋肉も同じ」と土至田さんは強調します。「足の筋肉は鍛えることができますが、残念なことに目の筋肉は鍛えることができません」とも。

コンタクトの在宅勤務で目が疲れたイメージ写真
写真はイメージ

目の筋肉の疲労が蓄積すると、ピント調節は機能しなくなり、目の前の文字がぼやけて見えるなど老眼と同じような症状が表れます。このため、パソコンやスマホの利用時間が長い若者の間でも、「スマホ老眼」と呼ばれる目のトラブルが増えています。

土至田さんによると、モニター作業を伴う仕事に携わる20~69歳を2年間追跡したところ、わずかな視力低下も含めると、33%で近視化が認められたとする論文もあるといいます。ピント調節の負荷などによる眼精疲労や視力低下が進む懸念があります。

これ以上視力が悪くなったら?

読売新聞の運営する掲示板「発言小町」には、近視について、こんな投稿がありました。「私は裸眼では視力0.01も見えません。度数は右-13、左-11のコンタクトレンズをはめて、視力0.7くらいで生活しています。コンタクトレンズのお店で、『これ以上悪くなっても、レンズはありますか?』と何度も確認せずにいられません」と、さらなる視力低下の進行に不安を抱えています。

視力はどこまで下がるのでしょうか。また、強度近視に対応するコンタクトレンズの度数に限界はあるのでしょうか。

土至田さんは、「矯正度数が-15を超えるレンズを使用するほどの視力だと、極度近視とされます。矯正度数が-20という人もいます」と解説します。

今まで見えにくかった遠くの文字が見える喜びから、つい、度数の強いレンズを選ぶ患者も少なくないそうです。土至田さんは「強い度数のコンタクトでは、手元のスマホやパソコンの画面を見るのには適していませんから、結果的に眼精疲労を悪化させかねません」と警鐘を鳴らします。

老眼じゃなくても「遠近両用」を選ぶ意味

とはいえ、在宅勤務が続けば、モニター作業を避けて通ることはできません。目の健康を守りつつ、快適なリモートワークを行うために、土至田さんは注意点を三つ挙げます。

〈1〉モニターの距離に合ったコンタクト
最近は多くのメーカーから、デスクワークに対応した遠近両用のレンズが販売されています。「遠近両用」というと、どうしても老眼をイメージしがちで、若者には敬遠されがちですが、仕事用に使用するのはお勧めです。

〈2〉1時間に10分、目を休める
パソコンやスマホを1時間見たら、10分程度目を休ませせるようにしましょう。モニターから目を離して遠くを見るか、目を閉じて情報のインプットを強制終了します。休憩だからといって、スマホでゲームをしたり、SNSをチェックしたりしては、目を休ませることになりません。

〈3〉オフィスに近い環境
在宅勤務でも、イス、机、パソコンの位置などを工夫し、オフィスに近い環境を整えるのが望ましいでしょう。太陽の光が差し込む窓際だと、天気や時間帯によって光量が変化し、目の疲れの原因となります。

土至田さんは、「私たちはサバンナに生きているチーターのように、200メートル先の獲物を探しているわけではありません。働き方・暮らし方にあったコンタクトレンズの度数を選び、目が疲れない生活習慣を心がけてほしい」とアドバイスします。

(読売新聞メディア局編集部 渡辺友理)

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