デジタル名刺、使ってる? コロナでオンライン会議に対応

デジタルデータで作られた名刺をオンラインで交換できるツールが広がっている。新型コロナウイルスの影響で、初対面の人と紙の名刺を交換する機会は減っているが、オンライン会議などの相手に連絡先を伝えたいというニーズは高まっているためだ。

「名刺交換できず、相手の連絡先がわからない……」。東京都内の企業で新規顧客の営業を担当する男性(49)は頭を抱える。初対面の相手との名刺交換は、部署名や連絡先を正確に把握するほか、「お名前の読み方は?」などと尋ねて会話を弾ませるきっかけになる貴重な機会だ。だが、初めて一緒に仕事をする相手との商談もオンライン会議で済ませることが増え、「名刺をもらえないので後で連絡したい時に困る」と弱り切った表情を浮かべた。

オンラインで連絡先交換  URLやQRで

初対面の相手に、電話番号やメールアドレスなどの連絡先を伝えやすいのがデジタル名刺だ。連絡先はメールの署名欄でも伝えられるが、デジタル名刺は連絡先に加え、紙の名刺の画像や顔写真なども載せることができる。クリックするとデジタル名刺が表示されるURLを、相手にメールやチャットで送るという使い方が多い。

名刺に関するビジネスを行っている企業も、オンラインで名刺交換ができるツールを展開している。

Sansanが提供するオンライン会議用の背景画像。相手がQRコードを読み取るとデジタル名刺が表示される(画像はサンプル。QRコードは同社のウェブサイトにつながる)

名刺データ管理大手「Sansan」(東京)は6月、法人向けクラウド名刺管理システム「Sansan」に、オンライン名刺交換ができる機能を追加した。システムの利用者はデジタル名刺のURLを簡単に作ることができ、受け取った相手は自分の紙の名刺を撮影して返信できる。

11月からは、オンライン会議でデジタル名刺の交換をスムーズに行うための背景画像の提供を始めた。自分の背景画像に、デジタル名刺が表示されるQRコードを組み込んだ。相手が画面のQRコードをスマートフォンで読み取るとデジタル名刺が表示される。

デジタル名刺を作成して送信できるサービスは、LINE(東京)の無料名刺管理アプリ「myBridge」でも7月に始まった。

安全性にも配慮

デジタル名刺は送り先に共有してもらいやすいというメリットはあるが、転送されて想定外の人にまで連絡先を知られるのは心配だ。そのため、紙製品メーカー「 山櫻やまざくら 」(東京)は、セキュリティーを強化したオンライン名刺交換サービス「NAME ROOM」を2021年2月をめどに始める。このサービスでデジタル名刺を受け取った人は第三者に転送はできる。だが、この第三者は一定期間は名刺を見ることはできるものの、保存はできないという仕組みだ。名刺を送った相手や枚数は自動的に記録される。

デジタル名刺について、名刺コンサルタントの福田剛大さんは、「オンライン会議前に送れば、会社について調べておいてもらえる便利なツールだ。今後本格的に使われるだろう」と推測する。また、「人と対面する機会が少なくなり、紙の名刺は出会いを特別なものとして印象づける役割を担っている。デジタルと紙の名刺の両方を上手に使ってほしい」と勧めている。

(読売新聞生活部 遠藤富美子)

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