つみたてN I S A商品選びのポイントとおすすめ

コロナ禍で先行き不透明な中、20代、30代の若い世代を中心につみたてN I S Aの口座開設数が大きく伸びています。少しでも将来に向けてお金を増やしたいという人が増えているようですね。とはいえ、つみたてN I S Aを実際に始めようとすると、「どの商品を選んだらよいのかわからない」という人も少なくないようです。そこで、今回は、つみたてN I S Aの商品選びのポイントについてお話します。

つみたてN I S Aの主力商品は投資信託

まずは、つみたてN I S Aの概要から復習しておきましょう。そもそもつみたてN I S Aとは、2018年1月からスタートした積立投資専用の「N I S A(少額投資非課税制度)」です。従来のN I S A同様、投資によって得られた売却益(譲渡益)や分配金は非課税になるという制度です。

つみたてN I S Aの特徴は、毎年の非課税の上限金額は40万円。年間40万円までの投資で得られた利益に対し、最長20年間非課税になります。また、つみたてN I S Aで買える金融商品は、金融庁が定めた一定の基準を満たした投資信託・ETF(上場投資信託)です。つみたてN I S Aでラインアップされている商品は、2021年6月現在199本。そのうち、インデックスファンドが173本、アクティブファンドが19本、ETFが7本となっています。

つまり、つみたてN I S Aでラインナップされている商品の約96%が投資信託となっています。ですから、まずは、投資信託についての基本的な知識を持つことが大切です。

投資信託とはたくさんの投資家から集めた資金をひとつにまとめ、株や債券、不動産などに投資して運用する投資商品です。集めたお金は、「ファンドマネジャー」と呼ばれる運用のプロが投資家の代わりに運用してくれます。

平たく言うと、投資信託は、株式や債券などが入った詰め合わせ、お菓子でいえば、バラエティ-パックといえます。トヨタ自動車やソフトバンクといった日本企業の株式だけが入った詰め合わせもあれば、GoogleやAmazonなど、海外の先進国の企業の株式だけが入った投資信託もあります。また、国債(国が発行する債券)や社債(会社が発行する債券)といった債券が入っている投資信託、不動産が入っている投資信託もあります。

さらに、株式だけ、債券だけ、という1種類のみではなく、「国内株式と国内債券」「国内株式と海外債券と国内不動産」というように、複数の国内外の資産がまとまって入っている投資信託もあります。何に投資しているかによって、リスクとリターンの度合いは違います。

つみたてN I S Aでラインアップされている商品

投資信託を選択する際に大切なポイントは「コスト」

投資信託を購入する際には、手数料がかかります。投資信託を購入する際にかかる「販売手数料」、投資信託を継続的に保有している間にかかる「信託報酬」、投資信託を解約するときにかかる「信託財産留保額」です。ただし、つみたてN I S Aでラインアップされている商品は、販売手数料と信託財産留保額がかからないケースがほとんどなので、注意するべきは、「信託報酬」になります。

ざっくりいってしまうと、信託報酬は、年間のコストなので、例えばA投資信託の信託報酬が「年率1%」だとすると、その投資信託の利回りが仮に5%だとしても、利回り5%から信託報酬分の1%が差し引かれて実質の利回りは4%ということになります。

つみたてN I S Aの商品は、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)といった市場を代表する指数に連動して運用されるインデックスファンドが多くラインアップされていますが、基本的にインデックスファンドの商品は、同じ指数に連動する商品の運用成績はほぼ同じになるため、インデックスに連動されている商品を選ぶときには、コストに留意する必要があります。

一方、指数の値動きを上回ることを目指して運用されるのがアクティブファンドです。アクティブファンドの中にももちろん優良ファンドはありますが、インデックスファンドに比べコストが高い商品が多いので、初心者の方は、インデックスファンドから選ぶのがよいでしょう。

実際、インデックスファンドとアクティブファンドの過去の運用成績を見ても、インデックスファンドの運用成績を上回るアクティブファンドは少ないようです。手腕があるファンドマネジャーでも、常にコストを上回る運用を続けるのは難しいのかもしれませんね。

初心者は1本で分散投資ができる「バランスファンド」がオススメ!

リスクを低くしながら安定的に運用するには「分散投資」を心がけることが大切です。資産運用における分散投資の基本は、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券の四つの資産を組み合わせることです。これに国内外の不動産を加えて6資産とする考え方も比較的ポピュラーです。

一般的に期待されるリターンやリスクは、債券よりも株式の方が大きく、国内よりも海外の方が大きくなります。ですから、外国株式の割合が高ければ積極的な運用を目指すことになりますし、国内債券が多ければ安定的な運用を目指すことになります。自分の状況や目的、リスク許容度に合わせて組み合わせを考えることが大切です。

とはいえ、自分自身で商品を組み合わせるのはハードルが高いという人も多いことでしょう。そこで、オススメなのが「バランスファンド」の活用です。

バランスファンドは、国内外の株式、債券、不動産といった複数の資産に1本でまとめて投資できる投資信託のこと。複数の資産に分散投資をしているので、比較的値動きも安定していますし、自分でバランスを考えて複数の投資信託を購入する手間が省けます。

バランスファンドで主流なのが、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券の4資産に均等に分散投資するもの。そして、国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内REIT(不動産投資信託)、国際R E I Tの8資産に均等に分散投資するものです。いずれのバランスファンドも、投資が進んでそれぞれの資産の比率が変わってきたら、元の比率に調整してくれます。資産の配分が偏ってしまうと運用が安定しないので、比率を調整してもらえるのは大きなメリットです。

参考までに、4資産に均等分散しているバランスファンドでは、「ニッセイ・インデックスバランスファンド」、8資産に均等分散しているバランスファンドでは、「eMAXIS Slim 8資産均等型バランスファンド」がコストや運用成績の面からみてやりやすいでしょう。

せっかくつみたてNISAの口座を開いたものの、商品選びでつまずいてしまったという方、今回のコラムを参考にしていただけたら嬉しいです。

高山一恵さん
高山一恵(たかやま・かずえ)
ファイナンシャルプランナー

 慶應義塾大学卒業。2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画。2015年から株式会社Money&Youの取締役。結婚、出産、夫の転勤など人生に多くの転機が訪れる女性にこそお金の知識が必要と考え、講演、個人マネー相談のほか、雑誌の記事執筆やテレビ番組出演など精力的に活動している。著書に「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「ゼロから始めて2時間で一生困らないマネープランができる本」(彩図社)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(共著、宝島社)など。

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