自分を変えたいならキャリアの大掃除、不用な過去を捨てる方法

年の瀬が迫り、間もなく新しい年を迎えます。この1年を振り返ると、新型コロナウイルスの影響で、テレワークやオンライン会議を始めたという会社が増えました。観光地などで働きながら休暇を過ごす「ワーケーション」という言葉も浸透しつつあります。働き方、働く場所、働く時間などについて考えることが多かった年でした。

2020年を迎えたときには、仕事や生活がこんなに様変わりするなんてだれが予測できたでしょう。10年代に世界の経済界で、「VUCA(ブーカ)の時代が到来した」としきりに言われていたのを思い出します。「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」のそれぞれの頭文字を組み合わせたもので、「予測不能な状態」を表しています。20年はまさに「VUCA」そのものでした。そして、21年も予想外の出来事が起きる可能性はぬぐえません。

予測するのが難しく、計画も当てにならない時代だからこそ、仕事をする上で大切にすべきことがあります。それは「キャリアの大掃除」による取捨選択です。いらないものであふれ足の踏み場もない部屋を片付けるように、自分自身のキャリアについても必要か否かを見極めて、不用な過去を捨てて空きスペースを作っておくことです。スケジュール帳がびっしりと埋まって精神的にも余裕がない状態では、思わぬチャンスやまたとない縁が舞い込んできても、それをつかみ取る受け皿がありません。

キャリアの大掃除で得られるもの

年末年始は帰省やレジャーを取りやめ、自宅の大掃除に励もうと考えている人も多いようです。キャリアにおいても大掃除は欠かせません。自分にとって不必要な物事、人間関係、肩書や経歴、無意識に握りしめている職業プライドのようなものを、「いつか役に立つかも」とずっと持ち続けているかもしれません。これらをそっと手放すと、別の新しいものを手にすることができるのです。

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しかし、人はどうしても自分の人生に空白をつくることを恐れたり、人間関係、仕事、役割など、一度手に入れたものを手放すことに不安を感じたりするものです。ただ、自分自身の価値を改めて見直したり、本当の自分の気持ちを思い出したりするためには、捨てるのをためらっているものを手放すことから始めなければなりません。

「自分を変えたい」「新しいことを始めたい」「転職したい」――。新年を迎えるタイミングでそんな決意をするなら、キャリアの大掃除を忘れずに行ってください。新しい道を選び、勇気をもって過去を「捨てる」には、次の三つのポイントが大切です。

〈1〉 やめたいこと、何か違うと感じていることにもしっかり向き合う
〈2〉 「こうなりたい」と憧れる要素を持っている人に会いに行く
〈3〉 自分で選んだ道を笑顔で歩んでいく

今できることをしっかりとやり切る

一つ目のポイントは、やめたいことにもしっかり向き合い、今できることをしっかりとやり切るということです。会社を辞めると考えたとすれば、仕事を中途半端に投げ出さず、できる限り職場に迷惑をかけないことが大切なのは言うまでもありません。

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心しておかなければいけないのは、退職は周囲から「応援されにくい」ということです。会社に残る人から見れば、新たな環境へ飛び立って行く姿は自分を否定されたように映り、嫌悪感や嫉妬心を持たれる可能性があります。

「自分だって変わりたい。でも、抜け出せない」とやり場のない気持ちでいる人は、「抜け駆けは許さない」と逆恨みのような感情を抱くかもしれません。人間関係を手放す場合も相当な労力が求められます。「結婚より離婚のほうが大変」とよく言われますが、何かを始めるよりも、何かを終わらせるほうが多くのエネルギーが必要なのです。

思い切って見切ることも必要

二つ目のポイントは、「やめる」「離れる」「終わらせる」にしっかりと向き合うためのエネルギー補充です。

次に行きたいステージにいる人から応援してもらうことで、手放そうと考えている現状に向き合うエネルギーを補充できれば、たとえつらい思いをしても、ためらわずに前に進むことができます。

憧れている人物に会い、話を聞いてもらったり、アドバイスを受けたりすることで、モチベーションを維持できるはずです。勇気をもらえる本を読んだり、自然の中で自らを見つめ直したりするなど、読書や旅行もエネルギーチャージになります。「やめるには相当なエネルギーがいる」と認識し、必要に応じて適切な方法でエネルギーを補充してください。

新しい道を選んだ自分の背中を押してくれる人、腕を引っ張ってくれる人がいるなら、それはもう、一歩踏み出すチャンスです。手放す現状と向き合い、「立つ鳥跡を濁さず」を実行するのみです。ただ、どうしても折り合いがつかない状況があったり、足を引っ張ろうとする人がいたりします。たとえ、「やり切った」とまでいかなくとも、その時が来たと感じられたら、思い切って見切りをつけるタイミングです。

新たに選んだ道は、先が見えづらかったり、険しいと感じたりすることもあります。挑戦、失敗、ストレスを乗り越えてこそ、人としての成長につながるでしょう。

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腹をくくって笑顔で前進

三つ目のポイントは、「過去を手放して新しい道を選ぶ」と腹をくくって、笑顔で前進することです。どんなに辛くても、愚痴をこぼしたり、悔やんだり、涙をこぼしたりすれば、「だから、やめなきゃ良かったのに」「どうせ、できっこないんだから」などと苦言を呈する人もいます。でも、笑顔で楽しんでいる人には、誰も文句は言えません。

人から見えないところで、必死にもがくことがあるかもしれません。それすらも新しい自分になるには必要なチャレンジだと思い、笑顔で実行してください。笑顔でいること、それが周囲から応援され、自分自身もその道を信じて進める秘訣ひけつです。

新たな年を迎えるタイミングで、新たな自分になると思うとワクワクしませんか。その前に、キャリアの「大掃除」を忘れずに済ませてください。21年も働く女性たちが自分らしく輝く年になるように願い、応援のエネルギーを「キャリア小町」から送っていきます。

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土屋美乃
土屋 美乃(つちや・よしの)
国家資格キャリアコンサルタント、エスキャリア代表取締役

1983年東京・八王子市生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)入社。営業や自社の新卒採用担当として、転職や就職という人の人生の転機に関わる。リーマンショックを機に、転職のみをゴールとせず『自分らしく生きる』ことをテーマとするキャリアコンサルタントとして独立。2011年東日本大震災後に自らの天職を形にすべく、エスキャリアを設立。主にライフイベント期の女性のキャリア支援を行う。

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