在宅勤務「やる気が出ない」場合の対処法…それでもダメなら裏技

新型コロナウイルスをきっかけに、会社でリモートワークが導入され、すでに在宅勤務が1年以上に及ぶという人もいるでしょう。自宅ではどうしても、「仕事がはかどらない」「だらけてしまう」といった悩みを抱える人も。業務改革コンサルタントの池田千恵さんに、在宅勤務でサボらない仕事術を教えてもらいました。

読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、30代女性から「リモートワーク サボってしまう」というトピックが寄せられました。クリエイティブ系の仕事をしているトピ主の「ライチ」さんは、リモートワークで在宅勤務となって1年が過ぎ、「サボり癖に拍車がかかっている」と打ち明けます。

上司からの連絡が1日に1~2 回程度なのをいいことに、ライチさんは勤務時間中に「ボーッとしたり」「ソファで横になったり」「ネットサーフィンをしたり」してしまうのだとか。締め切り前に、明け方までやってなんとか帳尻を合わせるという悪循環に陥っています。

「これまで真面目で信頼できるという評価をされることが多かったのですが、それは周りの目があったから」と自らを省みるライチさん。「自分がこんなに自堕落な人間だったなんて……」と嘆いています。在宅勤務でうっかり居眠りする女性

「強制力」と「準備」が必要

時間管理や業務改革に詳しい池田さんは、在宅勤務でサボってしまうことについて、「人は易きに流れるものです。上司も同僚もいない環境でダラダラ過ごしてしまうのは無理もありません」と理解を示します。仕事をするためには、働くための「強制力」と「準備」が必要と指摘します。

「会社という環境が『強制力』となり、通勤というルーチンが『準備』となって、スムーズに仕事に取りかかれました。在宅勤務でこの『強制力』や『準備』がなくなってしまうと、起床時間が遅くなったり、夜遅くまでダラダラと仕事をしたり、生活や働き方のリズムを崩してしまいがちです」

いざ自宅で仕事に取りかかろうと思っても、散らかった机の周りが気になって片付けを始め、床のほこりが目について掃除機をかけ、ついでに、台所のシンクもピカピに磨き上げ、いつまでたっても仕事が始められなかったという残念なケースもあります。

自宅はプライベートな空間ですから、テレビやソファだけでなく、雑誌やゲームもあれば、美容器具、化粧品、好きな食べ物などの誘惑だらけ。幼い子供や介護が必要な高齢者がいる家庭もあれば、かわいいペットに気になって仕事どころじゃないという人も。

サボらず仕事をする3つのポイント

それでは、居眠りや間食などのサボり癖が抜けないという人が、在宅勤務で怠けずに、ちゃんと仕事をするにはどうしたらいいのでしょう? 池田さんは働き方を見直す三つのポイントを紹介します。

〈1〉自分を律する力を身につける

上司や同僚の目がない在宅勤務で、仕事の効率アップや売り上げを伸ばすといった目標を達成するには、自らの習慣を見直し、新たなルールやルーチンを作り、自らに課すことです。

すぐに始められるのは、「自分が決めた時間に起きる」こと。ダラダラと夜中まで起きているのが習慣になってしまうと、起きる時間も不定期になりがちです。自ら決めたルールを1週間、10日、1か月とやり遂げることで、「決めたことができる」という自信につながります。このルールを広げ、経験を積み重ねていけば、なりたい自分に近づくことになるでしょう。

〈2〉自らのスキルを見直す

実際に転職をする、しないにかかわらず、自らの職務経歴を書いてみます。どのような仕事をやってきたか、どのようなスキルがあるのかを書き出すことで、今の自分の強みは何か、そして、足りない能力は何かを知ることです。

自らのスキルを見直すことで、自分の強みをいかせる仕事については、さらに能力を発揮しようと工夫することができるでしょう。苦手な仕事を任された場合には、能力を補うために必要な勉強やスキルアップが求められます。

自分自身の立ち位置を認識することは、仕事のモチベーションを上げるきっかけです。在宅勤務にかこつけてサボったり、ボーッとしたりする時間がもったいないと考えるようになるかもしれません。

〈3〉消えた「使途不明時間」を見つける

仕事は結果さえ出せばいいとはいえ、営業や販売などのように必ずしも成果を数字で表せる業務ばかりではありません。

「新しい企画のために資料を集めていました」「依頼された経費書類が間違いばかりで、処理に時間がかかりました」などといっても、「どうせ、さぼっていたんじゃないの?」と疑われてしまうかもしれません。実際、うとうとしてしまった言い訳にこんな理由を使う人もいるでしょう。

池田さんは、「新しい企画を練る、新商品のアイデアを出す、新規事業の計画を立てる、といった仕事は『ブラックボックス』に封じられてしまいがち」と説明します。こうした業務にかかる時間は個人差が大きく、あっという間に思いつく人もいれば、参考資料を読みあさり、関係者に話を聞き、あれこれと悩み、何日間もかかる人もいます。

「インターネットで検索するのに何分間、人に話を聞くのに何時間、資料をつくるのに何日間というふうに過去5日間くらいを振り返って、一つひとつの作業にどれだけ時間をかけたかメモしてください」と池田さん。すべてを書き出すことで、無駄な時間がないか、あるいは、思い出せない「使途不明時間」がないか、時間管理の課題が見つかります。

仕事の成果を金額や数字で表しにくい業務もあります。仕事にかかった時間を細かくメモすることは、評価されにくいプロセスを「見える化」することにもつながります。だれかに説明できるように言語化しておけば、自らの業績として効果的にアピールすることができます。自分自身で業務の質量を認識できるので、在宅勤務につきまとう「サボっていると思われないか問題」にも、これで終止符が打てるでしょう。

この時間管理のメモは、実際に発表する必要はありません。ただ、企画がいつも通らず結果が出せないといった課題があれば、プロセスから見直すことができます。自分にとっては、「カフェでぼんやり過ごす時間」がアイデアを出す上で必要と考えていたとしても、企画やアイデアを出すのが上手な先輩の時間の使い方はまったく異なり、「その時間が無駄だったかもしれない」と気づくことができます。

それでもダメなら「見られる」環境作り

とはいえ、根っからの怠け者には、これらの3つを実践しようとしても簡単ではないかもしれません。「そういう人がちゃんと仕事をするには、やはり自分で『強制力』を用意するのが有効です」と池田さんはアドバイスします。

オフィスにいるように、だれかに「見られている」環境を作ります。池田さんが主宰するオンラインサロン「朝キャリ」は、メンバーが早朝から集まる「もくもく会」を実践。参加者が時間を決めてオンラインで集まり、それぞれが顔を見せながら黙々と作業を行い、その後、軽い雑談をするというものです。

「これなら早起きの習慣が身に付きますし、だれかが見ているので緊張感があり、集中して作業を進められます」と池田さん。「会社の同僚や友人の有志で、このような時間を設けて『衆人環視』の環境で仕事をするのもいいでしょう。早朝じゃなくても、昼食後の眠くなりそうな時間もいいかもしれません」

新型コロナの影響で在宅勤務やリモートワークが広がりましたが、今後は会社に所属していても、働き方に自主性が求められます。池田さんは「『人に見られているから』とか、『だれかが見てくれているはず』という仕事のやり方では通用しなくなります。サボる、サボらないというレベルではなく、どこで働くにせよ、1人でやっていけるスキルや自信が必要になります」と話しています。

(読売新聞メディア局 鈴木幸大)

【紹介したトピ】
リモートワーク サボってしまう

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池田千恵
池田 千恵 (いけだ・ちえ)
朝イチ業務改革コンサルタント

株式会社朝6時代表取締役。1999年、慶応義塾大学総合政策学部卒。外食企業、外資系コンサルタントを経て現職。業務改革による生産性向上や働き方改革を企業へ指導。個人向けの朝活コミュニティ「朝キャリ」を主宰。著書に『「朝1時間」ですべてが変わる モーニングルーティン』(日本実業出版社)など多数。

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