パパの育休、改正法で取りやすくなるって本当?  

男性が育児休業(育休)を取りやすくする改正育児・介護休業法が成立し、来年4月から企業が従業員に取得の意向を確認することが義務化される。既に男性従業員の育休取得を促す独自の取り組みを行う企業もあり、改正法でこうした動きが加速しそうだ。

部署別取得状況 公開の企業も

大成建設の斎藤博さん(38)は2月、昨年8月に誕生した三男の世話をするために初めて育休を取った。有給休暇を含めて19日間、おむつ替えや寝かしつけなどをし、長男(10)と次男(7)の世話もした。「自分の時間をとれない妻の状況がよく分かった」

長男や次男の誕生時は「男性が育休を取る雰囲気はあまりなかった」ため、取得を見送った。今回は会社や上司に促されて育休を取ったが、仕事の都合で出産直後の取得は難しかったという。同社人事部部長の塩入徹弥さんは「取得率は自然に上がるわけではない。会社側の働きかけが重要だ」と語る。

男性が社員の約8割を占める同社では以前、育休を取得する男性は年数人だった。2016年に男性の育休取得率100%達成を目標に掲げ、新たな取り組みを始めた。出産報告をした社員と上司には、育休取得を促すお祝いメールを送信。子どもが2歳になるまで取得できるようにし、このうち5日間は有給にした。部署ごとの取得状況を社内で公開するなどの工夫もあり、17年度以降は100%達成を続けている。塩入さんは「社内の雰囲気は変わってきた。子どもが生まれた直後の取得推進なども図りたい」と語る。

子ども誕生したら「1か月」促す

改正法が来年度から段階的に施行されるのを前に、対策に乗り出した企業もある。三井住友海上火災保険の男性社員の育休取得率は20年度末で87%。同社は6月、子どもが生まれた全ての男性社員に対し、1か月の育休取得を促すことを新たに始めた。

23年4月からは社員1000人以上の企業は育休取得率の公表が義務付けられる。同社人事部で課長を務める永沢奈穂美さんは「男性が育休を取りにくい会社は若い世代から就職先に選ばれない。優秀な人材を採用するためにも取得率を上げたい」と意欲をみせる。

13年度以降、男性の取得率100%を続ける日本生命保険は6月、男性社員が育休を取る際の条件を新設。〈1〉出産後8週以内の取得〈2〉連続10日間以上〈3〉週1回、午後4時退社か在宅勤務を設定――から1項目以上を選択することで育休の質の向上を図る。育休を取得する社員に配布する冊子も刷新し、配偶者との育児・家事の役割分担について考えることを勧めている。

6月に6日間の育休を取った石田和也さん(33)は「育児や家事と両立するため仕事の効率化を考えるようになった」という。同社人材開発部輝き推進室室長の宇田優香さんは「育休を取る風土は根付いた。より充実した育休としてもらうサポートもしたい」と語る。

厚生労働省によると、19年度の育休取得率は女性が83%、男性は7%。女性に育児や家事の負担が偏り、少子化の一因となっているとの指摘もある。同省職業生活両立課は「男性の取得率向上には企業の力も必要だ」としている。

男性の育休取得を推進している市民団体「みらい子育て全国ネットワーク」代表の天野妙さんは「働き方の改革は簡単ではないが、従業員の育児に対する理解は多様な価値観や新たなサービス、商品などを生む効果がある」と話す。

「男性版産休」を新設

今回の改正法は来年4月以降、順次施行される。変更の時期と主なポイントを確認しておきたい。

■2022年4月から

従業員やその配偶者に妊娠や出産の予定があれば、企業は育休制度の周知や、取得の意向確認をしなければならなくなる。

また、就労1年未満の非正規労働者も、育休取得の対象になる。ただし労使協定がある場合は、引き続き対象外にできる。

■2022年10月頃から

父親が子どもの出生後8週間以内に取れる「男性版産休」が新設される。最大4週間まで、2回に分けて取得できる。取得を申し出る期限は、現行の1か月前から、原則2週間前までに変わる。

原則、子どもが1歳になるまでの育休は、男女ともに2回に分けて取得できるようになる。

■2023年4月から

従業員1000人以上の企業は、育休取得状況を公表するよう義務付けられる。

改正法の施行により、男性は配偶者の出産や退院、復職などの時期に合わせ、最大4回に分けて育休取得が可能になる。各家庭の事情に合わせて柔軟に取得計画を立てられるようになり、配偶者の産後うつや離職防止につながることが期待される。

(読売新聞生活部 矢子奈穂)

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