年金いくらもらえる? 知っておきたい「ねんきん定期便」の見方

2年ほど前、金融庁のワーキンググループが出した報告書の内容が、「老後2000万円問題」として話題になりました。老後の生活資金は、公的年金だけでは2000万円も足りないという衝撃の事実に驚いた方も少なくないと思います。老後にお金のことで慌てないためには、若いうちからしっかりと年金について確認しておくことが大切です。将来、自分がどれくらいの年金をもらえるのかを確認するのに最適なのが、「ねんきん定期便」です。そこで今回は、「ねんきん定期便」の最低限チェックしておきたいポイントについてお話しします。

 保険料納付額や年金加入期間など記載

「ねんきん定期便」は、年に1度、誕生月に日本年金機構から送られてきます。記載様式や記載内容は、受け取る人の年齢によって異なります。

基本的に「50歳未満」「50歳以上」「年金受給者」で区別され、はがきで送られてきますが、「節目の年齢」とされている35歳・45歳・59歳の誕生月には「はがき」ではなく「封書」で送られてきます。封書の定期便では、はがきより詳細な年金加入状況を確認することができます。

今回は、多くの読者の方に該当する50歳未満を例に、「ねんきん定期便」の見方を説明します。

主な記載内容は、次の通りです。

ねんきん定期便
2021年度「ねんきん定期便」(50歳未満)の表面(上)と裏面

〈1〉これまでの保険料納付額(累計額)

これまでに納めてきた国民年金保険料と厚生年金保険料を合算した通算の累計額がわかります。

〈2〉これまでの年金加入期間

年金への加入期間を知りたい時にチェックする欄です。国民年金、厚生年金のそれぞれの加入期間がわかります。年金を受け取るためには、原則として120か月以上(10年以上)の加入が必要です。

〈3〉これまでの加入実績に応じた年金額

これまでの加入実績に応じた年金額(年額)を表示しています。

〈4〉月別の保険料支払い状況

直近1年の月別の支払い状況や保険料納付額などが書いてあります。この項目に「未納」や「未加入」、空欄などがないかをチェックしましょう。例えば、結婚や転職、海外に住んでいた期間がある場合、届け出を忘れていることにより、未納や未加入になっている可能性があります。

チェックしていて、「漏れ」や「誤り」があった場合には、すぐにお住まいの近くの年金事務所に相談しましょう。

50歳以上と50歳未満で記載内容に違い

実際、ねんきん定期便を確認してみると、「将来もらえる年金の金額が少ない……」とショックを受けた方も少なくないのではないでしょうか。

でも、安心してください。50歳未満のねんきん定期便に記載されている「これまでの加入実績に応じた年金額」は、実際に将来もらえる年金の金額ではありません。あくまでこれまでの加入実績だけを基に計算した年金額で、今後の加入による金額変化分は含んでいません。この先、年金の保険料を納めていけば、将来受け取る年金は増えていきます。

実際に受け取れる年金額がいくらなのかがわかるのは、50歳以上になってからです。50歳以上の方に届くねんきん定期便には、50歳未満の方の定期便の内容に加えて、「老齢年金の種類と見込み額(年額)」が記載されています。ここには、ねんきん定期便が作成された時点で加入している年金制度に引き続き加入した場合の、65歳から受け取れる年金の見込み額が記載されています。ですから、実際に受給できる年金により近い金額がわかります。

最新状況を知りたいなら「ねんきんネット」を活用

ただし、「ねんきん定期便」には、35歳時、45歳時、59歳時を除き、過去1年分の加入記録しか記載されていません。

そこで、最新の見込み額や過去の加入記録について詳しく知りたいという場合に活用してほしいのが、日本年金機構が提供している「ねんきんネット」です。

インターネットから利用登録を行い、IDとパスワードを発行してもらえば、前月までの納付状況を含めた年金見込み額の試算、過去の加入記録などをいつでも確認することができます。

詳しいねんきんネットの登録方法は、日本年金機構のページを参照してください。

また、50歳未満だったとしても、現在の加入条件を60歳まで継続したと仮定した年金見込み額を自動表示する「かんたん試算」や、今後の職業・想定収入・就業期間などの条件を設定して試算できる「詳細な条件で試算」なども行うことができます。若い世代の場合、ライフプランが変化するケースが少なくありません。職業や収入など、いくつかのパターンでシミュレーションをしてみると、今後の人生計画に役立つのではないでしょうか。

また、年金受給開始年齢を繰り上げたり、繰り下げたりする場合の年金見込み額なども表示することができます。あくまでも予測値ですが、ある程度の年金額の想定額を知りたい人は利用するとよいでしょう。

まだ遠い老後のこととは言え、長生き時代を迎えている今、早くから準備するに越したことはありません。ねんきん定期便が届いたら、捨てずに自分の年金の状況を把握するようにしましょう。

高山一恵さん
高山一恵(たかやま・かずえ)
ファイナンシャルプランナー

 慶應義塾大学卒業。2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画。2015年から株式会社Money&Youの取締役。結婚、出産、夫の転勤など人生に多くの転機が訪れる女性にこそお金の知識が必要と考え、講演、個人マネー相談のほか、雑誌の記事執筆やテレビ番組出演など精力的に活動している。著書に「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「ゼロから始めて2時間で一生困らないマネープランができる本」(彩図社)など。

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