新型コロナウイルスの感染拡大で、緊急事態宣言が11都府県に発令中です。これに伴い、店舗の時間短縮、出張や営業活動の自粛、業務の見直しなど、働き方の変化を迫られた人も多いのではないでしょうか。「今年こそ、仕事でがんばろう」と意気込んでいたのに、出鼻をくじかれたという戸惑いがあるかもしれません。
「やるべきこと」や「やりたいこと」はたくさんあるのに、感染リスクのある困難な状況では、「もう何もしたくない」「なんとなくだるい」とやる気を削がれてしまうこともあるでしょう。ツイッターやインスタグラムなどのSNSを見れば、キラキラと充実したライフスタイルや希望に満ちた言葉ばかり目に付き、「あの人はやる気があってすごい。それに比べて自分は……」と落ち込むばかり。
とはいえ、そんな自分を「ダメ人間」や「怠け者」などと責めないでください。「やる気が出ない」ことは、誰にでも不意にやってきます。そんな時にどうやって対処したらいいのか、気持ちのスイッチを切り替える解決方法を紹介します。
原因は「未完了」のまま避けてきたこと
人材育成や指導理論として使われるコーチングの手法に、「未完了の完了」があります。これは、やらなきゃいけないと分かっているのに、やらないままの「未完了」で放置している物事を済ませて「完了」にすることです。
まず、仕事、プライベート、人間関係などを思い返し、「やりたいと思っているけれど、やっていないこと」「やりかけたけれど、やり切れていないこと」をリストアップしていきます。そして、それらを一つずつ順番に実行し、片付けていきます。
〈チェックリストの例〉
□ パソコンのフォルダの整理
□ むし歯の治療
□ 締切を過ぎたまま出していない書類作成
□ 家の掃除、不要なものを捨てる
このように、チェックリストを作ってみると、自分がどんな「未完了」を抱えているか知ることができます。それらは、「避けて通ってきたこと」「見て見ぬふりをしたこと」「先延ばししたこと」などです。やっかいだと思ったり、面倒だと感じたりしたため、気がかりなまま蓄積されています。そうしたネガティブな感情が、私たちを疲弊させ、やる気が出ない状態にします。

リストアップした「未完了」を一つずつ「完了」させていくことで、「やる気が出ない」原因を取り払っていくことができます。ため込んでいた物事を一つずつ片付けていき、徐々にエネルギーが湧き上がってくるのを感じられるでしょう。
そして、このチェックリストは「やること」を並べるだけでなく、「やらないと決めたこと」を書き出すという方法もおすすめです。 やるかやらないかを決めていないから、気が重くなります。
□ 家の掃除を今はやらないと決める
□ 新しい企画書の作成は1人で作らないと決める
□ 引っ越しをしばらくしないと決める
何から手を付けていいか分からない状態で、そのことが負担になっているという場合は、このようにやらないという決断を「完了」させる「やらないことリスト」が有効です。
「成功者」は自分のことをどう考えるか
「成功者」と言われる人たちの共通点の一つに、なんと「自分という人間を信じない」ことが挙げられます。「やる気」や「根性」といった自分の資質に委ねていては、物事を持続させることは難しいのです。
「人は怠ける」という前提で、時間管理を考えたほうがスケジュールは守られます。目標や計画を他人と共有したり、宣言したりすることで、そうせざるを得ない状況をつくる方法もモチベーションの維持に効果的です。
そもそも、「やる気が出ない」と悩むのは、真面目なタイプが多いようです。無気力になった自分に頭を抱えるなら、「やる気が出ないと悩んでいる真面目な私がいるな」というふうに客観視してみたり、「やる気が出ないのに、ちゃんと今日も仕事を終えられた」と褒めてみたり、ちょっと視点を変えるだけで、気持ちを切り替えるきっかけになります。
何を試してみても、「もう何もしたくない」という場合は、体も心もヘトヘトに疲れ切っている可能性があります。「やる気が出ない」は働き方や生活スタイルを見直すSOSのサインです。疲れをため込んでいる自分自身をいたわること、認めることが大切です。