自分らしい働き方や生き方を考える「キャリア小町」。キャリアコンサルタントの土屋美乃さんが、仕事の悩みや転職の不安などについて働く女性にアドバイスします。
東京、大阪、京都、兵庫の4都府県で緊急事態宣言が出されたコロナ禍のゴールデンウィークは、大手を振って旅行やレジャーで息抜きというわけにはいきませんでした。連休明けも続く自粛ムードで、すっきりと気持ちを切り替えられないままという人もいるのではないでしょうか。
「会社に行きたくない」「もう仕事辞めたい」「こんな生活うんざり」……。五月病のように気分が落ち込み、やらなきゃいけないと分かっているのにやる気が起きないという人も。
不要不急の外出自粛や人とのふれあいを制限されることで、必要なコミュニケーションや人間関係まで失われている危険があります。ちょっとしたスケジュールの確認、会議が始まる前の雑談、ランチタイムに打ち明ける身の上相談……。
職場で顔を合わせていれば何げなく行われていたコミュニケーションが、コロナの影響で明らかに減ってしまいました。そのため、「大丈夫だよ」「大変だったね」「ありがとう」などと言われるだけで解消できたはずの小さなストレスや不安が、少しずつ蓄積されています。
だから、特に大きな悩みを抱えているというわけでなくても、「なんとなく不安」が常につきまとう状態に陥っているのです。
「なんとなく不安」は、なぜ?
「不安を感じている」という状態は、はっきり言えば「不安を感じるほどに時間がある」ということです。
不安解消の特効薬は、「前進できていると感じられること」「変化できていると思えること」を見つけ、行動してみることです。不安を解消するためのポイントは次の三つです。
〈1〉自分を知る(自己分析・他者との交流)
〈2〉自分を磨く(変化・成長・学習)
〈3〉自分を認める(失敗も欠点も含めて自分を受容する)
【自分を知る】
まず、自分自身の長所、特性、価値観、取り巻く環境、立ち位置などを「知る」ことから始めましょう。
・どんなことに情熱を持てるのか(好きなこと)
・どんなことが評価されているのか(得意なこと)
・どんなことを大切に思っているのか(価値観)
これらについて、できるだけ多く書き出してみましょう。自分自身を知ることが、この後に続く、「自分を磨く」「自分を認める」という行動へつながっていきます。自分が大切にしている価値観や情熱を傾ける方向を知らないままでは身動きが取れず、
もし、「自分のことは分からない」と言うなら、上司や先輩に相談してみたり、身近なパートナーや家族に自分の長所や強みを聞いてみたりするのもいいですね。改まって聞くのはためらわれるかもしれませんが、意外とヒントになる言葉をもらえるかもしれません。
自分自身の強みを言語化することは、「自分を知る」ことにつながり、将来の転職やキャリアアップにも欠かせないプロセスです。

【自分を磨く】
「自分を変える」のではなく、あくまでも、自分の持ち味をしっかり把握して「強み」を磨くという行動をおすすめします。自らの弱点や課題を克服するよりも、成果を出すという意味では効率的な方法です。具体的には、次のような行動が考えられます。
・資格取得の勉強をする
・関心のあるセミナーに参加する
・本をじっくり読み深める
・共感できる情報発信者の動画を見て勉強する
学ぼうという気持ちがあれば、情報はいくらでもあります。一人では尻込みをしたり、意欲が湧かなかったりするなら、自己投資と考えて、一緒に学ぶ仲間に加わったり、勉強会や学校へ通うのもおすすめです。
自らへの投資は、必ず「自信」がついてきます。惜しまずに行動してみてください。
【自分を認める】
「自分を知る」「自分を磨く」という努力をしたら、次はそうした行動ができた「自分を認める」ことです。自己研鑽に励んでいても、常に「なんとなく不安」という人は、この「自分を認める」という努力をしていない、あるいは足りないのかもしれません。
「以前のままのほうが良かったかも」「別の選択があったのでは」「うまくいかなかったらどうしよう」――。根が真面目で責任感があり、他人の期待に応えたいという思いが強すぎるあまり、こんな不安にとらわれてしまうのです。
「自分を認める」というと「うぬぼれ」「わがまま」「勘違い」といったネガティブなイメージもあって、どうしても謙虚になってしまい、自らを過小評価してしまう人も少なくありません。
だからこそ、意識的に「自分を認める」という努力が必要になります。この時、「なんとなく不安」も含めた感情のコントロールが求められます。
はっきりとした原因や理由のない「不安のコントロール」は、とりわけ難しいと感じる人もいるでしょう。
でも、不安な感情を抱えた自分もまた、自分であり、良いも悪いもありません。先の見えないコロナ禍でも、連休明けに気持ちが切り替えられずに焦っていても、自らを客観的に認識することで、自分らしい生き方や働き方を貫けるはずです。