「在宅勤務手当ってあるの?」 相場や支給方法を調べてみました

新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に推進されている企業のリモートワーク。働く人にとっては、在宅勤務に伴う光熱費や通信費などを企業がどれだけ負担してくれるか気になるところです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、「在宅勤務手当ってありますか?」という投稿が寄せられています。国税庁は先月、「在宅勤務手当」について、一部を非課税にすると発表しました。こうした手当は今後広がっていくのでしょうか。税に詳しい専門家に聞いてみました。

トピ主「スパイス」さんは、2度目の緊急事態宣言が発令された地域の住民。勤務先でも昨春に続いて、社員が再び交代で在宅勤務をすることになりました。その説明を職場で上司から聞いていたとき、同じフロアにいた社員から「在宅勤務を会社が命じるなら、在宅手当を出してほしい。それが筋だ」という声が上がったそうです。確かに在宅勤務では、パソコンや照明機器で消費される電力などにかかる費用は自己負担になります。トピ主さんは、「世の中では在宅勤務に何かしらの補助があるのがスタンダードでしょうか? みなさんの職場はいかがですか?」と発言小町で聞きました。

手当の中身は昼食代や光熱費、定期代廃止との見合い?

発言小町では、この投稿に対し、在宅勤務に伴って何らかの手当が支払われるようになったという人たちからのメッセージが寄せられています。

「私の勤務先は在宅勤務になると昼食代600円が支給されます」(「迷いの母」さん)
「定期券代と引き換えに手当が出ています。在宅組は定期券廃止、都度交通費精算で、月3000円の在宅手当が出ています。通勤組は交通費のみ支給されます」(「なな」さん)
「私の会社は、在宅勤務制度を利用する申請をしたタイミングで1人2万円の一時金が支給され、その後は1日の在宅勤務のたびに200円出ます。1日200円は、光熱費の意味合いです。かわりに、通勤費が削られました。今までは1か月分の定期代が支給されていましたが、今では出社した日数×往復の電車代が実費支給されます」(「ちび犬」さん)
「2度目の緊急事態宣言で、はじめて在宅手当2万円プラスPC貸与になりました。あと、忘年会なしだったからと、ギフト券を社員全員がもらいました」(「きこ」さん)
「うちの会社は在宅手当、出ますよ。でも1日200円です。交通費はテレワークをした日数分、日割りで引かれます」(「チョッパー」さん)

また、IT系の人材派遣会社に正社員として勤める「なお」さんからはこんな書き込みがありました。

「去年の緊急事態宣言からテレワークに移行した派遣先が多かったです。そこで、交通費を定期代として支払うのではなく、たまにある出社日分の実費精算に切り替え、テレワーク時は1時間当たり25円の手当を(派遣スタッフに)払うことになりました。エアコンなどの電気代や水道代など色々加味し出した金額です。うちとしては派遣スタッフさんも喜んでくれているし、うちもプラスなので、win-winです」

交通費で充当、手当創設で手取りの目減りは?

逆に、在宅勤務手当の出ないケースでは、こんな書き込みもありました。

「在宅勤務手当はないです。会社からは交通費を支給しているからそれを充てるようにとのことでした。4月からずっと出社していませんが、交通費は支払われています。私は6000円程度ですが、遠い人は数万円出ているはずです。不公平とか言い出したらキリがないし、差は構わないです」(「めめ」さん)
「私の場合、車通勤ですが、月に1回でも出勤すれば通勤手当が満額出るので問題ないです。通勤手当は非課税ですが、在宅勤務手当は課税対象です。なので、額面月給が同じでも在宅のほうが手取りは減ります」(「よつば」さん)

毎月支給は2割、金額は月額3000円~5000円程度

通勤電車に乗る女性
写真はイメージです

人材紹介・派遣会社「エンワールド・ジャパン」(本社・東京)は昨年11月、「コロナ禍での従業員サポート」に関するアンケート調査を実施しました。回答のあった全国269社のうち、在宅勤務を導入している企業に、在宅勤務手当を支給しているかどうかを聞いたところ、「毎月支給している」企業は20%で、「一時金を支給した」が7%、「在宅勤務環境整備のため購入した備品に応じて支給」が6%、「支給していない」は67%でした。

手当を毎月支給している企業の場合、金額は「3000円以上5000円未満」が38%、次いで「5000円以上1万円未満」が37%でした。一方で、通勤手当については、65%の企業が「定期購入費用の支給を停止、出勤日数に応じて支払い」と回答しました。

在宅勤務手当の支給、通勤費の見直しといった在宅勤務に伴う対応は、企業によってまちまちである実態がうかがえます。

国税庁、在宅勤務にかかる通信費・電気代の計算方法示す

国税庁は先月、在宅勤務の従業員に対して企業が支給する手当の一部を非課税とすることなどを盛り込んだ指針(在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ)を公表しました。

指針では、通信費、電気料金、レンタルオフィスの費用について、「実際に業務に使用した金額(実費相当額)を精算する方法であれば、課税する必要はない」としており、特に通信費、電気料金については、実費相当額の具体的な計算方法まで示しています。指針は、2020年12月の法令に基づいているので、2020年度から適用される見通しです。

小嶋税務会計事務所(東京・港区)の小嶋大志さんに、この指針について聞きました。小嶋さんは税理士として、多くの企業の税務相談を行い、社外監査役なども務めています。

「リモートワークを推進するのが国の立場です。公私の区別がつきにくい分野で、国が方針を示したことに意味があります。今回の指針は、現在は在宅勤務手当のない職場でも、労使で議論していく材料にできるのではないでしょうか」と小嶋さんは話します。

例えば、電気代。指針によると、リモートワークにかかった実費の電気代の算出方法は、次の通り。

(従業員が負担した1か月分の電気料金など)×(業務に使用した部屋の床面積)/(自宅の床面積)×(1か月の在宅勤務日数)/(月の日数)×1/2 
または、より詳細に計算できる方法で算出する(1円未満は切り上げ)

エアコンの電気代
写真はイメージです

間取り図まで提出? 実効性を確保するには

電気代については、自宅の床面積全体のうち、仕事部屋の面積がどれだけあるか、間取り図などを確認しないと求められないことになり、事務手続きの煩雑さを心配する声も。小嶋さんは「企業が非課税枠を確保するには、とにかく従業員から申請書とその根拠となる電気代や部屋の見取り図など必要な届けを出してもらうことでしょう。そうした書類は一定期間企業が保管しておくというスタイルにして、税務当局に求められたら提示するということになると思います」と話します。

そうした追い風を受けてもなお、在宅勤務手当の導入は、リモートワークを柱にできる職場なのかどうか、リモートワークが従業員のモチベーションアップにつながるかどうかなどを、会社側がどのように判断するかに左右されるといいます。

「従業員にしてみれば、年間5万円の手当に、所得税が課税されて実質4万円にしかならないとしても、手当がもらえるならうれしいですが、結局は経営判断になります。給与の補てん効果について、労使が長期的な視点からきちんと話し合っていくことが大事です」と小嶋さん。

「在宅勤務を始めてから、家の光熱費が高くなったな」。そう思ったリモートワーカーは、手当のあり方について職場で話題に出してみるのがいいかもしれません。

(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介したトピ】
在宅勤務手当ってありますか?

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