【SDGsの基礎】女性の育休取得率50%が「人間らしい」仕事か?

SDGsは、今後のビジネスや暮らしに欠かせない重要な国際目標。でも、自分にどう関係があるのか分からないという人も多いのでは? 働く女性がこれだけは知っておきたいSDGsについて、日本総合研究所の村上芽さんが説明します。今回のテーマは「女性の働き方」。

【質問】
広告会社に勤める20代女性。幼い頃からファッションやダンスが好きで、イベントの企画を手がけたいと広告会社に就職しました。ただ、新型コロナウイルスの影響でイベントは相次いで中止。テレワークが増えてクライアントに会える機会が減っているとはいえ、土日の出勤や残業が多く、結婚、出産、育児を考えるとこのまま仕事を続けられるか不安になります。

出産した女性の6人に1人育休を取得せず

幼い頃から好きだったことを、仕事につなげて頑張っているのですね。新型コロナの影響で、働き方について考えることが増えたのではないでしょうか。テレワークの導入に伴い、自宅での働き方もこれからの関心ごとになりますね。

結婚、出産、育児というライフイベントのうち、結婚と育児については、もはや「女性の」と考えること自体やめた方が良く、「お互いの」というべき時代になってきました。

そこで、男女の育児休業取得率を確認したいと思います。厚生労働省の雇用均等基本調査によると、女性が83.0%、男性が7.48%というのが直近の2019年度の取得率です。

SDGsが求める人間らしい仕事とは?
産業別・男女別の育児休業取得率(%)(令和元年度雇用均等基本調査、事業所調査の第10表)

育休取得率は、女性の場合は「出産した労働者」に対し育児休業を開始した人の割合、男性の場合は「配偶者が出産した労働者」に対して育児休業を開始した人の割合を意味します。

女性については、「うちはもうずっと100%だよ」という企業もあるでしょう。けれども全体でみると、ここ10年ほど、80%台で上がったり下がったりしています。逆にいうと、直近の取得率で考えれば、赤ちゃんを産んだ女性の約17 %、6人に1人が育休を取得していない(おそらく退職している)ということになります。

まれに、研究者の女性などで「産前産後休暇だけで復帰した」という話も耳にしますが、育休取得率、結構低いなという気がします。みなさんはどう思われますか。

産業別にみると、「情報通信業」「学術研究、専門・技術サービス業」では取得率が95%を超えている一方、「鉱業、採石業、砂利採取業」「宿泊業、飲食サービス業」は約50%しかなく、ばらつきがあることが分かります。

働きがいのある人間らしい仕事とは?

ところで、最近、「男性の育休取得を増やそう」という掛け声をよく耳にするようになりました。これは、男性が家事・育児に参加するほど、2人目を産むカップルが多いという調査結果を基に、国が少子化対策の観点から推進しているからです。

政府は205月、「少子化社会対策大綱」という指針を作りました。ここで男性の育休取得率の目標を「25年に30%」としました。ちなみに、配偶者の出産直後の休暇取得の目標は80%。「産まれた当日1日、年休で休みました」というケースは、「育休」ではなく、「配偶者の出産直後の休暇取得」にカウントされます。

この指針に基づき、21年度の主な政策が決められています。まずは「出産直後の休業の取得を促進する新たな枠組み」の導入を検討するとしています。みなさんの職場でも何か変化が起こるかもしれません。

さて、育休をはじめ、「働き方」についてSDGsではどう捉えているかというと、17のゴールのうち8番目にある「働きがいも経済成長も」という目標のもと、「2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する」と詳細な記述があります。

女性に限らず誰にとっても、「働きがいのある人間らしい仕事」にしようということです。「人間らしい」という言葉は分かりにくいかもしれませんが、「人間にとって当たり前のこと」と考えれば、出産や育児との両立は当てはまります。休むべき時に休めないような職場が減り、復帰して育児と両立したいと思う仕事が増えることも、SDGsの達成につながるのです。

SDGsの目標の一つ「働きがいも経済成長も」
SDGsが掲げる17の目標

SDGsSustainable Development Goals、持続可能な開発目標)とは、2015年の国連サミットで採択された、30年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。「飢餓をゼロに」「人や国の不平等をなくそう」など17のゴールと169のターゲットで構成され、経済、教育、環境、人権などについて、政府、企業、市民がともに取り組む課題が示されています。

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村上芽
村上 芽(むらかみ・めぐむ)
日本総合研究所 創発戦略センター シニアマネジャー

京都大学法学部卒。日本興業銀行(現みずほ銀行)を経て、2003年に日本総合研究所入社。ESG(環境、社会、ガバナンス)投資の支援、気候変動リスクと金融などが専門。著書に「図解SDGs入門」(日経BP)。

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