1年の締めくくりに家計の貸借対照表を作成しよう

2020年も残りわずかですね。読者の方の中には、今年1年、家計簿をつけ続けたという人も少なくないことでしょう。家計簿をつけて毎月黒字になっていたら、「我が家の家計は健全!」と思っている人も多いと思いますが、毎月の家計が黒字だったら家計は健全だと、本当に言えるのでしょうか。1年の締めくくりに、家計の決算を作成してみましょう。

家計の財務状態をチェックしよう

家計簿を毎月つけていて、「家計は黒字だからバッチリ!」と思っている人も多いと思いますが、実はそこが落とし穴。家計が本当に健全かどうかは、毎月の家計の収支を見るだけでは不十分で、「資産」と「負債」という観点からもチェックする必要があるのです。
 
企業にお勤めしている働き女子ならイメージできると思いますが、企業は定期的に貸借対照表(B/S、バランスシート)を作って、財務の状態が健全かどうか分析しています。

そもそも貸借対照表とは、資産と負債、そして資産から負債を引いた純資産の額など財産の状況をすべて明らかにする表のこと。このB/Sを家計でもぜひ作成してみましょう。難しそうですが、慣れれば簡単にできてしまいます。

「資産」は時価の金額を記入します

では、まず「資産」から見ていきましょう。資産とは、現金をはじめ、売却すれば現金になるもののことです。

・現金
・預貯金
・株、投資信託、債券など
・投資用不動産
・保険の解約返戻金
・マイホーム
・自動車
・高価なジュエリー、ブランド物、絵画など
・その他

一般的に資産はこれらの項目に分類することができます。

資産の金額を記入するときに注意したいのが、株やマイホーム、不動産などは、買ったときの値段を記入するのではなく、現在売却したらいくらで売れるかという価格(時価)を記入するということです。

例えば、マイホームなどは、同レベルの物件を見つけて調べたり、近隣の不動産屋さんにヒアリングをしたり、折り込み広告を見たりすることで、ある程度価格を把握できます。そして、貯蓄型の保険、定期預金などは解約した際に現金化できる額を入れましょう。

次に「負債」で借金の状況を確認

次に「負債」です。住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードで使った金額など、返さなくてはいけない借金をすべて把握して、現在いくら残っているかを確認しましょう。金融機関でローンを組んでいる場合には、明細が送られてきているので、それを見て正確に把握することが大切です。

そして、資産から負債を引いた金額、それが「純資産」になります。もし、純資産がマイナスになっている場合、会計上は「債務超過」といって財務状況が悪い状況です。早急に家計の立て直しが必要になります。毎月しっかりと貯蓄できていても、B/Sを作成してみると、純資産がマイナスだった!というケースは少なくありません。真の貯金とは、実は純資産を積み上げることなのです。

家計のB/Sは、できれば3か月に1度更新するのが理想です。というのも、住宅や株式、投資信託などの資産の金額は日々変化するので、定期的にチェックする必要があるからです。難しければ、1年に1度、年末には行いたいですね。

貸借対照表見本(日本FP協会)

純資産がマイナスになっている場合の改善方法は?

純資産がマイナスになっている場合、改善する方法は「資産を増やすか」「借金を減らすか」のいずれかになります。ただし、借金を減らす場合、現預金を使って返済することが多いので、現金資産も減ってしまい、実際にはあまり改善されないことも多いのです。できるだけ、貯蓄や資産運用などで資産を増やす努力をしましょう。

家計簿と貸借対照表の二つを付けることにより、自分の家計の改善点が明らかになります。例えば、貯金はできているけれど、借金が多いので純資産は少ない、親から不動産を相続したので純資産は多いけど、毎月の貯金は減っている、といった具合です。

日々節約をして、目の前のお金を把握することもとても大切ですが、もっと長期的・立体的に家計を把握するためには、B/Sを作成することが大事です。

必要以上に豪華な住宅を購入しない、ブランド物を必要以上に買わないなど、資産の無駄を省いていくことも大切です。B/Sを作成して、大きな視点で家計を俯瞰(ふかん)する習慣を身につけましょう。

高山一恵
高山一恵(たかやま・かずえ)
ファイナンシャルプランナー

 慶應義塾大学卒業。2005年に女性による女性のためのファイナンシャルプランニングオフィス、株式会社エフピーウーマンの設立に参画。2015年から株式会社Money&Youの取締役。結婚、出産、夫の転勤など人生に多くの転機が訪れる女性にこそお金の知識が必要と考え、講演、個人マネー相談のほか、雑誌の記事執筆やテレビ番組出演など精力的に活動している。著書に「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「ゼロから始めて2時間で一生困らないマネープランができる本」(彩図社)など。

高山一恵さんと株式会社Money&You代表取締役でマネーコンサルタント頼藤太希さんの共著はじめてのNISA&iDECO」(成美堂)が出版されました。マンガと図解を駆使して、これから資産運用を始める人にわかりやすく解説しています。

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