ダイキン工業 エアコンの向こうにある宝物を探して 

ポジティブな気持ちになれたり、仕事の役に立ったり……、働く女性のやる気を引き出す「ハッピーアイテム」を紹介します。

鈴木菜々(29)
ダイキン工業 空調営業本部事業戦略室

エアコンや空気清浄機などの製品を購入した人向けの会員サイト「CLUB DAIKIN」の運営を担当しています。会員に製品のモニター調査やアンケートを定期的に行い、「こういう機能があると便利」「こんな製品がほしい」という意見や要望をすくい上げます。

定期的に配信しているメールマガジンで、「上手な換気方法」を紹介したときには、「知らなかった」「とても役に立つ」という反応がありました。新型コロナウイルスの影響で、空気の質に対するユーザーの意識が非常に高まっていると実感しました。

この部署に異動してきた2018年当時は、主力商品の「うるさら」とネットで検索しても、会社の公式サイトは上位に表示されませんでした。ツイッターで「中の人」としてつぶやいても、バズることもなければ、フォロワー数が劇的に伸びるなんてこともありません。

大手小町の人気連載「私のハッピーアイテム」に登場したダイキン工業の鈴木菜々さん

気持ち引き締めるネックレス

「SEO対策ってなに?」という状態から始まったチームは、手探りの中でさまざまな自社サイトを立ち上げ、4か月後には会員サイトの大幅なリニューアルを行いました。その際、知りたいと思われる情報を盛り込み、ユーザー目線でコンテンツを充実させていきました。

デジタルを活用したマーケティングは、地道な作業の積み重ねです。どうすれば会員を増やせるか、ユーザーが次に欲しい情報は何か、そして、ブランドイメージの向上に貢献できているか……。答えはすぐに見つかるわけではないので、悩みは尽きません。

気分が沈みそうなときは、ティファニーのネックレス「バイザヤード」を身につけ、身だしなみを整え、背筋をすっと伸ばします。モニターの向こうにいるお客さまの声を受け止められるようにと気を引き締めます。

一粒ダイヤが肌に触れるデザインが特徴で、ファッション誌などでは幸運をもたらしてくれると取り上げられていました。この部署に来る前の出向先で、「3年がんばった記念」の自分へのご褒美です。20代の私には背伸びした買い物でしたから、何か理由がほしかったというのが本音かもしれません。ただ、仕事でここぞというときは、身につけると気合が入ります。

今につながる営業の3年間

入社して間もなく出向したグループの販売会社で3年間、営業を経験しました。町の電器店や設備店などを担当していましたが、仕事内容は想像以上に幅広く、施工業者へ見積もりを出したり、製品の出荷にかかわる手配をしたり、工事現場に出向くことも珍しくありませんでした。

技術的な知識を求められる場面ではとても苦労しました。説明しても信用してもらえないと感じたり、現場に若い女性が来るだけで驚かれたりすることもありました。今思えば、経験不足で自信のなさにつながっていたのでしょう。当時は、「こんな小娘に何が分かる」と思われているのだろうと卑屈になることもありました。

一通り業務を覚え始めた2年目の時でした。見積もりの金額を誤ったり、手配漏れをしたり、いくつものミスが重なってしまいました。なんとか仕事をこなしているつもりが、自分の能力を超える業務を一人で抱え込んでいました。

判断を誤ったと気づいたときにはもう手遅れでした。どう処理をしていいかも分からず、それなのに誰かに頼ることもできず、結局多くの人に迷惑をかけてしまいました。さすがに、会社を辞めようと思いました。

お客さまのニーズは何か、どうやって購入を決断するのか、どうすればもっと満足してもらえるのだろう――。マーケティングの仕事に憧れて、入社したのに。ここで辞めてしまったら、私は、まだ何もしていない。そう気づいて、踏みとどまりました。

大手小町の連載「私のハッピーアイテム」に登場したダイキン工業の鈴木菜々さん

地域の住民をユーザーに持つ販売店を営業で回ることは、お客さまの意見や要望をつぶさに知ることができるまたとないチャンスでした。それはマーケティングの原点であり、今の仕事につながる貴重な経験だったと痛感します。

くじけそうになっても、あきらめなかったあのころの自分が、「もう少し、がんばろう」と今の自分の背中を押してくれます。
(取材・読売新聞メディア局 鈴木幸大)

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